莉子・杢代和人が出演するドラマ仕立てのMVが話題
2021年10月4日、りりあ。の5作目となる最新曲『私じゃなかったんだね』が配信リリースされました。5月にTikTokで弾き語り動画が公開されてから、大きな話題を呼んでいた楽曲です。
りりあ。がSNSで「失恋したので曲にしました。」と語っている通り、自身の実体験を元に綴った王道の失恋バラード曲。
YouTubeで公開されているMVはりりあ。初の実写で制作されていて、10代を中心に人気の莉子と杢代和人が主演を務めています。
優しいバンドサウンドと共感性の高い歌詞、りりあ。の透明感ある歌声が失恋の切なさをたっぷり表現し、恋愛ショートムービー風のMVがさらに歌詞の情景をリアルに伝えていますよ。
さっそく『私じゃなかったんだね』の歌詞の意味を考察していきましょう。
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私じゃないなら
もう優しくしないでよ
あんなに寝落ち通話してたくせに
ずっと君の側にいたいのに
いたかったのにな
もう隣にはいなかった
≪私じゃなかったんだね。 歌詞より抜粋≫
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主人公の女性は、恋人に「私じゃないならもう優しくしないでよ」と告げています。
心変わりしてもう私を選んでくれないのなら、これ以上優しくしないでほしい。
「寝落ち通話」も何度もしてこの日々がずっと続くと思っていたのに、と寂しく彼との関係を振り返っているようです。
そして「ずっと君の側にいたいのに」と言いつつも、「いたかったのにな」と過去形になっています。
これは彼自身の心が「もう隣にいなかった」ことに気づいたからなのかもしれません。
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君が1番わかってるよね
その口癖がどこから来たのかも
隠しても無駄気づいてるんだから
ずっと
耐えてきたんだよ
≪私じゃなかったんだね。 歌詞より抜粋≫
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彼の口癖がいつの間にか変わっているのは、それだけ自分ではない誰かと一緒に過ごしているからです。
彼は隠しているつもりでいますが、彼女はそのことにも気がついています。
気づかなかったことにして「ずっと耐えてきたんだよ」の一言に、彼女の苦しい胸の内が垣間見えるようですね。
思わせぶりな彼を信じてきた日々
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下手くそな演技に
付き合った時間
無駄なんかじゃないって信じてた
君のために尽くしてたんだよ
ずっと君もそんなのわかってたんでしょ
≪私じゃなかったんだね。 歌詞より抜粋≫
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彼の「下手くそな演技に付き合った時間」は、虚しくも満たされた時間だったのでしょう。
好きな人とであれば、どんな時間でも愛おしく思ってしまうものです。
それでも「無駄なんかじゃないって信じてた」という言葉は、どこか自分の心を誤魔化していたようにも感じます。
本当は意味がないことを薄々気づいていながらも諦めきれず、いつか報われると信じて尽くし続けることしかできなかったのではないでしょうか。
好きだからそこまでできたのに、想いが届いていなかったことが彼女を追い詰めます。
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あの時私に言った
かわいいって言葉も
勘違いしちゃったでしょ
君は思わせぶりがうまいから
沼から抜け出せないまま沈んで
勝手にハッピーエンド描いてさ
ずっと 君しか嫌だよ
≪私じゃなかったんだね。 歌詞より抜粋≫
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女性なら好きな人からの「かわいい」という褒め言葉への嬉しさを理解できるはずです。
もしかしたら彼はまだ自分を愛してくれているのかもしれない、と勘違いするのも無理はないでしょう。
彼の「思わせぶり」な態度でどんどん恋の沼に沈んで、彼に期待することをやめられません。
「勝手にハッピーエンド描いてさ」と彼女は自分に呆れているようですが、おそらく誰もがそんな失敗を経験しているのでは?
「ずっと君しか嫌だよ」という一途な想いがあるからこそ、余計に報われない彼女の恋が切なく感じますね。
MVで二人が笑顔で過ごした街の風景の中に一人で立つ主人公の悲しい表情も胸に迫ります。
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さりげなく言ったかわいいも
何気なく過ごした日々も
私の心を奪っておいて
君は何も無かったように
≪私じゃなかったんだね。 歌詞より抜粋≫
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彼の言動や共に過ごした時間の全てで心を奪われたのに、彼自身は「何も無かったように」していることにも心が傷つきます。
彼女にとってかけがえのない特別な日々が、彼にとっては大したことのない時間だったと突きつけられているかのようです。
二人の間の温度差を思うと、彼女の喪失感や絶望感が伝わってきます。
別れても想いを捨てられない本気の恋
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私じゃないなら
もう好きとか言わないで
今もまだ残ってる君のぬくもり
もっと良い人がいるよって
君が言わないで
≪私じゃなかったんだね。 歌詞より抜粋≫
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この部分の歌詞は遂に彼との別れの様子が描かれています。
彼はもう違う人に想いを向けているのに、まだ彼女を「好き」と言っているようです。
それでも、見て見ぬふりをして想いが通い合わない恋を続けるのはつらすぎます。
別れても「今もまだ残ってる君のぬくもり」の表現に、彼と過ごした時間の長さと彼女の未練が感じ取れますね。
続く「もっといい人がいるよって君が言わないで」というフレーズにも、失恋の悲しさが表れています。
これからの長い人生で確かに素敵な人に出会えるかもしれません。
しかし失恋したばかりの彼女にとって、本気で愛していた彼からは気遣いだとしても「もっと良い人がいるよ」なんて慰めてほしくなかったのです。
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もう会えなくなるんだね
「私以外で幸せになれるはずない」
他で幸せになってね
なんて嘘だよ。
私じゃなかったんだね。
≪私じゃなかったんだね。 歌詞より抜粋≫
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当たり前のように共に過ごしてきたために「もう会えなくなる」と改めて気づいた時の虚しさは大きかったことでしょう。
彼に「他で幸せになってね」と伝えたとしても、見栄を張っているだけで本当はそんなことは思っていません。
「私以外で幸せになれるはずない」の言葉こそが本心です。
こんなにも彼を愛し、彼に尽くす人はきっと自分しかいないと信じています。
別れても自分こそが彼を幸せにできたと考えるのは、それだけ本気で恋をしていたということです。
そして、自分以外の人と幸せにならないでほしいという密かな願いも込められているのでしょう。
最後に歌われる「私じゃなかったんだね。」のフレーズには、諦めや落胆などの複雑な気持ちが感じられます。
失恋の悲しみに共感すると同時に、つらい思いをした分素敵な恋が訪れるよう願いたくなる楽曲です。
「私じゃなかったんだね」の切なさが心に沁みる
2020年から自身で作詞作曲を始めたりりあ。ですが、エモいメロディと心に響く歌詞は彼女の卓越した音楽センスを物語っています。
『私じゃなかったんだね』は実体験だからこそ生々しい言葉で表現されていて、リスナーの失恋の記憶を呼び起こすようなリアルさに惹きつけられるでしょう。
今後のりりあ。のオリジナル曲にさらに期待が持てる名曲をじっくり味わってみてくださいね。