漫画原作映画「キングダム」の主題歌をワンオクが担当
2019年公開の山﨑賢人主演の実写映画『キングダム』の主題歌として書き下ろされた、人気ロックバンド・ONE OK ROCKの『Wasted Nights(読み方:ウェイステッド ナイツ)』。
週刊ヤングジャンプに連載中の同名人気漫画のコミックス50巻を記念して実写化した作品で、春秋戦国時代の秦を舞台に天下の大将軍を目指す戦争孤児の少年・信の成長を描く物語です。
主題歌制作にあたって作詞作曲を手がけたTakaは、完成した映画の世界観の規模に感動したそうで、作品から感じた「壮大さ」や「ビッグアンセム」をテーマにこの楽曲が生まれました。
タイトルの「Wasted」は「無駄」を意味するスラングなので、「Wasted Nights」は「無駄な夜」という意味になります。
ネガティブに思えるタイトルですが、どんな内容になっているのか歌詞から考察していきましょう。
----------------
Must be something in the water
Feel like I can take the world
Throw the weight up on my shoulders
'cause I won't even feel the burn
≪Wasted Nights 歌詞より抜粋≫
----------------
この部分の前半の二文を訳すと「水の中にはきっと特別なものがあるに違いない、この世界だって手に入れられる何かが」となります。
海のような深い水中は暗く、先に何があるか分かりません。
それは未来の見えない不安な人生を象徴しているのでしょう。
しかしそこには、世界さえ手に入れられるほどのかけがえのない貴重なものが見つかるはずだと前向きな気持ちを示しています。
後半の歌詞は「肩にかかる重みを放り出せば そのやけどを感じもしないようになるから」と訳せます。
生まれた環境や自身の立場が、しがらみとなって行動を妨げる重しになることがあるでしょう。
過去に負った傷が完全に消えることはないものの、しがらみを捨てればその痛みを忘れることはできるということを伝えていると思われます。
----------------
Don't be afraid to dive
Be afraid that you didn't try
These moments remind us why
We're here, we're so alive
≪Wasted Nights 歌詞より抜粋≫
----------------
冒頭の歌詞のメッセージをよりストレートに表現したのがここの歌詞です。
前半には「飛び込むことを恐れるな 何もしないことを恐れるんだ」とあります。
底の見えない水の中に飛び込むのを怖く思うように、新しいことに挑戦するのは怖いものです。
それでも、立ち止まって何もしないでいたことを後悔する未来の方を恐れるべきだと訴えかけているのでしょう。
続く三文目では「これらの瞬間が僕らに理由を思い出させる」とあり、挑戦する時に人はある理由を思い出すと歌っています。
その理由について、最後の文によると「僕らはここにいる、僕らはだから生きている」と説明されています。
誰もが自分の立っているその場所で挑戦するために生きているのだと教えてくれているのです。
無駄な夜はもういらない
----------------
Let's live like we're immortal
Maybe just for tonight
We'll think about tomorrow
When the sun comes up
≪Wasted Nights 歌詞より抜粋≫
----------------
サビの歌詞の一文目には「僕らは不滅な存在として生きよう」とリスナーを奮い立たせるフレーズが用いられています。
「ただ今夜のためだけだろうけど」と続くのは、目の前のことから逃げずに懸命に挑戦するなら一瞬だけだとしても不滅になれるということを表しているのではないでしょうか。
いくら自分がちっぽけに思えても、努力を続けていく時に人は人として確かな存在になれるのかもしれません。
後半の二文は「僕らは明日のことを考えるんだ 太陽が昇るときに」と訳せます。
明日のことは明日になってから考えればいいのだから、今日と真剣に向き合おうと促していると解釈できますね。
----------------
'cause by this time tomorrow
We'll be talking about tonight
Keep doing what we want we want we want
No more wasted nights
≪Wasted Nights 歌詞より抜粋≫
----------------
続く歌詞では「明日の今頃、僕らは今夜のことを話しているだろう」と過去を振り返る自身の様子を想像していることが分かります。
誤魔化さず頑張った自分のことを思い返すと、誇らしい気持ちになれるでしょう。
そこから生まれた自信が「僕らがしたいことをやり続けるんだ」という決意に変わるのです。
サビの最後の部分でタイトルの「Wasted Nights」のフレーズが登場し、「無駄な夜はもういらない」と歌われています。
何もせずただ時間が過ぎていく日々に価値はない、一夜一夜を大切に生き常に自分の思うまま行動していくことにこそ価値は生まれる。
そんな力強い気持ちが込められているように感じます。
挑戦が幸せな未来を引き寄せる
----------------
ただ過ぎ行く時間に
気を止める必要は無い
何かを失えば
また何か手にする
Don't be afraid to dive
何もせずはもっと怖い
These moments remind us why
ここで生きる意味を
≪Wasted Nights 歌詞より抜粋≫
----------------
サビのイメージを裏づけているのが、この曲で唯一日本語のフレーズが用いられているここの歌詞です。
「ただ過ぎ行く時間に気を止める必要は無い」とあるように、無駄に過ごしてしまった日々を後悔しても時間を巻き戻すことはできません。
取り戻せない時間を振り返るよりも、むしろこれからの時間を無駄にしないように生きることの方が重要なのではないでしょうか。
時には挑戦したことで何かを失うこともありますが、その代わりに違う何かを手に入れることができるはずです。
だから立ち止まることなく、恐れず飛び込んで自身の生きる意味を実感していこうと背中を押してくれています。
----------------
I don't wanna wait
I don't wanna waste a night
≪Wasted Nights 歌詞より抜粋≫
----------------
繰り返されるこのフレーズでは「僕は待っていたくない、僕は夜を無駄にしたくない」と歌われています。
誰かが行動することや現状が変化することを待っているだけの人生では満足できないということです。
映画「キングダム」の主人公・信も自分こそが天下の大将軍になるのだと決意し、戦争孤児の身の上でも臆することなく挑戦していきます。
同じように、そんな熱い思いを持って日々を懸命に生きることがやがて幸せに繋がっていくのでしょう。
大それたことはできなくても、ひたむきな努力は必ず大きな成功を実現させるという希望と確信が込められています。
「Wasted Nights」の世界観を味わって
『Wasted Nights』は、2019年2月13日発売のアルバム『Eye of the Storm』に収録されています。ONE OK ROCKのおなじみの表現パターンとなっている英語詞を基調とした歌詞には、一貫して希望を持つことや目の前の一瞬一瞬を手を尽くして生きることの大切さが綴られていました。
原作漫画だけでなくアニメ作品や実写映画も大人気の『キングダム』に込められたテーマを、音楽で見事に表現しています。
ぜひ作品と合わせて聴いて、この壮大な世界観を堪能してくださいね。
2005年にバンド結成。エモ、ロックを軸にしたサウンドとアグレッシブなライブパフォーマンスが若い世代に支持されてきた。 2007年にデビューして以来、全国ライブハウスツアーや各地夏フェスを中心に積極的にライブを行う。 これまでに、武道館、野外スタジアム公演、大規模な全国アリーナ···