リョクシャカ新曲はドラマ「緊急取調室」主題歌
男女混合バンド・緑黄色社会が2021年8月25日にリリースした4thシングル『LITMUS』。表題曲『LITMUS』は、天海祐希主演のテレビ朝日系ドラマ『緊急取調室』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。
『LITMUS』は作詞を小林壱誓、作曲を小林壱誓・穴見真吾の男性コンビが担当。
心理戦が繰り広げられるドラマの内容通り、歌詞も「秘密」をテーマに書かれています。
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誰より深く
わたしを知っていた
あなたにだけ言えない
秘密がある
≪LITMUS 歌詞より抜粋≫
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登場するのは、「わたし」と「あなた」の2人の人物。
歌詞の内容から、2人は深い仲だと想像できます。
「わたし」には親しい存在の「あなた」だからこそ、言えない秘密があるようです。
伝えることで相手を傷つけてしまったり、関係が壊れてしまったりすることを恐れているのかもしれません。
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重なり合えど
赦されちゃいけない
この躰に潜んだ
魔物が笑う
≪LITMUS 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞は「赦されちゃいけない」「魔物」など少し不気味なワードが並びます。
Vo.長屋晴子の切ない歌声と、peppeが奏でるピアノの旋律がより不穏さを醸し出していますね。
人は誰しも、善と悪を併せ持つものでしょう。
普段は相手に嫌われないよう「善」の部分を出していても、何かをきっかけに「悪」の部分が現れることもあります。
ドラマ中の被疑者の姿ともリンクする歌詞ですね。
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想えば想うほど隠れてしまう
いつぞやの朧月の背中へと
そこにあなたの手が触れる未来を
待つことがどれほどまで危ういか
≪LITMUS 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞は、相手を大切に想うからこそ秘密を打ち明けられなくなる様子を表しているように思います。
ただし、秘密がいつまでも相手にばれないとは限りません。
「あなたの手が触れる未来」とは、相手に秘密がばれてしまったときを示しているのでしょう。
相手に責められるぐらいなら、自分から先にばらしてしまえば相手も納得するかもしれません。
打ち明けるべきか、このまま黙っておくべきか、揺れる「わたし」の気持ちが描かれているように思います。
「わたし」が抱える秘密を考察!
「わたし」が深く抱えている秘密の内容は、歌詞には具体的に描かれていません。
次のパートから、「わたし」が抱える秘密を考察してみます。
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その手を その目を
その輝きをそのままに
別れも告げずに
離れてしまえたらいいのに
≪LITMUS 歌詞より抜粋≫
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先ほどまで「誰より深くわたしを知っていた」と言っていた相手と、ここでは離れることを望んでいます。
わかりやすいように、「わたし」と「あなた」が恋人同士だと仮定してみましょう。
相手のことを想いつつも、「離れてしまえたらいいのに」と「わたし」が願う理由。
もしかしたら「あなた」には他にも恋人がいて、「わたし」は浮気されたことに気づいてしまったのではないでしょうか。
もし「わたし」が浮気に気づいていることを「あなた」にばらしてしまったら、今の2人の関係は崩れてしまうでしょう。
「わたし」がまだ相手を好きなのだとしたら、関係を壊したくないと黙っていることも、自分がこれ以上傷つかないために「離れてしまえたら」と願うのも納得できます。
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おのれ
どれほどあなたを想っていても
リトマスの紙は翳せないまま
わたしはそれでも
あなたの側に居てしまう
≪LITMUS 歌詞より抜粋≫
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楽曲タイトルの『LITMUS』とは、理科の実験などで目にするリトマス紙。
リトマス紙は酸性・アルカリ性に反応すると色が変わります。
リトマス紙を翳す行為は、「まだ自分を好きなのか」と相手に聞くことを表現しているのかもしれません。
リトマス紙の色が変わるように、相手に問えば何らかの決断が下されるでしょう。
もちろん、中には2人の仲が終わってしまう可能性も含まれています。
相手と今の関係を維持したいからこそ、「わたし」は相手に聞くことを放棄し、相手のそばにいることを選んでいるのでしょう。
心理戦の行方
『LITMUS』の歌詞は、人間の巧妙な心理戦が描かれているように思います。
生きている以上、「誰しも秘密を抱えている」というメッセージが込められているのかもしれません。
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何も言わずに
何も触れずに
全て透かされているかのような夜だ
そんなあなたの目に宿る光を
止め処なく それとなく
抱きとめる
≪LITMUS 歌詞より抜粋≫
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「あなた」の目線で見れば、「あなた」も「わたし」に対して秘密を抱えています。
もしかしたら、「あなた」も既に「わたし」の秘密に気づいているのかもしれません。
曲中盤の歌詞からは、お互い何も聞かず、何も触れず、ただ今の関係を維持しようとする姿が想像できます。
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おのれ
これまで流れた涙はどれも
リトマスの紙に翳せないまま
わたしはそれでも
あなたの側に居てしまう
≪LITMUS 歌詞より抜粋≫
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涙はアルカリ性のため、リトマス紙に翳せば色が変わります。
もし色が変わらなければ、その涙は「嘘」だということ。
ここでは、相手の言葉が正しいか嘘かを審判しているように捉えられます。
先ほどと同様にリトマス紙に翳さないのは、その審判すら放棄していることを意味するのでしょう。
お互いの秘密を打ち明けない限り一緒にいられるのなら、「わたし」はそれでもいいと判断しているのかもしれません。
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嘘はついていない
本当にも触れない
あなたにだけ言えない
秘密がある
≪LITMUS 歌詞より抜粋≫
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秘密に触れないことは、嘘をついているわけではありません。
一方で、真実が明らかになっているわけでもありません。
お互いに関係が壊れることを恐れながらも、2人は共にいることを選びます。
「秘密を打ち明けないこと」自体の善し悪しはともかく、曖昧なままの関係を保つことが2人にとって最善の道だと決断したのでしょう。
誰でも秘密を抱えて生きている
緑黄色社会『LITMUS』の歌詞の意味を考察しました。歌詞全体のテーマとなっている「秘密」。
人間、誰でも大なり小なりの秘密を抱えて生きていくものでしょう。
「何でも言い合える関係が理想」と言われますが、実際はかなり難しいことなのかもしれません。
自分の秘密を打ち明けるべきか、相手の秘密を暴くべきか、そこには巧妙な心理戦があります。
秘密にするからこそ保てる関係があるのなら、秘密にする行為自体は決して悪いものではないのかもしれませんね。