ターン、ターンとピアノの綺麗な和音が鳴るイントロ。YUKIはこの曲に、ピアノの音をとても入れたかったそうだ。ピアノは皆川真人。YUKIの頭の中に鳴っている音を、時間をかけて出してもらった。曲全体から、YUKIの自由な歌声が溢れ出る。きれいに歌うわけじゃなくて、はみ出すかんじで。この曲では、ジャズのグルーヴを取り入れた。テンポは遅いけれど、はやる気持ちと疾走感が感じられるように。
更新日:2020年3月31日
ターン、ターンとピアノの綺麗な和音が鳴るイントロ。YUKIはこの曲に、ピアノの音をとても入れたかったそうだ。ピアノは皆川真人。YUKIの頭の中に鳴っている音を、時間をかけて出してもらった。曲全体から、YUKIの自由な歌声が溢れ出る。きれいに歌うわけじゃなくて、はみ出すかんじで。この曲では、ジャズのグルーヴを取り入れた。テンポは遅いけれど、はやる気持ちと疾走感が感じられるように。
「COSMIC BOX」とは、YUKIの頭の中にある世界のこと。どこか懐かしいのに切なくて、体の底から湧きあがるような生命力を歌う。
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月で生まれた人は 地球には戻れない
母の故郷の惑星に降る 雪に頬うずめるのは難しい
見た事のない海に あこがれてため息
巨大なモニター 同じ顔した 青い魚達が跳ねる
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この曲は、映画「曲がれ!スプーン」の主題歌になっている。主題歌の話がきてから、歌詞を書いていったそうだ。長澤まさみ演じる超常現象を扱うテレビ番組のADと、本物のエスパーたちが繰り広げる、超常現象コメディ。エスパーたちがこっそりと集まるカフェで、偶然に偶然が重なり奇跡を起こすというストーリーから着想を得た曲は、SFの匂いすら感じさせる、ファンタジーな歌詞のオンパレードだ。
月で生まれた人が、きれいな地球に憧れる歌詞。巨大なモニターの映像を眺めながら、足を踏み入れたことのない星へと思いを馳せる。
YUKIの故郷は、北海道。まっしろな雪に頬をうずめた経験があるのだろう。YUKIの故郷の記憶が、歌詞に投影されている。
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遥か遠い昔から 意味のある偶然を伝えているんだ
体の中から響くのは 懐かしい子守唄
公園の砂場から 大気圏突入用のロケットに乗って
誰かが残したシャベルをコックピットにして還ろう 還ろう
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ファンタジーな世界観なのは、自分が小さな頃から思い描いている夢の世界を歌ったら、映画に合うんじゃないかと思ったから。子供の頃に見えていた世界を通じて、今の現実世界のYUKIのことを歌おうと思い歌詞を書いた。子供の頃、いつも妄想劇を繰り広げていた砂場。砂場にひとりで遊びに行っては、想像力を使って色々な所へ行ったそうだ。だから、この曲の最初のタイトルは「宇宙砂場」だった。
この曲のシングルが出たのが、2009年11月。それより少し前の2009年5月に、YUKIは第三子を出産している。自分の体の変化、子供を授かるということは、神秘的なことではない。すべて、「意味のある偶然」である。昔から繰り返されていることで、色々な人たちが伝えていっている生命の営みだということ。そんな、子供を授かることで感じた思いを曲にのせていった。「体の中から響くのは懐かしい子守唄」。妊娠したことで、恐れのようなものは一切なかった。人はこうやって生まれて、ずっとずっと続いていくんだ。この歌にはYUKIのそんな思いが込められている。
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もしも恋に落ちたら 能力を失う
自制心爆発してしまう ロボットみたいになれるなら
あなたと話した全て 忘れないでいるのに……!!
曖昧な記憶 振られて地獄 心ならU・S・Bメモリー
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2番の冒頭では、恋愛のことをロボットに例えているのが面白い。恋に落ちて目の前がくらくらするのを、ショートしたロボットに例えてみたり。好きな人と話したことは全部忘れないでいる、心ならUSBメモリーに全部保存されている。ロボットみたいだけれど、人間の切ないところがよく表現された部分だ。
近未来SFみたいな歌詞、そのなかから垣間見える、YUKIの、身の回りに起こる不思議なこと、女性なら怖いと思えるようなことを温かく受け入れる気持ち。ファンタジーな世界観ながらも、普遍的なことを歌っている曲だ。
TEXT:緑の瞳