Aimer10周年記念アルバムのタイトル曲を考察
Aimerのデビュー10周年を記念する初のB-SIDE COLLECTIONアルバム『星の消えた夜に』が、2022年1月26日に先行配信リリースされました。
アニメや映画の主題歌に起用された楽曲も多く収録された、Aimerの魅力を存分に感じられるアルバムとなっています。
タイトル曲の『星の消えた夜に』は、2013年3月にリリースされた5枚目のシングル『RE:I AM EP』のカップリング曲として発表。
切ない歌詞とAimerの優しいハスキーボイスがマッチし、ファン人気の高い楽曲です。
今改めて注目される『星の消えた夜に』の歌詞の意味を考察していきます。
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多分 君は少し強がりで いつも笑顔作ってばかり
泣きたいなら無理しなくてもいい すぐに泣けばいい
多分 君はとても優しくて 一人で抱え込むばかり
少し歩くのに疲れたら 荷物をおろせばいい
大丈夫だよ 大丈夫だから
大丈夫だよ 大丈夫だから
ほら夜が更けるよ ほら夜が更ける…
≪「星の消えた夜に」 歌詞より抜粋≫
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歌詞は主人公が身近にいる「君」という存在に語りかける形式で進んでいきます。
その人は主人公から見ると「少し強がりでいつも笑顔作ってばかり」なうえに「とても優しくて一人で抱え込むばかり」。
笑顔や優しさは美徳と思われがちですが、いつも他人に気を遣ってばかりいると、きっと本当の気持ちを出すのが難しくなってしまうでしょう。
主人公はそんな「君」を心配して、泣きたい時に涙を流し、疲れたら抱え込んだ荷物を下ろしていいのだと伝えています。
繰り返される「大丈夫」「夜が明ける」の言葉に、もっと自分の感情を吐き出して自由に日々を生きていいという温かいメッセージが感じられます。
「星の消えた夜」の意味
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星の消えた夜に何を願うの?
遠くを見てる目には何が映るの?
星が消えた空より隣を見てよ
気付いて
思い出? それより確かなものがある
多分 そうなんだ
≪「星の消えた夜に」 歌詞より抜粋≫
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サビの歌詞から、星が見えない真っ暗な夜空を「君」がぼんやり見つめている様子が想像できるでしょう。
タイトルでもある「星の消えた夜」とは、希望の見えない未来のことなのかもしれません。
何の輝きもない夜空を眺めながら、きっと「君」は眩しかった思い出を回想しているところと解釈できそうです。
主人公は過去に囚われているその姿を見て「何を願うの?」と尋ねます。
疲れた心を一時的に慰めるためだけの思い出よりも、今隣にいて助けたいと願っている人がいることに「気付いて」と言葉少なく伝えています。
君のために何かしたいな
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多分 君はとても繊細で ほんとは全部知りたいけど
話したくないことだったら 話さなくてもいい
ただ私は傍に寄り添って 神様にはかなわなくても
何が できるかも わからない でも何かしたいな
大丈夫だよ 大丈夫だから
大丈夫だよ 私も不安だよ
≪「星の消えた夜に」 歌詞より抜粋≫
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主人公は「とても繊細」そうな「君」のことを「ほんとは全部知りたい」気持ちでいます。
それはきっとできる限り助けたいと思っているからでしょう。
とはいえ、話すこと自体が負担になるなら「話さなくてもいい」と、優しさを押しつけることなく委ねてくれています。
自分にできることが「神様にはかなわなくても」、ほんの少しでもいいから「何かしたいな」と心から相手を大切に思っていることが分かりますね。
「大丈夫」と慰めつつも「私も不安だよ」と自分も悩んでいることを語る素直さに、心が軽くなるような気がします。
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星の消えた夜に何を折るの?
遠くへ伸ばす手には何を望むの?
星が消えた空より隣を見てよ
気付いて
神様? それより確かなことがある
多分 そうなんだ
≪「星の消えた夜に」 歌詞より抜粋≫
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2番のサビでは「何を祈るの?」「何を望むの?」と問いかけています。
星のない夜空へ向けた祈りはきっとどこにも届かないまま消えてしまうでしょう。
そして、過去の思い出に手を伸ばしても何かを掴むことはありません。
このフレーズはそうした不確かなものを支えにするのは無意味だと言っているのではないでしょうか。
それよりも隣にいる自分という「確かなこと」に目を向けてほしいのです。
この気持ちは愛だ
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ほら夜が更けるよ ほら夜が更ける…
星の消えた夜に君を照らすよ
声をなくした夜も歌を歌うよ
夢が覚めた夜でも隣にいるよ
気付いて 気付いて
何より確かなことがある
これが愛なんだ
ほら夜が明けるよ ほら夜が明ける…
≪「星の消えた夜に」 歌詞より抜粋≫
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主人公はもっと具体的に助けたい気持ちを言い表します。
星が消えてしまったなら、自分が「君」を照らしたいと思っています。
自分自身が悩んだり絶望したりして「声をなくした」ようにうまく言葉が出ない時でも、歌を歌って元気づけるつもりです。
「君」の楽しい夢が覚めて寂しく感じる時にも、必ず隣にいるとも約束しています。
主人公が「君」を助けたいと思う気持ちの根底にあるのは「愛」。
それは思い出や神様とは違う「何より確かなこと」でどんな時にでも人の心を助け支えてくれるものです。
「ほら夜が明けるよ」と促す先には、星の消えた夜空とは比べものにならない希望に満ちた朝焼けの景色が広がっていることでしょう。
つらい気持ちや問題を抱えているとつい回りが見えなくなってしまいがちですが、自分を愛してくれている人の存在に気づくなら希望が見えてくるはずです。
いつも愛を見落とさないことの大切さが感じられますね。
Aimerの名曲が落ち込む心を支えてくれる
人気曲『星の消えた夜に』は、Aimerからリスナーへの心強いメッセージが綴られていました。アルバムのリリースにあたり、YouTubeで公開された『星の消えた夜に-rit. ver.-』のアニメーションMVのストーリーにも注目すると、さらに歌詞のイメージが強く感じられるでしょう。
Aimerの歌声と真っ直ぐなフレーズが、頑張る力が出ない時にもきっと背中を押してくれますよ。