「俺は悟空 お前はベジータ」の歌詞がTikTokのトレンド入り
クラブハウスを中心に活動し、2016年よりソロ活動を本格的に始動させたラッパー・心之助が、SNS上で大きな注目を集めています。
その理由は2021年8月30日にリリースされた6th EP「PURPLE」の収録曲『雲の上』にあります。
「俺は悟空 お前はベジータ」という斬新かつ印象的な歌詞に合わせてTikTokで踊るダンスが大流行し、10代を中心に話題に。
その人気ぶりはbillboard JAPANの「TikTok週間楽曲ランキング」で4週連続1位を獲得したほどで、11月公開の自身初のCGを使用したMVも合わせて好評となっています。
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俺は悟空 お前はベジータ
俺ら合わさればまるでゴジータ
Fly in the sky Anywhere
風に乗せて届けるメロディーYeah yeah...
雲の上、、、から降らす言葉
地球を突き抜けて 宇宙に橋をかける
≪雲の上 歌詞より抜粋≫
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TikTokでバズるきっかけとなったサビ冒頭のフレーズについて、心之助はEPのインタビューの中で、共に楽曲制作をする相棒であるES-PLANTとのことを綴ったと明かしています。
過去にライブで失敗して悔しくて泣いてしまった時に、ES-PLANTが「俺らは大丈夫だよ。最強だし」という言葉で背中を押してくれた経験に基づいているそうです。
ドラゴンボールの悟空とベジータのような共に高め合う良きライバルがいると、つらい時にも力づけられますよね。
つまり、この楽曲は心之助の音楽人生に欠かせない友情をテーマにしています。
「Fly in the sky Anywhere(どこへでも空を飛ぶ)」や「雲の上」という言葉には、仲間がいれば音楽界という広い世界でも上へ上がっていける。
そんな確信が込められているように感じます。
「地球を突き抜けて 宇宙に橋をかける」の壮大なイメージも、自分と自分の音楽の可能性を信じていることの表れなのかもしれません。
仲間がいれば高みを目指せる
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夢 希望 挑戦 挫折 後悔 繰り返し
手にする至福 貧乏人からrich
LIVEする金土日 新境地に筋斗雲跨り
向かうヒロインふたり
≪雲の上 歌詞より抜粋≫
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人生は「夢 希望 挑戦 挫折 後悔」の連続です。
うまくいかないことが多くても諦めないでいられるのは、きっと成功のビジョンが明確に思い描けているからでしょう。
「ヒロインふたり」のフレーズは、YouTubeで公開されている歌詞によると「Hero Inふたり」となっています。
心之助とES-PLANTという二人のヒーローが、新境地に進み出る様子を表しているのではないでしょうか。
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随分長い下積み 芽がでない時間は
全部置いてきた 精神と時の部屋
上に抜け出した俺らマジで止まらねぇ
誰も追いつけない 風も掴むDay night
(Ru-ru-ru)
まるで富士山から見下ろすエベレストだよ
誰も知らない景色をl want..
俺らノボリクダリGo beyond
≪雲の上 歌詞より抜粋≫
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この部分からは「随分長い下積み」で「芽がでない」苦しい時期があったことが分かります。
「精神と時の部屋」はドラゴンボールに登場する修行部屋のことなので、下積み時代の過酷さを表現しているようです。
しかしそんな状況から飛び立った彼らの勢いはすさまじく、誰にも止められず追いつくこともできません。
実際には標高の低い富士山からエベレストを見下ろすことは不可能ですが、そんな不可能さえ成し遂げてみせるという意欲がここに示されているのでしょう。
決してずっと上り調子で行けるわけではなく「ノボリクダリ」するはずだと認めつつも、「Go beyond(越えて行く)」と宣言しているところにも熱い想いを感じます。
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鬼に金棒 虎に翼 俺に相棒
ひとりの女愛し金は家族にbet
高級な飯もいいがやっぱ嫁の弁当
俺ら変わらないぜ 人生最高
≪雲の上 歌詞より抜粋≫
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「鬼に金棒」も「虎に翼」も、ただでさえ強いものがいっそう強くなることを表すことわざです。
そこに「俺に相棒」のフレーズが並んでいるので、自分の強さを信じてはいるけれど、相棒がいてくれるならもっと強くなれることを示していると解釈できます。
続く二文は、心之助が2020年に結婚してからの生活の変化を歌っています。
一人の女性だけを一途に愛し、収入は家族のために使うようになりました。
以前は「高級な飯」を豪勢に楽しむこともありましたが、今では「嫁の弁当」が一番です。
そのように生活は大きく変わっても、相棒との絆が変わっていないことが彼の最高の人生を支えています。
自分と仲間を信じて進むだけ
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ガラガラのstageで客は共演者
GUEST前の前座 転けて裏で泣いた
そんな時にお前が掛けてくれた言葉
俺らマジで最強 大丈夫だよって嬉しかった
年に100本のLIVE 嘘つかねぇ場数は
いつかみてろ偉そうな奴も抜いて現場沸かすわ
そんなふうに思って 想いは宙に舞って
何年も時が経ってやっと蕾が開き出した
≪雲の上 歌詞より抜粋≫
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ここの歌詞の前半部分では、サビ部分で紹介した心之助とES-PLANTのエピソードがはっきりと描かれています。
励ましてくれる仲間がいることを実感したことで、もっと自分の信じる音楽を追求し続けたいという気持ちになったのでしょう。
いつか自分を見下ろすアーティストを抜いてやろうと決意し、踏んだ場数が必ず成功に繋がると信じて「年に100本のLIVE」をこなしてきました。
それから「何年も時が経ってやっと蕾が開き出した」と歌った曲がTikTokでバズり、遂に大きな花を咲かせたと思うと余計に感慨深いですね。
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俺らが立てる中指 バビロン ヘイター違うぜ
自分の中の弱さ そこに未来があんのさ
どんなにラブソング歌っても俺は現場叩き上げ
俺の音楽には今は無きHAZARDとGLADの血が流れてる
≪雲の上 歌詞より抜粋≫
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ヒップホップやレゲエでよく使われる「バビロン」は不条理な権力のことを指し、主にそうした権力への反発を歌う時に使われます。
また「ヘイター」は何でも批判して文句や陰口を言う人のことを表す言葉です。
中指を立てるかのように彼らが音楽を通して挑発的な言葉を使うのは、そんな周囲への攻撃ではなく「自分の中の弱さ」を吐き出しているんだと伝えているように思えます。
弱さを認め自分に正直でいることの先に、音楽での成功という「未来」があると信じていると感じられます。
どんなに美しいラブソングを歌おうとも、「現場叩き上げ」で泥臭く励んできたこれまでの歩みも自身の大切な一部です。
終盤に出てくる「HAZARDとGLAD」とは、心之助とES-PLANTがそれぞれ下積み時代を過ごしたクラブのこと。
どちらも今は閉店していますが、「育ててくれた場所のDNAはずっと僕らの音楽に流れている」という思いをこの歌詞に表現したそうです。
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自分にI say 無名な事が罪なだけだ
でも自分を愛せ 感謝忘れず歌うだけだ
俺の人生 カメラは常に回ってる
未知のアングル お前と作るバイブル
≪雲の上 歌詞より抜粋≫
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まだ世間に知られていないだけで、自分の進んできた道は間違っていないとの確信がここにも表れています。
「自分を愛せ 感謝忘れず歌うだけだ」というフレーズに、音楽や仲間への実直な想いが垣間見えますね。
アーティストとしてスポットが当たっていないとしても、いつだって自分は自分の人生の主役です。
これからどんなシーンが生まれるかは分かりません。
良い時ばかりではないかもしれませんが、仲間がいれば必ず価値のある日々にしていけると信じて疑わない力強い歌詞にポジティブな気持ちをもらえます。
「雲の上」は想いを伝えたくなる友情ソング!
『雲の上』は斬新なサビの歌詞に注目しがちですが、全体を通してみるとアーティストとしての心之助の半生と支えてくれた仲間への感謝と信頼が綴られた熱い楽曲でした。どの世代の人でも、仲間がいることの素晴らしさや一緒に進んでいこうとする前向きな気持ちに共感できるのではないでしょうか。
心之助のストレートなメッセージに乗せて、あなたも友への想いを伝えてみませんか?