Jazzin' parkが手がけた「王道J-POP」
『恋降る月夜に君想ふ』は、King & Princeの8thシングルです。2021年10月6日に発売予定のこの楽曲は、平野紫耀主演の映画「かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル」の主題歌に起用されました。
まさに王道のJ-POPという言葉がピッタリな楽曲に仕上がり、映画に華を添えています。
この楽曲を手掛けたのは、栗原暁と久保田真悟からなる音楽プロデューサーユニット「Jazzin’ park」。
彼らは、家入レオやナオト・インティライミ、ケツメイシをはじめとした多くのJ-POPアーティストに楽曲提供をしている他、V6、嵐、Kis-My-Ft2等のジャニーズグループの楽曲にも数多く携わっています。
栗原は前作映画「かぐや様は告らせたい」の主題歌『koi-wazurai』に引き続いて制作に参加しています。
「かぐや様は告らせたい」は、赤坂アカによる同名の漫画が原作。
将来有望なエリート達が通う名門校「秀知院学園」を舞台に、生徒会長の白銀御行(平野紫耀)と副会長の四宮かぐや(橋本環奈)が繰り広げるラブコメディです。
実は相思相愛であるにもかかわらず、プライドが邪魔してお互いに自分から告白することが出来ない2人。何とかして相手に告白させようとする天才達の駆け引きが見所です。
映画本編のエンディングでは、『恋降る月夜に君想ふ』にあわせて生徒会メンバーがダンスを披露しています。キンプリの公式MVと比べてみると、より一層楽しめるかもしれませんね。
「竹取物語」のオマージュ
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恋降る月夜に君想ふ
Can we be happy?
≪恋降る月夜に君想ふ 歌詞より抜粋≫
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タイトルの『恋降る月夜に君想ふ』から始まる冒頭の箇所は、少し幾何学的な印象を与えます。その理由は、メロディーにアルペジオが用いられているからでしょう。
アルペジオとはいわゆる分散和音のことで、和音の中の構成音をバラして1音ずつ順に奏でる奏法を指します。例えば学校などで放送が入ると「ピンポンパンポーン」というチャイム音が鳴りますよね。
これもいわゆるアルペジオと言えます。つまり、この1フレーズだけでも「学校」のような、ある程度規則に基づいた環境を彷彿とさせることができるのです。
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Darling Darling 隣でずっと
Loving more Loving 笑っていたいよ
僕らは運命に 少し甘え過ぎかな
Darling Darling その瞳にずっと
Feeling more Feeling 映っていたいよ
いたずらな奇跡は
いつかTake us to the moon
≪恋降る月夜に君想ふ 歌詞より抜粋≫
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ここから一気にポップなサビへ展開することで、楽曲の中に対極的なギャップを生み出すことに成功しています。
元気よく弾けるようなサウンドが、抑えきれない恋心を表現しています。
楽曲中に何度か登場する「Take us to the moon」は「私達を月へ連れて行って」という意味になります。
ご存知の方も多いかもしれませんが「かぐや様は告らせたい」は「竹取物語(かぐや姫)」からモチーフを得ている作品です。
キャラクターの名前が「竹取物語」の登場人物に由来していたり、かぐやが周りの人に無理難題を押し付けるなど、ストーリーの面でも重なる部分があるのです。
「竹取物語」では、かぐや姫が全ての男性の求婚を断り、最終的に生まれ故郷の月へと帰っていきます。
ここで改めて「私達を月へ連れて行って」というフレーズを「かぐや様」の世界観に当てはめて考えると、白銀とかぐやが、共にかぐやの実家へ行くという構図が浮かび上がります。
つまりこのフレーズは、プロポーズの暗喩なのかもしれません。
ラブコメらしい軽妙な歌詞
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交わる恋の二乗
絡まる思考回路
Oh Yeah, Find the answer
重なる視線はMagic
高まるKissフラグ
Oh Yes, It's a romance
≪恋降る月夜に君想ふ 歌詞より抜粋≫
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この部分は、作中でも描かれる恋の駆け引きを表現しているのでしょう。
お互いの思惑が絡み合い、予想もしていなかった展開を引き起こしていく「かぐや様」。
ストーリーの面白さやキャラクターの魅力を忠実に投影した歌詞だと思います。
また、作詞の栗原が得意とする日本語と英語を混ぜ合わせた絶妙な言葉選びは、楽曲にちょうどよい軽妙さを生み出しています。
先の読めない恋模様にドキドキする感覚が伝わってきます。
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君らしくKiss the sun
僕らしくKiss moonlight
(もう) 寝ても覚めても (夢でも)
好きが止まらない (止まらない)
≪恋降る月夜に君想ふ 歌詞より抜粋≫
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この部分では好きな相手を太陽、そして、自分を月の光に例えています。
太陽が存在しなければ月は光ることができないという事実から「彼女に恋焦がれている自分」という関係性を分かりやすく表しています。
月の立場からすると、太陽は月を明るく照らすだけでなく、月自身が輝く為のエネルギーの源にもなる、一種のアイドルのような存在なのでしょう。
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もしも地球の片隅で
君が涙に溢れたら
夜空に橋を架け 見つけに行こう
(Love is so beautiful)
心は見えなくても
いつでも君の全てを感じられる
≪恋降る月夜に君想ふ 歌詞より抜粋≫
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「いつどこにいても”キミ”のためなら駆けつけたい」というロマンティックな気持ちが詰まっています。
王子系統の王道を走ってきたキンプリだからこそ、歌詞に段違いの説得力をのせることができるのでしょう。
キンプリの魅力が光る1曲
今回は『恋降る月夜に君想ふ』を「かぐや様は告らせたい」の世界観と照らし合わせながら考察してみました。ポップな音楽と歌詞の中には、Jazzin’ parkの遊び心がいたるところに隠されていました。そして、キンプリの”アイドルとしての魅力”を最大限引き出せる楽曲でもあると思います。
YouTubeの公式チャンネルでは、この楽曲のMVとメイキングが公開されています。メンバーの素の姿も垣間見られるので、ぜひあわせてご覧ください。
【Profile】 2018年1月17日原宿のユニバーサル ミュージック新社屋で行われた記者会見にてジャニーズ事務所とユニバーサル ミュージックとの新レーベルJohnnys’ Universe(ジャニーズ ユニバース)から”King & Prince”がレーベル第一弾アーティストとしてデビューすることが発表。 5月23日、記···