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星野源「Cube」の歌詞の意味は?絶望の中で生き抜くことを描く映画主題歌!

デジタルシングルとしてリリースされた星野源の最新曲『Cube』。2021年10月22日公開の映画『CUBE 一度入ったら、最後』の主題歌として楽曲制作が行われました。絶望的な状況下でも生き抜くことをテーマにした映画作品に寄り添う歌詞を考察。

映画「CUBE」と生を表現する歌詞

▲星野源 - 『Cube』【OfficialMusicVideo】

星野源の新曲『Cube』は菅田将暉主演の映画『CUBE 一度入ったら、最後』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。

この映画は1997年に公開されたヴィンチェンゾ・ナタリが監督を手がけるカナダ映画『CUBE』の日本リメイク版として制作されました。

映画のあらすじは謎の立方体=CUBEに男女6人が突然閉じ込められ、殺人的なトラップに次々と襲われながらも、暗号を解明して抜け出すことを目指すというもの。

CUBEに囚われた人間たちが恐怖と不信感の中、終わりが見えない道のりを、それでも「生きる」ためにひたすら進んでいく姿が描かれます。

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未来 閉ざした
もう終わりさ すべてに希望が見えない
振られた賽の中 閉じ込められた
≪Cube 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞は「未来 閉ざした」「もう終わりさ」と絶望を表現するような言葉が続き、映画の世界観に沿った歌詞であることが分かります。

「振られた賽の中」という歌詞の「賽」はサイコロを意味する言葉で、「賽は投げられた」ということわざがあります。これは「後戻りはできない」「結果がどうあろうと、やるしかない」という意味で使われることわざです。

映画のストーリーに沿って考察すれば、CUBEからの脱出を目指すしかない登場人物の心情を表現していると考えられるでしょう。

また「振られた賽の中」という表現を「この世に産み落とされたこと」だと解釈すれば、映画の主題歌という枠組みを超えてもっと広い解釈ができそうです。

『Cube』の歌詞は、突如としてこの世に産み落とされ、不安や苦しみに襲われることもある人生という“CUBE”の中に閉じ込められた私たちを表現しているのではないでしょうか。

映画主題歌としての役割を果たしつつ、「生きる」ことそのものを描いた歌詞なのかもしれませんね。

運命に抗って生き抜くことを肯定する


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運命の河流れ いま抗え
気付かず生き惚けた
過去をみな 紡ぎ縄に変えて
出口に繋ぐまで
≪Cube 歌詞より抜粋≫
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「運命の河流れ いま抗え」という歌詞は、“CUBE”に閉じ込められた運命に抗うことを鼓舞する表現だと解釈できそうです。

「生き惚けた」という歌詞の「惚ける(ほうける)」とは「何かに夢中になるあまり、心ここにあらずの状態になること」を指します。「生き惚けた」という言葉は「生きることに夢中になる」というニュアンスで使われているのかもしれません。

過酷な運命だとしても抗って生き抜くことを肯定する歌詞だと捉えられそうです。映画『CUBE』の登場人物だけでなく、今を生きる私たちの背中を押す歌詞ですね。

また「過去をみな 紡ぎ縄に変えて 出口に繋ぐまで」という歌詞からは、過去を「不安や苦しみから脱出するための力」に変えるというニュアンスが感じ取れます。

星野源という音楽家が、暗い学生時代や死の淵に立たされた闘病生活を経験した人物であり、そのような過去が表現に活かされていることを考えれば、彼の生き様が反映された力強い歌詞だと言えるでしょう。

逆境を力に変えるなど、人間のもつ無限の可能性を表現した歌詞だと解釈できます。

「Cube」の歌詞に滲み出る星野源らしさ


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一生の切なさを 笑いながら
踊らせろ
悲しみに座り くつろげるまで
僕らいつも果てなきこの愚かさの中
≪Cube 歌詞より抜粋≫
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「一生の切なさ」という歌詞は、“運命に抗え”というメッセージとは対照的に、“一生変わらない”というニュアンスを感じさせます。

とはいえ、続く歌詞は「笑いながら 躍らせろ」という言葉。

一生抱え続ける切なさに絶望して泣いたり、立ち尽くしたりするのではなく、一生の切なさに襲われてもなお、笑い、踊ることが星野源なりの“運命への抵抗”なのかもしれません。

特に、踊ることは自分だけでなく、観る者も楽しませる行為です。音楽・お芝居・文筆など、表現を愛する彼らしい運命への抗い方ですね。

コロナ禍における苦しい日々を乗り越えるために制作された楽曲も『うちで踊ろう』という曲名でした。彼は苦しみと闘うときに「踊る」という言葉をよく使います。

おもしろいものや楽しいものを作り出すことが絶望的な状況下における唯一の希望になりうるという考え方を持っているのでしょう。

ホラーサスペンス映画の主題歌なのに『Cube』がポップな曲調なのは、絶望の中でも楽しいもの=踊れる音楽を生み出すのが彼なりの絶望に対抗する方法だからなのかもしれません。

このような解釈をすれば、振付家MIKIKOが監督をつとめ、踊りによって楽曲の世界観を表現したMVが強烈な光を放ちます。

また、「悲しみに座り くつろげるまで」という歌詞からは、悲しみを排除しようとするのではなく、悲しみを受け入れて味わうような印象を受けます。

生きる限り、苦しみや悲しみがなくなることはありませんが、そんな“CUBE”の中でも自分なりの抗い方で生き抜くのだという強い意志を感じます。

ポップな曲調に絶望を表現する歌詞をのせた楽曲『Cube』は、柔らかい笑顔の奥底に絶望を抱えながらもしなやかな強さをもつ星野源という人物が色濃く反映された楽曲だと言えるでしょう。

1981年、埼玉県生まれ。音楽家・俳優・文筆家。 2010年に1stアルバム『ばかのうた』にてソロデビュー。 2015年12月リリースのアルバム『YELLOW DANCER』がオリコン週間アルバムランキングで1位を獲得。 2016年10月にリリースしたシングル『恋』は、自身も出演したドラマ『逃げるは恥だが役に···

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