自分がめっちゃ健気なんだと気づいた『夢の中シンドローム』
──歌詞の内容について少しお話しが出てきたところで、ここからはその内面的な、歌詞の部分についてお伺いしたいと思います。本当は5曲全部、じっくりお伺いしたいところであるのですが、時間の関係もあるので“この曲のここ、すごく想いを込めました”みたいなところをピックアップしていただければと思います。
三澤:お~、難しい! でもそうですね、まずは『世界が私を呼ぶから』の「それでも私は進み続ける」という部分ですかね。これってセリフなんですけど、元々は砂時計に関連してだと思うんですが、「時が刻み続ける」みたいな感じの歌詞だったんですよ。
でも、私が時を刻んでいきたいから時が主語は嫌ですって伝えて、そしたらこのいい感じのセリフに変えてきてくれたんです。
おかげですごく言いやすくなって歌いやすくなりました。
でもこの部分のセリフ、レコーディング時はみんなで“どれがいいと思うか選手権”を開催しました(笑)。
とりあえずいろんな言い方してみて、“これはエモい”とか、“これはちょっと先に進む感じがすごく良くて”とか、“なんかこれは曲とちょっと合わないんじゃないか”とか、声が明るすぎるとか暗すぎるとか…。
結局、すごい難しいところでもありますけど、一番素っぽいやつになりました。
──この部分のセリフ、いいですよね。ここ聞いた時、思わず“強い!”ってなりました。
三澤:ありがとうございます(笑)。結果これがすごく収まりもいいし、良かったなって思います。
あとはどうだろう、う~ん。『歌うよ』はもう、このまんまな歌だしな~。
あんまりSNSは関係なく、私が何で歌っているのかどうして歌いたいのかっていうのをただ伝えただけの歌です。三澤の素直な自分の歌いたい気持ちをただ素直に書いて、だから歌うし作るよっていう曲ですね。
──この曲はアルバムのイントロソング、導入部分にもってきてもいい感じの曲だなと思いました。
三澤:そういう話もあったんですけど、でもアルバムのリード曲にするのは違うなってなったんですよね。これまで何曲か作ってきたんですけど、私が作る曲ってけっこう可愛らしい感じの曲になりがちなんですよ。
この曲、実はイベントとかライブとかの一曲目とかアンコールの最初とかに歌えたらいいなと思って作ったんです。だからライブでは絶対いつか歌いたいんですよね。ステージにスポットライトに照らされた三澤が一人だけみたいな環境で、裸足で歌いたいんです。
でも今回のアルバムのリードにするにはキャッチーさが足りないし、引きが弱いなと思ってがっつり商業的に考えた結果、ないなと。ちょっと私の技量がまだまだでしたね~。
『透明人間』と『瞳』はSNSとかを見てて私が思ったことを詞にしたものですね。皆さんはどう感じるか、ちょっとこれは発売されてからの反応も楽しみにしています。
で、『夢の中シンドローム』。これはね~もう、すごい。よく三澤に会ったこともないのにこんな曲作れるな、すげえなって思いました。ドキッとしたのはラスサビの「Ah 健気に 生きていく 意味はあるの?」ってところで。
私も、一生懸命生きているけど何の意味があるのかとか考えたことはあるんですけど、その自分の姿を健気って考えたことなかったので、“わあ! 健気か!”って。健気って一生懸命さもあって、ちょっと可哀想な感じもあって可愛さもあって哀しくて。“ああ、すごい。そういう捉え方があるんだね”って、自分ではないからこそ出てくる自分に当てはまる言葉にすごくドキッとしてびっくりしました。
自分で言うことじゃないけど、そういう言い方をされると、“確かにめっちゃ私、健気だと思う”と思って(笑)。自分のことを形容するときに自分では絶対思いつかない言葉だったので、すごいな~って思いました。
で、その「健気に生きていく 意味はあるの?」っていうラスサビから、わからないからもう寝ちゃおうって繋がっていくんですよ。この、どこからが夢でどこからが現実かわかんない感じが音からも歌い方とかからも出ていて。もうホント、好き!ってなっています(笑)。
あとこの曲はなんかちょっと携帯見ながらうつらうつらしているみたいな、その感じがすごくして。ネットニュース見ながら、夢見てたんだか、リアルなんだかわかんないみたいなあの瞬間をちょっと思い起こしながら歌いました。
「理不尽によく似た 否定から遠い世界は」のところとかも、現実の世界が嫌だからネットの世界に逃げ込もうと思ったけど、ネットでもなんかいろんな人の自慢とかばっかりで、なんか居場所ないなみたいな感じがあって。夢なのか現実なのか、現実なのかSNSなのか、どっちに自分がいたらいいのか分かんないみたいなそういう葛藤の中、結果、わからないから「今日も眠ろう」ってとりあえず明日にして。
でも明日もたぶんこの気持ちで過ごして、そうやって伸ばして伸ばして先延ばしにしてっていうのは、きっとみんな、“そうそうそうそう!”ってわかってくれるんじゃないかなと思います。
最近同世代とか年下の女の子ファンが増えてきたんですけど、そういう子達には特にわかると思ってもらえそうだなって。
──夢をデジタル世界として置き換えると、「今日も眠ろう」は、今日も自分じゃない自分としてSNSの世界に行こう、とも捉えられます。
三澤:そう考えると「無制限な白色」っていうのも携帯の光なんですよね。あと『世界が私を呼ぶなら』でも「光」っていう言葉が何度も出てくるんですけど、この「光」って携帯を暗闇で開いた時のうっすら顔が照らされたりする感じ、その光を表しているんだそうです。
なので、『世界が私を呼ぶなら』のMVでも普通なら光の表現って上から光が降っている感じだと思うんですけど、その時もこの光は携帯が照らす光だから上じゃなくて下から、手元を見ながら光がまぶしいっていう風にして撮りました。
だから今回においての光は将来とか上とかじゃなくて手元にあるもの、その第2の自分の世界みたいなことを光と称してくれていて、そう思って聴いてもらえるとよりしっくりくるんじゃないかなと思います。
苦労した『夢の中シンドローム』のレコーディングでチームのありがたさを知る
三澤:あと、この曲に関してはレコーディングにものすごく苦労しました。この曲、けっこうリズムが難しいんですよ…。──ああ、確かに。ちょっとジャジーな感じもありつつで、グルーブをつかむのが難しそうです。
三澤:もう本っ当に難しかったです。大人っぽい曲なので、声も大人っぽく歌っていたりするんですけど、レコーディングしていてもいまひとつリズムに乗れないというかグルーブ感がないというか、“なんかちょっと違う”ってたぶんその場にいたみんなが思っていたであろう感じで。
結局、3時間くらいレコーディングして一旦これでOKということにして休憩しましょうってなりまして。その後に、じゃあ一応全部録り終わっているけど記念で、もう一回頭から歌ってみましょうかってなって録った2~3回のテイクが、実はほとんど使われています。その前の3時間は長~いリハーサルでしたね(笑)。
──休憩前と後では何が違ったんでしょう?
三澤:なんでしょうね。休憩で一回チカラが抜けたりとか、落ち着いて考えてみてストンと曲が腑に落ちて理解度が深まったとか、いろいろ理由はあるんだと思うんですけど。
レコーディングエンジニアさんも前から何度もお世話になっている方で、しかも涼真さんともよくお仕事をしている方だったので、三澤がどうしたら歌いやすくなるんだろう、どんなディレクションしたら歌いやすくなるんだろうっていうのをめちゃめちゃ考えてくれて。
で、全部録り終わって“これでいきましょう”ってなった後に心も体も声もリラックスした状態でもう一回記念に録ってみましょうって歌ってみたら、なんか“あ、これだ!”っていうのが分かった瞬間があった感じなんです。
だから二人がそうやってマイク変えてくれたりイヤフォン変えてくれたり、バランス変えてくれたりとかしながら、どうしたらより良くなるのかっていうのを一生懸命考えてくれたおかげだなって。
なにより、一回は“これでもいいけどね”ってものが録れていたけれども、さらにそこから三澤ならもっとイケるでしょっていろいろやってくれたその信頼がね、もう嬉しかったです。
“とりあえず録れてるからここで終わりにしましょう”ってやった方がみんな早く帰れるのにね(笑)。
だから本当に、このアルバム全部を通してなんですけど、私一人の力では全然足らないところを周りのみんなでなんとかしようとしてくれていて。
そういう涼真さんやいつものnaotyu-さんとかも含めた素敵なメンバーに囲まれて制作できたおかげで本当に全部に納得がいくものができて……幸せですね。
最初にミニアルバムを出すっていう話を聞いた時はこんなに充実した制作ができるとは正直思ってなくて、“あ~私、砂時計販売の人になるのか”なんて思ってたんですけど(笑)。終わってみたら本当に自信を持って出せるものになったし、この一曲だけとってみても、めっちゃいい音楽経験をさせてもらえたなって感謝しています。
──『夢の中シンドローム』はそんなに苦労した曲だったんですね。聴いている分にはそんな大変さは微塵も感じられなかったです。
三澤:ああ、それは良かった…。そう言っていただけるのは嬉しいです。もう、一曲の中で構成も変化していくし、リズムも音もとりづらいし、最初に曲をもらった時は、“涼真さんはいったいなんで私にこれが歌えると思ったのか、歌わせたいと思ったのか”って疑問だったんですよね~。
けど、三澤ならイケるって思ったから多分出してきたと思うので、これは絶対応えなきゃ!と思いましたし、涼真さんの才能も感じてもらえるいい機会にもなるかもしれないしと思ってがんばりました。
だから今となってはこの曲は本当に涼真さんと組めて良かったなって思う曲のひとつです。そしていずれはこの曲をライブでしっかり歌えるようになるのが目標ですね。これが歌えるようになったら、マジで歌手としてめっちゃ成長した感あると思います。
──ライブでしかもバンドとか入っちゃった日にはもう…
三澤:バンドいいですよね~。団体行動は苦手なんですけど、信頼しつつ私にも頑張って合わせてくれつつ、何かいろいろ教えてくれるいいバンドとライブをしっかりできたら嬉しいです。
実はけっこう演出とかはすでに自分の中であるんですよ。ここでこういう光が欲しいとかあるんですけど、今までワンマンライブをやったことないし、しかもバンドマンってみんな怖いと思ってるんで(笑)、どうなるかわからないですけど、それらを全部克服して、いつか生バンドで披露してみたい曲です。
──そこはもう、涼真さんにバンドマン招集してもらうしかないのでは(笑)。
三澤:それいいですね! 涼真さんとそのお知り合いの方なら、腹話術のように涼真さんを使っていい感じに三澤の考えを伝えてもらえるし(笑)、いいチームになりそうです。そのステージは楽しそうだなあ。
涼真さんはすごく映像が見えている人なんで、ライブやりたいって言った瞬間、“この曲順でこういうライトつけて、これぐらいの客数で”っていうのはたぶんすぐ浮かんでくると思うんですよね。今回、そういう強い人脈ができたのでもしかしたらもしかして何かあるかもしれないので、ファンの皆さんはその日が来るまで待っていてほしいなと思います。
でも生バンドで披露かあ。したいですね~。
言葉を音楽にすれば、私は自由になれる!
──さきほどご自身の作詞された曲に関してはサラリと流されていましたが、ご自身の作詞された詞についてはどうですか? 伝えたい想いを込めた部分などがあれば。三澤:それが…、だいたい私の作詞作曲の仕方は、“あ、今浮かんできた”って感じで、曲とメロディーが同時に出てくるタイプなんですけど、この時点では何かを伝えたいのか自分の中で出た何かが音になっただけなのか、分かんないんですよ。
ただ、数曲あるストックの中で今、世の中に物申したいって思ったのがこの『透明人間』と『瞳』だったんですよね。むしろこの2曲を世に出したくてという感じなので、そこにはもちろんそれなりの想いもあるんですけれども。
…それを言うのがいいのかどうか。私が言っちゃうとそれが正解になっちゃうので。
──感じ方の幅が狭まそう?
三澤:そうなんです。それ以外の聴き方ができなくなっちゃったりしたら嫌だなダメだなって思うので。
なので一言だけ説明させていただくと、みんなも分かると思う言葉と私にしかわからない言葉を混ぜて、共感することもできる商品として仕立て上げたけど結局、すごい三澤が世界に言いたいことを何かまろやかにしたりしなかったりしてキレイな手段で伝えているって感じの曲です(笑)。
──ものすごく説明しているようで全然説明になっていませんでしたが(笑)。
三澤:じゃあ、あと曲の背景だけお伝えすると、この2曲は先ほどからお伝えしているようにSNSがテーマで。今、何かをネットとかツイッターとかに上げてしまうと、それだけでネットニュースになったりもしますし、だからこそ私のせいで誰か他の方やコンテンツとか作品に迷惑をかけたくないから言いたいことも何も言えなくなっちゃう部分もありまして。
本当にもう、告知と自撮りしか上げられないみたいになっちゃった瞬間があって、苦しくなっちゃって。そういう時にその気持ちを曲にしたのがこの2曲です。
──まさにご自身の中から“吐き出した曲”。
三澤:そうですね。思っていることとか愚痴とかなんかよく分からない感情とかをアレンジャーさんとか楽器の人に手伝ってもらって曲にしていただいたらなんかいい感じにできた、みたいな。そう考えると歌ってすごいなって思います。
自分の中で思っていることとか、人前で言わない方がいいのはわかっているけどでも“私も人間だからちょっと言いたい”ってこととかを、そのまま口に出すと問題になるけど曲にしたらOKというか。
本当に本心で歌って作っているのに曲にしただけでいろんな感じ方ができたり受け取る方にもちょっと距離ができたり、曲だからこそ私の精神世界に入り込んでくれる方もいるだろうっていう、音楽にはそういう“音楽だし”っていう逃げ場があるんですよ。
だから想いを曲にした瞬間、私は自由に発言ができるんです。もしかしたら私はそのために曲を作っていたのかもしれないなって思います。
アルバムや曲を世に出すっていう責任感はもちろんありますし、ありがたいことに注目度も高いから、なんでもいいってわけじゃないってことはわかってはいるんですけど、その反面、もう歌だったら何したって許されるんでしょ?とも思っているんです(笑)。
反骨精神ですね。何か言ってくる人も歌だったら芸術だって言って炎上しないんでしょ? っていう、社会に対するなんか、こうしといたらいいんでしょ?っていう反骨精神の現れですね、私の音楽は(笑)。
なので、実は曲にはものすごく三澤の内面が表されてはいるんですけど、どう思ってもらってもいいし、どう捉えてもらえてもいいし、三澤さんの精神世界に触れたいって人は触れてくれてもいい。でも触れることは絶対できないので。
そういう正直に伝えたいことを伝えられる音楽って、すごい自由でいいなって本当に思います。
このアルバムのおかげで一年ぶりに呼吸ができました(笑)。
──音楽は三澤さんにとってものすごく大きなものなんですね。三澤:大きいです。アーティストの自分もやっぱり自分ではあるんですけど、普段自分の名前で役も背負って作品も背負ってリスナーも背負ってっていうことをやっている社会的な立場から言えることも言えないこともある中で、“芸術です”って言った瞬間許されるというか。
しゃべりや文字だと、“こう感じてください”って言うことしかできないし変に勘違いされることもあるし、自分が言ってもいけない、考えてもいけない、感じてもいけないって思って、自分で制限してしまっているようなことでも、音楽の世界だったらけっこういろんな伝え方や表現ができるし、感じるほうも自由に感じてくれる。
あとは私、ファンの人に“わかったような顔すんな”ってよく言うんですけど、私の心を知ってる風の発言されるのが一番嫌だし、“三澤のこと知らないくせに”と思うんですよ。
でも音楽の場合は何かその人それぞれの感じたままでいいなって思えちゃうんです。私も感じたまま自由に作ったし、みんなの感じることも自由だからねって。
ラジオとか芝居とかで自分自身を否定されたら悲しいけど、音楽を否定されても“あなたには合わなかったんだ。でもそれが私だからしょうがなくない?”っていう、何か開き直って素直になれる正直になれる部分があるんです。
音楽は私にとってそういう唯一の場所的なところ、いろんなものに縛られている三澤紗千香から三澤紗千香を解放させてくれるもの、なのかもしれないなと思います。
──そういう風に考えていたのは最初からだったんですか?
三澤:いや、『I‘m here』のときはだいぶ商業的なことを考えていましたね。サビがキャッチーであるべきだとか、このキーの方がいいとか。ずっと曲を作りたかったけど作れなくて、でも知識だけはあったんで。
やっぱり最初に三澤が作詞作曲で出す曲だから、キャッチーでみんなが求める三澤さんであり、でもちょっとだけ見せる本音っぽい表現もあるっていう感じがいいのかな、そこに商品価値があるんじゃないかと思っていたんですよね。
なので、他の綺麗な方が歌うやつとか超ロックな人が歌うやつでもなく、いろんな活動をしてる三澤だからこそ込められる、意味がある『I‘m here』を出して、『青い涙』とかでちょっとマイナスな自分の部分をファンタジーにしてお届けして。
今回はなんというかもっと自分というか、自分の好きなロックで自分の中から出た音楽を馴染みある作家さんに好きなようにアレンジしてもらって、私らしくもあり新しい私を作ってほしいっていう感じでお願いして作ってもらって。
そうやって作って行った結果、曲を作るのは楽しいなあってとこに落ち着きました。音楽は難しいし、全然まだまだとも思うんですけど、私の精神世界を表現できるものが“ここにあった”って感じなんですよね。
自由に、私が感じたことも考えたことも伝えたいことも伝えたくないことも入れても入れなくてもいいんだ!っていうすごく私のとっての自由の場所で、表現も自由で。音源としてはこうだけどライブではこんな感じまで表現しちゃおうとかいろいろ考えられたりもしますしね。
なのでこのアルバムを作るときに考えたコメントにもあるんですけど、“救い” なんですね、私にとって音楽を作ることって。その、私にとっての“救い”になっていた自分の中の曲がみんなのもとに届いて聴いてくれる人がいて、世の中に発信することができるっていうのは、幸せですね。
どう思われるか心配な部分もありますけど。深呼吸みんなができなくなっちゃう可能性もありますけども。“三澤さんこんなこと考えてたの!?”みたいな(笑)。
けどこれは私の呼吸なので私はこれで呼吸できているから! うん。音楽は私にとっての呼吸です。だから今回の5曲で、私は久しぶりにまた呼吸が、1年ぶりに呼吸できた感じがしました(笑)。幸せです。
──三澤さんにとって今一番自然で自由な自分が出せるのが音楽なんですね。
三澤:そうですね。ここはマジで本当の自分になれているので。あんまり商業的にもっとこうした方がいいとか作詞が作曲がこうとか、一切言われないんですよ。
──完全にお任せされている。
三澤:それでいいのかとも思うんですけど(笑)。でもそれもなんかいい出会いだったなって。人が違えば私が作ったものをガチガチに直してきて、“売れ筋はこれなんで”とか、三澤さんのイメージ的にこういうのは良くないですとか言われる可能性ありましたからね。
だけど実際は事務所も見守ってくれているし、今のプロデューサーが組んでくれてからずっとなんか私の表現を大事にしてくれるので。
逆に直されなくて心配だったんですけど、直されなかったおかげで自分の表現っていうのを良くも悪くも反省したりそのまま伝えられたりもしていて。三澤紗千香っていうなんかお飾りの歌手活動じゃなくて、ちゃんと本当にアーティストとして育てようとしてくれてる…のか放任主義なのかわかりませんけれども(笑)、でも私が自由にやりやすいようなスタッフィングも大体固めてくれるし、なんとかいい感じで予算も取ってきてくれるので、私もお返しできるように頑張ってまた次のチャンスがもらえるようにやっていきたいなって思っています。
でもすごい自由で、自由すぎてごめんねとも思っているんですよ。アイドル声優のアーティストっぽい活動みたいなものを求めている人には刺激が強すぎるかもしれないから(笑)。
でもこれが三澤だし、三澤の音楽だし、ここから三澤を感じてくれてもいいし、感じてくれなくてもいい。自分の思うように感じてもらって。そしたら曲を作った人として嬉しいのでね。
ただ、三澤紗千香の音楽について何があっても何言われても嬉しいんですけど、三澤紗千香ってことで損している部分がまだあると思うんです。曲とかが良かったり音にこだわってってことが声優の音楽聴かないって人には届いてないので。
──ああ、声優ということがフックにもなりネックにもなってる、と?
三澤:そうですね。で、逆に声優さんの音楽として聴きたい人にとってはあんまりアニソンアニソンしてないし。だからどっちつかずなんですけど、実はアニメも好きで一般のJ-POPとかも好きだしみたいな人って世の中にいると思うんです。ライトな人ってめっちゃいると思うんで、そういう人にもっと知ってもらえるように頑張っていきたいなっていうのが今の目標ですね。
三澤の魅力をどうしたら音楽でも伝えられるかが課題なんです。なので、宣伝がんばりつつSNSをがんばりつつ、できることをやっていくって感じですね。
よりさらにいろんなマルチな活動できるようになって、いろんな間口から私の音楽まで引っ張り込むのが何か、私のやりたい最終目標かもしれないですね。
──じゃあまずはその第一歩、一歩目じゃないですけれども第一歩にこのアルバムがなるといいですね。
三澤:けっこう何歩か進んでいるんですけどね。ちょっと止まったり戻ったりしていますが(笑)。でも確かにこのアルバムが次の一歩になるように、ぜひ皆さんにも聴いていただきたいし、届いて欲しいと思いますし、届けます。よろしくお願いします!
TEXT 川畑貴美代(マイリブズ)
リリース情報
●2021年12月22日リリース「深呼吸」
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価格:11,000円 (税込)
品番:PDCT-1016
内容:CD+グッズ+フォトブックレット
★初回限定盤 A
価格:2,750 円 (税込)
品番:UICZ-9205
内容:CD
★初回限定盤 B
価格:2,750円 (税込)
品番:UICZ-9206
内容:CD
★通常盤
価格:2,750円 (税込)
品番:UICZ-4594
内容:CD
【CD収録曲】
1.世界が私を呼ぶから
2.歌うよ
3.透明人間
4.瞳
5.夢の中シンドローム