笠松将が主演のMVがヒント?
『東京フラッシュ』が大ヒットし、一躍人気アーティストの仲間入りを果たした『Vaundy』。
そんな彼が2021年10月、12作目となる楽曲『泣き地蔵』をリリースしました。
同曲は重厚感溢れるロックなサウンド、何者かに当てたような強いメッセージが印象的な楽曲。
一体どんなメッセージが込められているのでしょうか?
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僕たちは少数の利益のためのピラミッド
ねぇ感想は?
あぁ、聞かないよ
さも幸せかのよなその笑顔
もう精一杯をもう一回
ねぇ神様もういいだろって
ねぇもう一回を精一杯
ねぇ苦難と努力の洗脳でしたっけ?
≪泣き地蔵 歌詞より抜粋≫
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こちらは冒頭の歌詞。
幸せそうに笑っている人に対し嫌悪感を抱いている様子、何かに対していっぱいいっぱいになっている様子が伺えますね。
いずれも抽象的ですが、一つヒントになるのが俳優・笠松将が出演している同曲のMV。
監督を務めた『MIZUNO CABBAGE』が「人の不幸を娯楽コンテンツとして見ていませんか?という警告をテーマにMVを作成した」と語っています。
それを元に歌詞を見直してみると、幸せかのように笑っている人たちは人の不幸をみている人、気持ちに余裕がなくなっている主人公は不幸な状況にある人を表しているのかもしれませんね。
ちなみに、MVの冒頭では複数の大人が1人の少女をジロジロ見る様子、それを笠松翔が横目で眺めている様子が描かれています。
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あぁ もう
何回目の最後の警告?
じゃあここらで
祈り繋いどく?
感動も何もない自暴自棄の中で
何回目の愛のお買い得?
じゃあここらで
心繋いどく?
感覚が落とした僕は泣き地蔵
≪泣き地蔵 歌詞より抜粋≫
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改めて「僕」を娯楽コンテンツとして楽しまれている不幸な人だと仮定しましょう。
すると「あぁもう」というフレーズや続く歌詞から、深い苛立ちと自暴自棄になっている様子がわかりますね。
お買い得な愛というのは、周囲との関係の希薄さを表しているのでしょうか?
一部の人からは興味の目で見られ、助けを求める人もいない。
そんな毎日に感動などあるわけがなく、やがては感覚すら薄れて来てしまうという悲しい現状がサビでは歌われているようです。
深い絶望は続く
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あぁ
私たちに流れるこの血は
惨憺たる日々を彩るためか
たぎり出したこの命の種は
考えるほどに断崖絶壁だ
≪泣き地蔵 歌詞より抜粋≫
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誰かを傷つけたり陥れたりするために生まれてきたわけではないのに、決して平和とはいえない現実が続いている。
そのことに対する深い悲しみや絶望が「断崖絶壁」という言葉に表れていますね。
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相容れぬだろう
このままここは
知らぬ仏より
馴染みの地獄で
≪泣き地蔵 歌詞より抜粋≫
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前後の歌詞から、「知らぬ仏」は無闇に他人の不幸に関わるべきでないという思い、「馴染みの地獄」がこれまで通り他人の不幸を喜ぶことだと考察できます。
確かにこの2つは交わらないもの。
「ここ」を現実世界と解釈すると、不幸はいつまでも娯楽コンテンツとして蔓延り続ける可能性が示唆されています。
この後に続くのが、先ほどご紹介したサビの歌詞。
絶望的な現状に主人公の悲しい思いが歌われるなんて、なんだか気持ちが暗くなってしまいそうです。
明るい未来は来るの?
続くCメロは壮大さを感じさせるメロディへと転調し、次の歌詞が歌われます。
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僕もずっと
笑う夢を見ていたい
でもずっと
願うほどの夢じゃなかった気がして
≪泣き地蔵 歌詞より抜粋≫
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前向きな気持ちを持ちたいけれども、これまでに受けた傷が深すぎて前を向けないのでしょうか。
とても自暴自棄になっている様子が伝わってきますね。
この後はもう一度サビが繰り返され、楽曲は終わってしまいます。
ハッピーエンドにしないことで、不幸を楽しむ人がいなくなることはないこと、そして好奇の目で見られる人は深い傷を追い続けることを伝えたかったのでしょうか?
自身の在り方について考えさせられますね。
ちなみに、MVでは好奇の目で見られる少女が地蔵のような顔になってしまい、それを見た笠松将もショックから地蔵になってしまいます。
その後、少女を助けられなかった後悔なのか自暴自棄に陥る様子が描かれますが、最後は好奇の目から少女を守る姿も描かれています。
つまり、MVの主人公は不幸を楽しむ人でも被害者でもなく、それを傍観する人がメインで描かれているということ。
「傍観することも罪である」というメッセージが込められているのかもしれませんね。
MVの最新テクノロジーにも注目!
以上、『泣き地蔵』の歌詞の意味について考察しました。今回の解釈のヒントになったMVは、「インカメラVFX」という最新テクノロジーを駆使して撮影されています。
笠松将の演技と相まってVaundyが生み出す音楽の世界観がより濃く映し出されていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
また、Vaundyには『不可幸力』や『怪獣の花唄』など他にもたくさんの良曲があります。
これを機に聴き、Vaundyの世界観に浸りましょう!