アニメスタジオ・MAPPAとのタイアップ曲はMVも大好評
ずとまよの愛称で若い世代を中心に人気の音楽ユニット・ずっと真夜中でいいのに。が、2021年7月4日に新曲『ばかじゃないのに』を配信リリースしました。
この楽曲は『呪術廻戦』や『進撃の巨人』といった人気TVアニメを手がけるアニメスタジオ・の設立10周年記念動画作品に起用されています。
公式MVはベトナム人イラストレーターのTV♡CHANYが個人制作で手がけていて、ゲームをモチーフにした躍動感あふれる映像が高評価を受けています。
また、抽象的なフレーズを用いることが多かったこれまでの楽曲とは異なり、作詞を担当するACAねらしい独特な言い回しを用いながらもストレートに感情を綴った内容が注目ポイントです。
さっそく歌詞を追いながら意味を考察していきましょう。
ある夏の日に思い返すいつかの恋
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これは 二十歳じゃない
作業着 剥ぎ取っても
まだ お線香の匂い 床に寝そべってた
一丁前に回り回る 扇風機に嘆いてた
ふと 会えない人を 思い浮かべてた
≪ばかじゃないのに 歌詞より抜粋≫
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「これは 二十歳じゃない」というフレーズから、主人公の女性がまだ二十歳になる前の過去の出来事を回想していると解釈できます。
何かの作業の後、戻って来た家の中ではまださっき焚いた「線香の匂い」が漂っていて、床に寝そべってみると余計にその匂いが強くなる。
「一丁前に回り回る 扇風機」も加わり、真夏のある日の様子がありありと浮かんできます。
その中で主人公は「ふと 会えない人を 思い浮かべてた」と表現され、どこか寂しい雰囲気が伝わりますね。
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急な矛盾が 飼い慣らせない
誰のせいって わけじゃない
色の濃い野菜ばっかり 湯掻いてた
鮮やかな仕草に 混ざりたいのに
声があるのに いつもどうして
≪ばかじゃないのに 歌詞より抜粋≫
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「急な矛盾」とは何でしょうか?
「色の濃い野菜」はおそらく「色恋」を言い換えた言葉で、それを「湯掻いてた」ということは素敵な恋の思い出をより色鮮やかに思い描いている様子を表しているように感じられます。
思い出される「仕草に 混ざりたいのに」、もう戻ることはできません。
つまり「急な矛盾」とは、まだ好きな気持ちがあるのに別れなければならないという自分の感情と事実の矛盾のことなのでしょう。
突然やってきた別れに戸惑いながらも「誰のせいって わけじゃない」から、取り残されたような気持ちをまだ「飼い慣らせない」でいます。
「声があるのに いつもどうして」と、度々してきた失敗への後悔が募っていく様子が見えてきますね。
ぎこちない日々の中で言えなかった言葉たち
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それは わたしじゃない
傷つけない さよなら を
靴に石入っても 歩き考えてた
先ばかり気にする君と 遅れをとるわたしと
ふと ぎこちない日々を 思い浮かべてた
≪ばかじゃないのに 歌詞より抜粋≫
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「傷つけない さよなら」をひたすら考えていた彼女ですが、「それは わたしじゃない」とあるのでもしかしたら別れを切り出したのは相手の男性の方なのかもしれません。
「先ばかり気にする君」は将来のことを考えて別れを選択し、一方の「後れを取るわたし」はいつも彼に取り残されるようで別れを考えていたと思われます。
正反対の二人の「ぎこちない日々」は少しずつ終わりへと進んで行ってしまいました。
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この先どうする ね どうしよう わからない
君が溜息つく このやりとりに
安心できる 自分がいた
急な矛盾が 飼い慣らせない
何がきっかけとかじゃないけど
疲れてくことも 慣れていたと思う
それが始まりで 義務になったし
ゴールだったし ご飯できたよ
≪ばかじゃないのに 歌詞より抜粋≫
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彼が「この先どうする」と尋ねても、彼女には先のことは考えられず答えられません。
そんな彼女に対して彼が溜息をつく様子は一見重苦しい気がしますが、彼女は「このやりとりに 安心できる 自分がいた」と歌います。
お互いに気を遣うことに疲れてしまうことが多くなったために、そんなやりとりが二人の日常になっていたのでしょう。
いつもと同じやりとりが当たり前に繰り返されていることに安心する気持ちは、誰でも少なからず感じたことがあるのではないでしょうか。
特別なきっかけがあったわけでもなく、いつの間にか疲れることに慣れを感じるようになり、それが義務になったことが別れの理由になりました。
「ご飯できたよ」という何気ない言葉に、過去を回想する彼女の日常は気持ちを置いて確かに進んでいることが伝わってきます。
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言っとけばいいのに ばかじゃないのに
在り来りだろうけど
僕には 君を思い返す日々で過ごしていける?
もう居ないのに 惹かれ合うのに
一瞬の夏だったよ
これ以上求めた贅沢な 悲しみは
何処へゆくの
≪ばかじゃないのに 歌詞より抜粋≫
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声があるのだから「言っとけばいいのに」、それが分からないほど「ばかじゃないのに」、なぜか人は言葉足らずで後悔することが多いように思えます。
出てくるのはきっとありふれた言葉ばかりだけど、やっぱりあの時言っておけばよかったと思うことが二人の間にもいくつもあるようです。
サビでは一人称が「僕」に変わっているので、これは男性目線の気持ちなのかもしれません。
「君を思い返す日々で過ごしていける?」とあるように、彼もこの別れをつらく感じていて、実体のない彼女の記憶を思い返すこれからの日々を不安に思っているようです。
「もう居ない」と分かっていながら心は「惹かれ合うのに」、本当に一人でやっていけるのだろうか。
一瞬に思えるほど熱く燃えて過ぎ去ったひと夏の恋を思い、すでに憂うつになっています。
これ以上の関係を望むからこそ感じてしまう「贅沢な悲しみ」はどうすればいいのかと悩む気持ちも見て取れますね。
後悔はしても前向きに進んで行く
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君の普段着 畳む途端に
片付いた理屈の中で 吸って吐いて
だって大丈夫だって
終わりが近いと 仲良くなれたし
桃鉄勝って 君が寝落ちして
自分の好き<君の好き
が何よりも大事で
同じ気持ちって
気づいちゃダメみたいな
さよなら ばっか だよ
≪ばかじゃないのに 歌詞より抜粋≫
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彼の普段着を畳んだり一緒にゲームをして寝落ちする彼を見ていたりと、恋人なら当たり前の日常がここには描かれています。
それでもその合間に、別れる方向で片付いたはずの気持ちがぶり返しているように思えます。
最初の頃のような恋人同士に戻れる可能性を感じ取ったのでしょう。
とはいえ、終わりを決めてからやっと仲良くなれたのだからこの選択は間違いではないのだ、と自分に言い聞かせている心情が物悲しいですね。
彼女にとって「自分の好き<君の好き」という構図であることが重要で、自分の好きな気持ちが彼と同じほど膨らんでいることに「気づいちゃダメ」だと思っていたようです。
しかし、そんな意地を張っていたせいで、結局はお別れすることに。
「さよなら ばっか だよ」のフレーズは、どう過去を振り返っても別れる結果しかなかったという意味と、何も言えなかった自分を馬鹿だと言うダブルミーニングと考えられます。
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言っとけばいいのに ばかじゃないのに
在り来りだろうけど
僕には 君を思い返す日々で過ごしていける
もう居ないのに 惹かれ合うのに
一瞬の夏だったよ
ありがとう
僕に残ってる 引き摺る温もり
ずっと まだ目の前に
≪ばかじゃないのに 歌詞より抜粋≫
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最後のサビでは「僕には 君を思い返す日々で過ごしていける」と疑問符がなくなり、言い切りの形を取っています。
彼女の温もりをまだ引き摺っていて「ずっと まだ目の前に」あるかのように鮮明に脳裏に焼き付いていますが、前を向いて別々の道を進む決意ができたようです。
きっとこれからもまた「言っとけばいいのに」と後悔することがあるでしょう。
それでも過去の出会いに感謝の気持ちを持って前へ進んで行くことが、最も誠意ある生き方と言えるかもしれませんね。
「ばかじゃないのに」は失恋を描いた恋愛応援歌
『ばかじゃないのに』は失恋をテーマに、アーティストとしてではなく一人の女性としてのACAねの想いに触れられる楽曲です。
好きなのに別れるという絶望的にも思える状況が、ACAねの日常を切り取る柔らかい表現で、身近なこととして温かく描かれていることがこの楽曲の魅力と言えるでしょう。
そして、多くの恋人たちの間にある言わなかったための後悔の気持ちを汲み取り、好きな人にきちんと想いを言葉にしたいという気持ちにさせてくれます。
ぜひ『ばかじゃないのに』を聴きながら、後悔しない恋を楽しんでくださいね。
ずっと真夜中でいいのに。は作詞・作曲・ボーカルのACAねによる、特定の形をもたない音楽バンド。 YouTubeチャンネル登録数175万人を超え、YouTubeの総再生回数は4.2億回、初投稿楽曲「秒針を噛む」は現在9,500万回再生を突破。 1st mini ALBUM『正しい偽りからの起床』は第11回CDショップ大···