映画「HOMESTAY」はどんな作品?
新曲『袖のキルト』は映画『HOMESTAY(ホームステイ)』の為に書き下ろされた楽曲です。
『袖のキルト』の歌詞を考察するために、まずは映画『HOMESTAY』のあらすじを解説します。
映画『HOMESTAY』は森絵都の小説『カラフル』を実写映像化し、主演をなにわ男子の長尾謙杜が務めるミステリー作品です。
死んで魂になった主人公シロは、同時期に死んだ高校生である小林真の身体にホームステイし「小林真が死んだ原因を突き止める」という転生の条件に挑むことになります。
100日間のリミットの中で、シロが小林真として家族・幼馴染・先輩との日々を過ごしながら、死の真相に迫っていくストーリーです。
こちらのあらすじを元に歌詞を考察していきましょう。
ずとまよが描くシロの悩める日々
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全部 逃げ出しちゃってもいいけど
今日も机で おでこ冷ましてる
手提げ袋の中の 遺伝子と
折れ曲がった漫画、僕のだ
≪袖のキルト 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞には「今日も机で おでこ冷ましてる」というフレーズがあり、高校生の小林真として過ごすシロが、教室で疲れ切っている姿が思い浮かびます。
「手提げ袋の中の 遺伝子と 折れ曲がった漫画、僕のだ」という歌詞は、自分の遺伝子や漫画に対して「僕のだ」と言い聞かせなければ、自分のものだと思えない感覚を表現しているのではないでしょうか。
シロは小林真ではないので、小林真の遺伝子や漫画を自分のものだと思えないという感覚は当然でしょう。
小林真という別人の中にホームステイして過ごす学生生活は、シロにとってひどく疲れるものなのかもしれません。
若者の苦悩を表現する楽曲を多く生み出してきたずとまよと、映画『ホームステイ』の相性はぴったりだといえるでしょう。
歌詞に表現された温かい関係性
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歌うのは 僕のキルト
継ぎ接ぎなメモ くだらない話を
茶化しながら 見つめあいながら
橙色の放課後 図書室のストーブ音=
だいじょばない日の 待ち合わせ場所
≪袖のキルト 歌詞より抜粋≫
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「茶化しながら 見つめあいながら」という歌詞からは、机でおでこを冷ましていた冒頭の歌詞にはなかった温かさが感じられます。
シロは小林真として過ごす日々の中で、親しい仲間を見つけられたのかもしれませんね。
歌詞に出てくる「だいじょばない」は「大丈夫ではない」という意味で使われる言葉です。
シロがホームステイしている間に、小林真にだいじょばない日にも会える仲間が見つかったのでしょう。
また「僕のキルト」という歌詞がありますが「キルト」とは薄い綿を布で挟み、重ねて縫い合わせたものを指す言葉です。
シロと小林真の人生が重なり合っていく様を表現しているのかもしれませんね。
「袖のキルト」の「袖」ってどんな意味?
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余った袖を 引き止めてる
君といる今日が ずっと
奇跡みたいで 叫んだ
≪袖のキルト 歌詞より抜粋≫
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小林真が一度死んでしまった人物であるということを考えれば「余った袖を 引き止めてる」という歌詞は「小林真の命を 引き止めている」という意味だと解釈できそうです。
歌詞に出てくる「君」は「僕」であるシロから見た小林真を指しているのかもしれません。
また、「君」=「小林真として出会った幼馴染や先輩」を指すという解釈もできそうです。
いずれにせよ「君といる今日が ずっと 奇跡みたいで 叫んだ」という歌詞には、シロの切実な思いが表現されていると考えられ、感動的に響きます。
映画を見てシロの気持ちを想像し、歌詞に出てくる「君」が誰を指すのかを考えてみるのも楽しいかもしれませんね。
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