TikTokで話題!平成の名曲を徹底解釈
田島貴男を中心に結成された音楽ユニット・ORIGINAL LOVEの代表曲である1993年リリースの『接吻〜kiss〜』。
柴田恭兵と石田純一が主演を務めるドラマ『大人のキス』の主題歌に起用されていて、ジャズ風のムード満点な音楽と色気のある歌詞に引き込まれます。
そんな『接吻〜kiss〜』が、TikTokを中心に若者世代の間でバズっています。
令和の今、改めて平成の名曲に綴られた歌詞の意味を振り返ってみましょう。
深く果てしなくあなたを知りたい
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長く甘い
口づけを交わす
深く果てしなく
あなたを知りたい
Fall in love
熱く口づけるたびに
やけに色の無い
夢を見る
≪接吻 ~kiss~ 歌詞より抜粋≫
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『接吻』の歌詞は、男性と女性どちらの目線で考えても心に響きます。
「長く甘い口づけ」という表現から、それが自分の感情をぶつけるようなキスではなく、お互いの存在をじっくり感じるような大人のキスであることが伝わってくるでしょう。
「深く果てしなくあなたを知りたい」と願い、「熱く口づけるたびに」相手への恋心が高まってのめり込んでいっています。
しかし「やけに色の無い夢を見る」というフレーズが続くことによって、恋心に忠実に行動したい気持ちと、歳を重ねて経験を積んだからこそ抱える問題に悩む主人公の揺れる想いが垣間見えるようです。
情熱的に求めても交わらない想い
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ああ どこか
物足りない今日は
あなたの濡れた
眼差しが嬉しい
何時の間にか
枯れ葉色の Twilight
子供のように
無邪気に欲しくなる
≪接吻 ~kiss~ 歌詞より抜粋≫
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何もかもが新鮮な学生時代とは違い、きっと誰しも代わり映えのない毎日の中で「どこか物足りない」と感じる日があるでしょう。
主人公はそんな日には「あなたの濡れた眼差しが嬉しい」と歌っています。
熱に濡れた瞳を見ると、自分を求めてくれている人がいると感じられるからかもしれません。
「Twilight」とはおぼろげな薄明かりのことを指す言葉です。
「枯れ葉色の Twilight」というフレーズは、若々しさや激しさはないけれど温かみのある大人の恋愛を指しているのでしょう。
余裕のある穏やかな恋を「子供のように無邪気に欲しくなる」という対比表現に、共感できる人は多いのではないでしょうか。
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Night flight
瞳移ろうように甘く
あなたの素肌
冷たすぎて苛立つ
焼けるような
戯れの後に
永遠に独りで
いることを知る
≪接吻 ~kiss~ 歌詞より抜粋≫
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「Night flight(夜間飛行)」や「焼けるような戯れ」とあるように、このシーンでは二人の夜の営みが描かれているようです。
暗がりの中で交わった恋人の視線は甘く熱を帯びているのに、本音は違うと思わせるほど「あなたの素肌」が「冷たすぎて苛立つ」主人公。
その温度差を埋めたくて求めれば求めるほど、想いの差が浮き彫りになって「永遠に独り」なのだと悟る恋の難しさと切なさが表現されています。
「長く甘い口づけを交わす」理由
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長く甘い口づけを
交わそう
夜がすべて
忘れさせる前に
Fall in love
きつく抱きしめるたびに
痩せた色の無い
夢を見てた
甘い口づけを
交わそう
夜がすべて
忘れさせる前に
Fall in love
きつく抱きしめるたびに
やけに色の無い
夢が続く
≪接吻 ~kiss~ 歌詞より抜粋≫
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恋人が自身の気持ちを受け止めてくれるのは、触れ合う夜のひと時だけなのでしょう。
「夜がすべて忘れさせる」かのように、朝が来ればまた距離ができてしまうことを主人公は感じていると思われます。
だから想いを恋人の心に刻みたくて何度も「長く甘い口づけ」を交わし「きつく抱きしめる」のです。
それでも自分ばかりが恋焦がれて、恋の引力に抗えないでいるのでしょう。
「痩せた色の無い夢を見てた」という過去形のフレーズが最後に「やけに色の無い夢が続く」という進行形に変化しています。
やめたくてもやめられない、いつまで経っても色づかないこの恋に対する、主人公の複雑な心が見えてきますね。
田島貴男の歌声に酔いしれて
ORIGINAL LOVEの『接吻』は、大人の切ない恋愛模様が描かれたラブソングです。シンプルなフレーズだからこそ、愛する人を求める情熱と想いが届かないことへの諦めが混じる歌詞がよりストレートに伝わってくるでしょう。
時代が変わっても色褪せない歌詞と田島貴男の独特な歌声を、改めてチェックしてみてくださいね。
1987年 前身バンド「レッドカーテン」から「Original Love」に改名。88年 Original Loveと並行し、PIZZICATO FIVEに加入(90年まで)。 91年アルバム『LOVE! LOVE! & LOVE!』でデビュー。 代表作としてシングル『接吻』『プライマル』アルバム『風の歌を聴け』などがある。 近年はバンドでの表···