新プロジェクトNO BORDERから着想
『あいつら全員同窓会』は、オンラインRPG『PSO2 ニュージェネシス(以下、NGS)』のコラボ楽曲として制作されました。
NGSは無限の自由度をもつキャラクタークリエイトの機能があるオンラインゲームで、プレイヤーが世界に一人だけの英雄をつくって冒険することができます。
新プロジェクトのコンセプトは「NO BORDER. キミにしかなれない、キミがいる。」
この言葉は、NGSのキャラクタークリエイトという特徴を上手く表現していると言えるでしょう。
『あいつら全員同窓会』は「NO BORDER. キミにしかなれない、キミがいる。」のコンセプトから着想を得て制作された曲のため、こちらを意識した上で、歌詞を考察していきます。
なりたい自分になろうと粘る主人公
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思い通りに起きれない
急いで飲み込む納豆巻き
当たり障りのない儀式みたいな
お世話になってます
≪あいつら全員同窓会 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞ですが、起きて納豆巻きを食べるという朝の習慣が「儀式」と表現されており、歌詞の主人公は面白みのない生活を送っているように感じられます。
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手帳開くともう過去
先輩に追い越せない論破と
明る日も来る日も 道草食って帰るが贅沢
≪あいつら全員同窓会 歌詞より抜粋≫
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手帳は予定を確認するためのアイテムですが「開くともう過去」という描写になっているので、歌詞の主人公は時間に流されるように生きてしまっているのかもしれません。
「先輩に追い越せない」という歌詞がありますが、普通なら「先輩を追い越せない」と表現しますよね。
助詞が「に」になるとしたら「先輩に追いつけない」という表現でしょう。
つまり、この歌詞には「先輩に追いつけない」し「先輩を追い越せない」という、二重の意味が含まれているのかもしれません。
手帳に記した目標どおりに動けない自分や、先輩という目標を追い越すどころか、追いつけもしない自分に対する嫌悪感が表れているように思います。
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もうダンスダンスダンス 誰も気づいてない
ジェメオスよりもゆうもわな落書きに
もうステイステイ捨てる 下積み正義
嫌味に費やすほど人生長くないの
≪あいつら全員同窓会 歌詞より抜粋≫
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「ダンス」は自分を表現する一つの方法ですが「誰も気づいてない」という歌詞が続きます。
主人公は、自分を表現して誰かに認めてもらいたいのかもしれません。
アニメーションMVでは、主人公が絵を描いたり、歌ったりする場面もあるので、歌詞の「ダンス」は自分を表現すること自体を表していると推測できます。
「下積み」という言葉も出てくるので、主人公は自分を表現して誰かに認めてもらえるよう奮闘しているところだと考察できそうです。
しかし、最後の一文からは、周囲から夢をけなされているのだと解釈できます。
目標に向かってうまく進めない自分への嫌悪感や、目標に向かう自分を批判する周囲の嫌味と闘う主人公の姿が浮かぶ歌詞だと言えるでしょう。
「あいつら全員同窓会」の解釈とは
前半は暗めの歌詞ですが、サビは一気に強気な歌詞になります。
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どうでもいいから置いてった
あいつら全員同窓会
ステンバイミー自然体に
シャイな空騒ぎ
≪あいつら全員同窓会 歌詞より抜粋≫
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タイトルの「あいつら全員同窓会」という言葉がそのまま歌詞に登場します。
「あいつら」という言葉を使っているので、主人公は同窓会を批判的に捉えているのでしょう。
MVの概要欄を見ると、曲名の英訳が『Inside Joke』となっていますが、これは内輪ネタという意味。
同窓会では「同級生の〇〇さんは、今こうなっているらしい」といった話でよく盛り上がりがち。
主人公はまだ下積みをしているので、からかうような話題になる可能性も高いでしょう。
そんなからかいの言葉に対して「そんな話題はおもしろくないし、笑っているのはお前らだけ」「同窓会なんてただの内輪ネタだ」という気持ちが「あいつら全員同窓会」という歌詞に込められているのではないでしょうか。
「空騒ぎ」は「たいしたことではないのに、やたらに騒ぎ立てること」という意味の言葉です。
「どうでもいいから置いてった」や「自然体に」という歌詞からは、つまらない内輪ネタを言うような周囲は気にせず、自分らしく目標に向かおうとする強い気持ちが感じられます。
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ねばった戦績 飛んでった
なりたい自分に絡まる電柱
ぼーっとして没頭して
身勝手な僕でいい
≪あいつら全員同窓会 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞の「身勝手な僕でいい」という言葉は、自分を肯定する前向きな表現です。
曲の前半では、自分に対する嫌悪感が強く出ていた主人公。
しかし、周囲を気にせず自分らしくあろうとし、その葛藤に打ち勝って自分を肯定できたのだと捉えることができるでしょう。
「NO BORDER. キミにしかなれない、キミがいる。」というコンセプトにも合っているように思います。
ACAねがラップでかます強い覚悟
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人の ダメなとこばっか 見つけて
指摘して、自分棚に上げすぎ
心と体終わってく
≪あいつら全員同窓会 歌詞より抜粋≫
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曲の終盤はACAねのラップになっており、周囲からの批判に心と体が疲弊していく様子が素直に歌詞にされています。
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こんな自分そんな身分じゃない
言い切れることはない
いい切れたことは自分に言い聞かせてること
また笑い転げられるのさ あばらの骨が折れるまで
≪あいつら全員同窓会 歌詞より抜粋≫
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周囲から自分に対して言い切れることはない。
言い切れるのは自分自身に対して言い聞かせている言葉だけ、という意味ではないでしょうか。
周囲の言葉に振り回されるのではなく、自分を信じて進んでいきたいという強い覚悟を感じます。
最後の一文が笑いの描写で終わっているのは、つまらない内輪ネタではなく、自分を信じた先で自分らしく笑いたいという想いが込められているのかもしれません。
ずっと真夜中でいいのに。は作詞・作曲・ボーカルのACAねによる、特定の形をもたない音楽バンド。 YouTubeチャンネル登録数175万人を超え、YouTubeの総再生回数は4.2億回、初投稿楽曲「秒針を噛む」は現在9,500万回再生を突破。 1st mini ALBUM『正しい偽りからの起床』は第11回CDショップ大···