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案山子 feat.初音ミク「真生活」TikTokで大注目!夢と現実の間で揺れる歌詞の意味を考察

ボカロPとして活動する今大注目の案山子のシングル『真生活』が、TikTokで大きな話題に。2年の時を経て注目された、切ない想いが詰まった儚く繊細な歌詞の意味を紐解きます。

案山子の名作ボカロ曲をTikTokで発掘

TikTokは過去の良曲を発掘するツールとしても大活躍しています。

今特に注目を集めているボカロP・案山子の『真生活』も、2019年に配信リリースされた1枚目アルバム『rouge』の収録曲です。

▲案山子 feat.初音ミク-真生活【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

2年が経った2021年の夏頃からカバー曲がTikTokを中心にSNSで話題となり、原曲もSpotifyバイラルチャートで約1週間に渡り1位を独占する人気ぶりとなっています。

軽快で独創的な音楽とセンスあふれる言葉の融合が魅力で、10月から始まったカラオケ配信も好評です。

案山子によると、この楽曲は海外ドラマ『エレクトリック・ドリームズ』の第1話「真生活」のストーリーを歌詞の世界観の元ネタにしているそう。

この作品は、現実世界とVR世界を行き来するうちにどちらが本当の世界か分からなくなるという内容です。

そんな夢と現実の間でぼんやりと揺れる女性の姿を、情景を想像させるフレーズと初音ミクの儚く呟くような歌声で表現しています。

さっそく歌詞の意味を考察していきましょう。

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ねえ ねえ 話をしてよ
夢の中 触れたまま
make me want to cry
有り触れた 幸せの意味 なんて
分かんないままだ
≪真生活 歌詞より抜粋≫
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「ねえ ねえ 話をしてよ」というフレーズは、恋人であれば当たり前にあるもののように感じます。

しかし「夢の中 触れたまま」と続いているので、相手は夢の中でしか話したり触れたりできない人だと考えられるでしょう。

別れたか、亡くなってもう会えない彼への喪失感を抱えている女性が主人公のようです。

「make me want to cry(泣きたい)」とあえて言葉にするのは、おそらく泣けないでいるから。

大切な人を失って「有り触れた幸せの意味なんて分かんないまま」取り残された衝撃に、泣くこともできず呆然としている女性の姿が垣間見えます。

失った彼を想って痛む心


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朧げな夜に 一滴の血を流す
理由もなく餓える 私
明日になれば全部 泡沫にチェンジ
おやすみを唱えた
都合良い プロット 書き殴って
バスタブ モルヒネを1000cc
蝶に謳う絵空事
「後で会おう」なんて馬鹿みたい
≪真生活 歌詞より抜粋≫
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独りぼんやりと過ごす夜に流される「一滴の血」は、自傷行為を指しているのかもしれません。

「餓える」とは飢えて死にそうな極限の状態を表します。

「理由もなく」と言いつつ、きっと彼がいない喪失感に苦しみ、消えてなくなりたいような気持ちになっているのでしょう。

夜の寂しさも翌日になればなくなるから、と無理やり眠ろうとしているようです。

続く部分では「都合良いプロット」を書き殴るとあるので、現実は違うと分かっていながら彼を失った原因を都合よく解釈しているように思えます。

次に出てくる「モルヒネ」は医療用麻薬で、鎮痛剤として使われる薬です。

使い方によっては過剰摂取で亡くなることもある薬ですが、モルヒネ1000ccをバスタブに入れるという行為はあまり現実的ではない表現に思えます。

そのため、これは眠った後の夢の中の出来事で、心の痛みに耐えかねて鎮痛剤で和らげられるならそうしたいという思いが反映されているのではないでしょうか。

「後で会おう」という言葉はおそらく彼の最後の言葉だったのでしょう。

それを「馬鹿みたい」と一蹴していることを考えると、やはり彼はその後亡くなってしまい永遠にこの言葉が叶えられることはなかったと考察できます。

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ねえ ねえ 話をしてよ
夢の中 触れたまま
make me want to cry
有り触れた 幸せの意味など
思い出せない
≪真生活 歌詞より抜粋≫
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この部分は最初のサビとほぼ同じフレーズですが、後半が「有り触れた幸せの意味など思い出せない」に変わっています。

「思い出せない」ということは、かつては幸せの意味を感じていたということ。

その幸せに不可欠だった彼がいないせいで、何が幸せだったのか分からなくなったのでしょう。

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ねえ ねえ 目を合わせてよ
雨の中 濡れた肩
二人だけのspaceで
虚ろだって分かってるから
朝が来るまで待っててください
≪真生活 歌詞より抜粋≫
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「雨の中 濡れた肩 二人だけのspaceで」というフレーズは、相合傘をするカップルの姿を想像させます。

雨音で周囲の音が掻き消される傘の中は、まるで二人だけの空間のようです。

傘からはみ出た肩を互いに濡らしながら歩く時間は充実していますが、それでも隣り合って目が合わないことが寂しくも感じます。

しかし、そんな幸せな記憶も過去のことで、苦しい現実の中に現れる束の間の「虚ろ」な夢です。

主人公はこれがただの夢であることを理解しているので、せめて朝が来るまではこのまま夢の中の幸せに浸っていたいという気持ちが伝わってきます。

「真生活」のタイトルが意味するものとは


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綻びた日々 濁った祈りを残す
果てもなく流れる痛み
確かめてよ 全部 裏腹なセンチ
微睡みに預けた
クロージング スロット 合い違えて
華やぐシナリオは幽玄に
宙に浮かぶ独り言
もう大丈夫なんて馬鹿みたい
≪真生活 歌詞より抜粋≫
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悲しみばかりで「綻びた日々」の中、不純な「濁った祈り」で自分を救おうとする主人公。

しかし、心の痛みは全身に広がって、絶え間なく現実の自分を襲います。

自分を残して去った彼に、どれほど苦しい日々を送っているか分かってほしいと感じているようです。

次の「クロージング」と「スロット」は共通してビジネス用語にある言葉です。

「クロージング」は顧客と契約を終結するという意味で、「スロット」はスケジュールに割り当てられた時間や場所を表します。

それらが「合い違える」とあるので、もうこの関係は終わっているのに以前から立てていたデートの計画だけがカレンダーに残っている状態と考察しました。

未来を想像した「華やかなシナリオは幽玄」でどこまでも美しく心に残っていますが、決して現実にはなりません。

彼がいなくても「もう大丈夫」と呟いてみても、そんなはずがないことは本人が一番よく分かっています。

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最低な私に相応しいディナー 病的なまでに美学を詠って
蕩けた脳に問いかけた愛 もう会えないなんて言わないで
≪真生活 歌詞より抜粋≫
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「ディナー」という言葉は、ここでは最後の晩餐をイメージさせます。

彼女が自傷行為をしていたとすれば、どん底にいる自分の人生を遂に終わらせようと最後の晩餐を用意した風景を想像できるかもしれません。

「蕩けた脳」は夢と現実が分からなくなってきたことを表しているのでしょう。

本当はもうどうにもならないことが分かっているため、夢の中の彼も「もう会えない」と言い、悲しむ彼女に追い打ちをかけます。

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ねえ ねえ 私を見てよ
明日また探すから
Please rough with the lie
有り触れた 幸せの意味など
もう見出せない
≪真生活 歌詞より抜粋≫
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「Please rough with the lie」は「嘘で笑って」と訳せそうです。

「rough with」には相手に荒々しい態度を取るという意味もあるようなので、笑顔というよりは馬鹿にする様子と考えられます。

もういない相手を探し続けて現実を誤魔化そうとする自分のことを笑ってほしいと思っているのかもしれません。

彼のいない毎日の中には「有り触れた幸せの意味などもう見出せない」のです。

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ねえ ねえ 手を合わせてよ
青い傘 揺れた花 二人だけのspaceで
虚ろだって 分かってるから
夜が明けるまで此処に居させて
≪真生活 歌詞より抜粋≫
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「手を合わせてよ」というフレーズは、死者を思って合掌する姿を表しているように感じます。

そうであれば「青い傘」は二人が相合傘をしていた思い出のもので、「揺れた花」は彼のために手向けられた花を連想させるでしょう。

自分が手を合わせるのではなく「手を合わせてよ」と呼びかけているのは、彼の面影に縋ってきた自分を終わりにしようとしているからと考えることができます。

「夜が明けるまで此処にいさせて」と歌うのも、幸せな夢から抜け出して現実に戻ることを決めたからではないでしょうか。

どれだけ願っても戻っては来ない彼との夢に浸るのはやめて、新生活を送ろうとしているということです。

ここから現実世界で新しい人生が始まるという意味で、それは「真生活」と言えるのかもしれませんね。

「真生活」で案山子が生み出すボカロ曲の美しさに触れて



案山子の『真生活』は、脱力感が漂う内容でありながらその独特な世界観に引き込むパワーを感じる楽曲です。

大切な何かを失った時に感じるぼんやりとした不思議な感覚を、絶妙な表現で体感させてくれます

案山子と初音ミクのタッグが贈る、切なくも美しい世界に浸ってみてください。

この特集へのレビュー

女性

マユカ

2023/06/10 19:40

彼氏に振られたときに聞きたい曲~(笑)

女性

レミりん@れみり

2022/09/11 17:46

私は、彼がいないと脳がとろけちゃう?みたいな病気にかかってる子なのかなぁと思いました!

女性

いちごだお

2021/12/13 14:10

この考察を読んで、主人公が可哀想だと思いました。
そして、この歌詞を考えた人すごっ!

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