藤井風・黒田卓也が参加!令和のゴスペルが誕生
MISIAの新曲『Higher Love』は、2021年12月1日にリリースされたアルバム『HELLO LOVE』の収録曲です。
藤井風が初めて他のアーティストに楽曲提供した曲で、実際に鍵盤やコーラスでレコーディングにも参加しています。
オファーを受けた際、藤井風はMISIAからゴスペルをイメージしたそうです。
ゴスペルとは福音音楽のことで、古くから人々の愛や平和を願う祈りの思いを込めて歌われるジャンル。
ピアノやオルガンを用いたゴスペルらしい神聖さと明るいリズム感のメロディに、世界的なトランペッター黒田卓也による温かなアレンジが加わります。
そしてMISIAの圧倒的な歌唱力と伸びやかな歌声で紡がれる歌詞は、聴けば聴くほど心が洗われる気持ちになることでしょう。
そんな聴く人を元気づけてくれる『Higher Love』の、繊細で深い歌詞の意味を考察します。
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届け higher love
この手にhigher love
この身の中に宿る確かな愛を引き上げて
届け higher love
その手にhigher love
二度ともう離したくないの
so give me higher love
≪Higher Love 歌詞より抜粋≫
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タイトルでもある「higher love」は、藤井風のコメントによると「崇高な愛」という意味で用いられています。
「届けhigher love」というフレーズから、主人公には自身の中にある崇高な愛を届けたい相手がいるようです。
同時に「so give me higher love(だからもっと崇高な愛をください)」とあるように、自分にもその手にある愛を分けてほしいと願っています。
そして、愛を手にしたら二度と離したくないという強い気持ちが伝わってきますね。
愛を求める主人公の人間臭さが、誰もが心の底に持っている純粋な思いを投影しているように感じます。
孤独の中で見つけたあなた
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この声を誰に届けよう
行き場のない寄る辺もない沈む私へ
この体を誰に委ねよう
汚れのない終わりのないあなたへ
≪Higher Love 歌詞より抜粋≫
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主人公は自身のことを「行き場のない寄る辺もない沈む私」と表現していて、孤独の中で途方に暮れている状態のようです。
自分の声が誰にも届かない気にさえなっていて、だからこそ余計に愛を切実に求めているのかもしれません。
そんなとき、自身の全てを委ねたいと思える「汚れのない終わりのないあなた」に出会います。
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遥か遠く遠く
いるような気がしてたけど
本当はいつも一緒だったのね
深い眠りから
目を覚ました今
静かにあなたに叫びます
≪Higher Love 歌詞より抜粋≫
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これまでは「あなた」を「遥か遠く遠く」にいる存在のように感じていましたが、「本当はいつも一緒だったのね」と気づきました。
『Higher Love』がゴスペルソングであることをふまえると、この「あなた」は目には見えない神を指していると解釈できそうです。
ここで出てくる「深い眠り」とは、おそらく神の存在に目を向けていなかった状態を表現していると思われます。
ずっとそばにいてくれていたことに気づいた時に初めて、眠りから覚めたように晴れやかな気持ちになったということでしょう。
「静かにあなたに叫びます」とあることから、心の中で切実に声を上げている様子が見えてきます。
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この声をどこに響かそう
救いのない光もない暗闇の中へ
この体を誰に委ねよう
汚れのない終わりのないあなたへ
≪Higher Love 歌詞より抜粋≫
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現実は「救いのない光もない暗闇の中」のようです。
主人公は希望の見えない世界で悩んでいて、その現状は未だ変わってはいません。
それでも神を信じたことで自身の声を響かせたい、希望が見つかることを伝えたいという前向きな気持ちになったことが分かります。
愛は生きる希望になる
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届け higher love
この手にhigher love
この身に与えられし果てしなき道かけ抜けて
届け higher love
その手にhigher love
何度も転んで私見つけたの
だからもう離したくないの
so give me higher love
≪Higher Love 歌詞より抜粋≫
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この部分でも「届けhigher love」のフレーズが繰り返されています。
それは人生という「この身に与えられし果てなき道」を進んでいく中で「何度も転んで」やっと見つけたもの。
いつまでも孤独に耐えなくてはならないと絶望していた日々でようやく見い出した崇高な愛が、主人公の生きる希望になりました。
「だからもう離したくないの」というシンプルなフレーズが、主人公の真剣な思いをストレートに表現しています。
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何も知らぬまま 何度も傷ついたけど
先なんて見えなかった
雲に覆われた世界をはらってくれたものは
higher love
≪Higher Love 歌詞より抜粋≫
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「何も知らないまま何度も傷ついた」過去では、明るい未来を想像することすら難しかったのでしょう。
景色は厚い雲に覆われたように、どんよりと暗く見えていたようです。
しかしそんな雲を払い、世界の輝きを感じさせてくれたのは「higher love」。
自身のこの声で世界中の全ての人にも崇高な愛を感じ、希望を見つけてほしいという温かな思いに胸を打たれます。
「Higher Love」の魅力を引き立てるMVにも注目
MISIAと藤井風によるコラボ曲『Higher Love』は、崇高な愛をテーマに人間らしい感情が綴られたゴスペルソングでした。世界の暗闇を連想させる空間の中で、清廉な白いドレスを身にまとい熱烈に歌唱するMISIAを映すシンプルなMVの映像も、楽曲に込められた深い愛の力強さを際立たせています。
人生に行き詰まってしまいそうな時は、この曲の幸福感がきっと心を軽くしてくれますよ。