あたたかい友情を描いた曲
ともだちの定義は人それぞれ。いつも一緒にいてくれる、話が合う、自分の言うことに反論しない…。こうして並べてみると似たような考え方はあれ、定義がぴったり被ることは中々ないのではないだろうか。だからこそともだち以上の存在、親友ができるというものだ。
平井堅通算21枚目のシングル『キミはともだち』はタイトルでもわかるように、ともだちとの友情をテーマに書き下ろされた楽曲。人間的にも最悪の元プロ野球選手が成績不振の少年野球チームの監督を務め上げていく2004年放送のドラマ作品「ワンダフルライフ」の主題歌でもあった。
エンディングで流れる映像は、反町隆演じる野球監督から野球少年たち、その他登場人物たちが総出演。楽曲に合わせて、野球ボールをキャッチボールしていく映像は友情や人の間にある繋がりを感じさせてくれる温かい出来となっている。
さらに、この楽曲を含めCDに収録された4曲には人の心の温かさを音で表そうと、手拍子など体の一部を使って出した音をメロディに入れるという試みが平井堅自身によってされている。アニメーション仕立てとなったPVでも種別を超えた友情が描かれているので、機会があれば楽曲と一緒に聴いて欲しい。
平井堅にとっての"友達像"
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君が笑った 僕も つられて笑った
映し鏡みたいだ 君は ぼくのともだち
君が怒った 僕も負けずに怒った
子供のけんかみたいだ 君は ぼくのともだち
≪キミはともだち 歌詞より抜粋≫
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平井堅の思うともだち像は、映し鏡のような存在。一緒に笑って一緒に怒る、感情をぴったり共有できる似た者同士だ。しかし、似た者同士であればともだちになれるというわけではない。そっくり過ぎても、まるで自分を見ているようで仲良くなれないこともある。
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君が泣いてた 僕も泣きそうになった
だけど こらえて笑った 元気出せよと笑った
≪キミはともだち 歌詞より抜粋≫
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時には、一緒に泣くのを堪えてずっと隣でなぐさめてくれる。感情を共有しながら、自分とは違う存在であること。それが、平井堅の想うともだち像なのかもしれない。
1つお願いをするなら、寂しい時はもう少し話に付き合ってくれれば、と歌詞では描かれている。“君の声だけが こころを軽くする”から、と。
とはいえ、これも1つのともだちの定義。きっと答えはないだろう。この楽曲でも、最後は次のように締めくくられている。
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君がいないと 僕は本当に困る
つまり そういうことだ きみはぼくのともだち
≪キミはともだち 歌詞より抜粋≫
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ともだちについて歌詞の半分以上を使って語られている『キミはともだち』。聴いている側としては、頷ける部分もあれば首をひねってしまう所もあるだろう。けれど結局、何だかんだ言いながらも平井堅にとってのともだち像は。
隣にいるのが当たり前のような存在、なのかもしれない。
TEXT 空屋まひろ