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【ライブレポート】最新Al.『BADモード』発売の宇多田ヒカル、初のスタジオライブをレポート!

1月19日に8枚目のオリジナルアルバム『BADモード』を先行配信リリースした宇多田ヒカル。彼女の誕生日でもあるこの日、スタジオライブ『Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios』も有料配信され、記念すべき1日となった。その宇多田ヒカル初のスタジオライブの模様をお届けする。

語りあうかのように音を奏であうライブセッション

ニューアルバム『BADモード』の収録曲をライブパフォーマンスで初披露するというコンセプトを掲げたこのスタジオライブのために集結したのは、2018年のコンサートツアーでバンドマスターを務めたベーシスト・ジョディ・ミリナーを中心とした名だたるミュージシャンたち。


録音とミックスはアルバム『Fantôme』以降、宇多田の作品を手がけている名匠エンジニアのスティーヴ・フィッツモーリス。

そして映像監督はRadiohead『In Rainbows From the Basement』や、エリック・クラプトン『LOCKDOWN SESSIONS』など数々のライブ映像を監督してきたデヴィッド・バーナードが務めた。

場所は、ロンドンの名門レコーディングスタジオであるAir Studios。

スタジオに光がともると、静かにスタジオに入ってきたミュージシャンたちがスタンバイする。

最後に入って来た宇多田ヒカルは、全員とアイコンタクトできる場所に配置されたマイクの前に立つと、ゆっくりと肩をほぐす。

そして「きぃ~きぃ~きぃ~」と発声を確認するようにキュートな高音を鳴らすと、メンバーから笑みがこぼれてリラックスムードに。

その空気を保ちつつ、最初の一音が鳴った瞬間から全員が音楽に集中して始まったのは、アルバムのタイトル曲『BADモード』だ。

タイトルとは裏腹に軽快なリズム、「ネトフリ」「ウーバーイーツ」といったコロナ禍の今っぽさを切り取った言葉が心地よい。


ジャジーなSAXの音色に誘われて表情をガラリと変える後半の展開はぐっと引き込まれる美しさで、バンド演奏でアルバムの楽曲陣を味わえる特別感に1曲目から酔いしれる。

曲が終わると、宇多田はほっとしたような笑みでメンバーを見渡し、映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の主題歌『One Last Kiss』、ドラマ「最愛」の主題歌『君に夢中』の世界へ。

卓越した歌唱力ゆえ、その歌声はCD音源と遜色のない完ぺきさだが、体でリズムを取りながら、高音のときには少し顔をしかめながら歌う宇多田の姿とともに耳にする歌声からは体温が感じられ、より深いところまで届くメッセージとなる。


宇多田はライブを行う機会が多くはないアーティストだけに、普段は音源のみで聴いていたタイトに刻まれるドラム、正確かつエモーショナルに繰り返されるリフが、ミュージシャンたちによって生み出される瞬間を視覚で楽しめるのも新鮮な体験だ。

音楽を奏でることだけに没入し、粛々と進むスタジオライブ。

続く『誰にも言わない』『Find Love』と、楽曲を重ねるごとにグルーヴは高まっていき、歌声は熱を帯びていく。

『Time』を歌い終わり、目を閉じて余韻に浸る宇多田の表情が妙に艶っぽい。

今だからこそ叶えられた“特別な空間”の共有


続いては、CD音源にも参加しているピアニストのルーベン・ジェームスを迎えてのセッション。

宇多田の愁いを帯びた歌声が心に染みる『PINK BLOOD』ではエレクトリック・ピアノで寄り添う。

そして『Face My Fears(English Version)』では、繰り返しのフレーズが印象的に響く歌声とともに情緒的なピアノの旋律で楽曲自体を引っぱっていく。

演奏が終わると宇多田の「OK」と言う明るいひと言とミュージシャンたちの拍手。

それに応えるように陽気にターンを決めてスタジオをあとにするルーベンの姿にスタジオの空気がほぐされる。

演奏中のゾーンに入ったような高揚感と、合間のゆるく親密な空気感。

その緩急もまた、宇多田ヒカルらしいと思える空間をかたどっている。

ラストに向けては、Utada名義のアルバム『EXODUS』収録の『Hotel Lobby』をセレクトし、画面越しのファンを歓喜させる。

そして、哀愁漂うアコースティックギターと浮遊感のあるコーラスが魂を揺さぶる『Beautiful World』、さらに『EXODUS』からもう1曲セレクトした『About Me』で、約1時間に渡るライブを締めた。

パフォーマンスが終わると、初めてカメラに目線を向けた宇多田は英語と日本語でファンにメッセージを送った。

「今日は、時間を一緒に過ごしてくれてありがとうございました。私たちと同じくらい楽しんでもらえてたらいいなと思います。今回、普通の会場みたいなところでのライブはできなかったけども、こういうふうにやることによって、普段は見せられない、本当に、中の奥のほうの特別な空間を初めて共有できた気がしてるので、みんなもそれを感じてくれてたらいいなと思います。とはいえ、また次、どこか会場とかで会えるといいけど。今日は本当に時間をありがとう。それと、みんな元気で! また会いましょう。またね。バイバイ。ありがとう」

緻密に完成させた音源を届けてきた宇多田にとって、生演奏のサウンドと歌声をそのまま世界に配信するというのは大きなチャレンジだったのだろう。

時代の流れが違えば、もしかしたら一生公開されなかったかもしれない“奥のほうの特別な空間”を共有する時間。

それは宇多田ヒカルの音楽を愛する者にとって、間違いなく至福の時だった。



配信ライブを見逃した方にも、まだチャンスはある。

今回のライブの中から、『Face My Fears(English Version)』『Find Love』の映像がYouTubeの公式チャンネルで公開中だ。

また、2月23日発売のCD初回生産限定盤の付録には、メイキングとともにライブ映像が収録される。

この付録には、今回は公開されなかった『Face My Fears(Japanese Version)』のパフォーマンス映像も収録と、新たな楽しみも残されている。

▷『Find Love』Live ver.
▷『Face My Fears (English Version)』Live ver.
▷『BADモード』MV


セットリスト

■Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios
1/19(水) ONLINE LIVE

M1. BADモード
M2. One Last Kiss
M3. 君に夢中
M4. 誰にも言わない
M5. Find Love
M6. Time
M7. PINK BLOOD
M8. Face My Fears (English Version)
M9. Hotel Lobby
M10. Beautiful World (Da Capo Version)
M11. About Me

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