「あわてんぼうのサンタクロース」の原曲
本記事で歌詞を引用するのは『みんなで歌おう アンパンマンのクリスマス』というアルバムに収録されているカバーですが、まずは原曲について簡単に解説しましょう。
作詞を吉岡治、作曲を小林亜星が手がけており、原曲は1967年に発行された『NHKこどものうた楽譜集 第2集』に掲載されています。
クリスマスソングですが英語圏の楽曲ではなく、日本で昭和の時代に生まれた楽曲です。
吉岡治は歌謡曲・童謡・アニメソングなど幅広いジャンルで作詞家として活躍し、代表作としては『天城越え』があります。
小林亜星は作曲家・作詞家・俳優・タレント・歌手としてマルチに活躍し、生涯に6000曲以上を残しました。
まさに最強タッグだといえるでしょう。
「リンリンリン」はどこのかねの音?
それでは、歌詞を考察していきましょう。
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あわてんぼうの サンタクロース
クリスマスまえに やってきた
いそいで リンリンリン
いそいで リンリンリン
ならしおくれよかねを
リンリンリン リンリンリン
リンリンリン
≪あわてんぼうのサンタクロース (それいけ!アンパンマン) 歌詞より抜粋≫
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「クリスマスまえに やってきた」という歌詞から、サンタは日付を勘違いして慌てていると考えられそうです。
「リンリンリン」というのはかねの音ですが、かねは一体どこについているのでしょうか。
子供に人気のクリスマスソングとして『ジングルベル』という曲がありますが、このタイトルは「Jingle bells」、つまり「ベルを鳴らせ」という意味です。
『ジングルベル』はソリ遊びの歌で、ベルは馬ソリに付いています。
これをふまえて考察すると、『あわてんぼうのサンタクロース』のかねはサンタが乗っているソリかトナカイについていると考えられそうです。
サンタは「リンリンリン」と音がしきりに鳴るくらい、とにかく急いで欲しいとトナカイにお願いしているのかもしれませんね。
親近感のあるサンタクロース像
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あわてんぼうの サンタクロース
えんとつのぞいて おっこちた
あいたた ドンドンドン
あいたた ドンドンドン
まっくろくろけのおかお
ドンドンドン ドンドンドン
ドンドンドン
≪あわてんぼうのサンタクロース (それいけ!アンパンマン) 歌詞より抜粋≫
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サンタは子どもに見つからないようにこっそりとプレゼントを置いていかなければなりません。
しかし、この曲に登場するサンタは家のえんとつから落っこちて「ドンドンドン」と、大きな音を立ててしまいます。
また、サンタの特徴は白いひげですが、えんとつの中を通って「まっくろ くろけのおかお」に。
『あわてんぼうのサンタクロース』に登場するサンタは、一般的なサンタのイメージとは大きく異なりますよね。
幻の存在であるサンタクロースに親近感を与える歌詞だといえるでしょう。
サンタが楽しみになるクリスマスソング
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あわてんぼうの サンタクロース
ゆかいなおひげの おじいさん
リンリンリン チャチャチャ
ドンドンドン シャラランラン
わすれちゃだめだよ おもちゃ
シャラランリン チャチャチャ
ドンシャララン
≪あわてんぼうのサンタクロース (それいけ!アンパンマン) 歌詞より抜粋≫
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歌詞の終盤では「ゆかいなおひげの おじいさん」という言葉が出てきて、幻の存在どころか、近所のおじさん感すらあります。
あわてんぼうなぐらいが人間らしくて、愛嬌があるのかもしれませんね。
「わすれちゃだめだよ おもちゃ」という歌詞からは、子どもに「クリスマスプレゼントを持ってくるのを忘れるのではないか」と、心配されていることが分かります。
子どもに心配されるくらいあわてんぼうなサンタクロースに、とても親近感がわきますね。
クリスマスが近づいてきた頃に『あわてんぼうのサンタクロース』を聴くと、ますますサンタが来るのが楽しみになりそうです。