BUMP OF CHICKENが表現するポケモンの世界観
『アカシア/Gravity』は、BUMP OF CHICKEN26枚目のシングルで、2020年11月4日にリリースされました。
『ポケットモンスター』スペシャルミュージックビデオ『GOTCHA!』のテーマソングに起用されています。
アカシア盤とGravity盤の2種があり、アカシア盤にはスペシャルミュージックビデオ『GOTCHA!』を収録したDVDが付属しているので、ファンにとっては見逃せない内容です。
アカシアはマメ科ネムノキ亜科アカシア属の植物で、その種類は多岐にわたります。
フサアカシア、ギンヨウアカシア、モリシマアカシアなどがあり、葉の形や花の色も異なります。
ギンヨウアカシアはミモザとも呼ばれているので、日本ではこちらの名前の方がなじみ深い
かもしれません。
アカシア属は1300を超える種類がありますが、その大半がオーストラリアにあります。
アカシアというとオーストラリアのイメージが湧きやすいのはそのためでしょう。
また、ハチミツの中でも人気の高いアカシアハチミツは、アカシアではなくニセアカシアが使用されています。
このように、日本でも身近なアカシアという植物の名前をタイトルにした楽曲は非常に興味深いですね。
作詞作曲はボーカルの藤原基央。
ポケモンたちと人間の友情や絆、時には親子の深い愛情なども描いてきた作品のテーマソングとして、『アカシア』で一体何を表現するのか。
それでは早速、歌詞の意味を読み解いていきましょう。
印象的なフレーズがちりばめられた歌詞
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透明よりも綺麗な あの輝きを確かめにいこう
そうやって始まったんだよ たまに忘れるほど強い理由
≪アカシア 歌詞より抜粋≫
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「透明よりも綺麗な」という印象的なフレーズから始まる『アカシア』。
仲間や親子との絆、心と心のつながりを描いてきたポケットモンスターの世界観にもぴたりとハマります。
澄み渡った「透明」よりもさらに綺麗な輝きとは、希望でしょうか。
心の輝きや胸の高鳴りなど、幼い頃は当たり前に持っていた感覚を、大人になるほど忘れてしまいがちです。
とても強い思いで一歩を踏み出し、今ここにいるはずなのに、原点を忘れてしまうことはよくあること。
だからこそ改めて、自分がここにいる「強い理由」を確かめ、向き合うことが大切なのかもしれません。
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冷たい雨に濡れる時は 足音比べ 騒ぎながらいこう
太陽の代わりに唄を 君と僕と世界の声で
≪アカシア 歌詞より抜粋≫
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人生、いいことばかりではありません。
うつむき、前を向く元気すら出せない時もあるでしょう。
そんな時でも、互いの存在を感じることで支え合える関係というのは素敵ですね。
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いつか君を見つけた時に 君に僕も見つけてもらったんだな
今 目が合えば笑うだけさ 言葉の外側で
≪アカシア 歌詞より抜粋≫
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「君」との出会いは、互いを見つけ合った瞬間でもあったようです。
誰かに見つけてもらえる、自分という存在を受け入れてもらえるというのは、とても心強いことですよね。
そんな相手だからこそ、目が合っただけで微笑み合えるのでしょう。
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ゴールはきっとまだだけど もう死ぬまでいたい場所にいる
隣で (隣で) 君の側で 魂がここだよって叫ぶ
泣いたり笑ったりする時 君の命が揺れる時
誰より (近くで) 特等席で 僕も同じように 息をしていたい
≪アカシア 歌詞より抜粋≫
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「君」と「僕」の関係は、ただ一緒にいて心地いい人、という枠には収まりません。
魂ごと惹かれ合い、「君」の一挙一動に心を震わせるのです。
大切な人の隣にいられることは、まさに「特等席」。
特別な思いを抱く相手を、誰よりも近い場所で見ていたいと願うのは当然のことです。
人生という旅はまだまだ続くのだとしても、今2人でいるこの場所から死ぬまで離れたくないと願う。
それほどまでの幸せが目の前にある高揚感が伝わってくる歌詞です。
「君」という存在が意味するもの
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君の一歩は僕より遠い 間違いなく君の凄いところ
足跡は僕の方が多い 間違いなく僕の凄いところ
≪アカシア 歌詞より抜粋≫
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相手の長所を認め、自分の長所も受け入れる。
謙遜ばかりではなく、自分のこともしっかりと褒めてあげることが、人生を豊かにする秘訣なのかもしれません。
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真っ暗闇が怖い時は 怖さを比べ ふざけながらいこう
太陽がなくたって歩ける 君と照らす世界が見える
≪アカシア 歌詞より抜粋≫
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行き詰まった時、先が見えない時は、誰でも不安になるものです。
1人だったら怖くて立ち止まってしまう時でも、「君」が一緒にいれば前に進むことができる。
時にふざけ合い、励まし合って一緒に進んできた2人だからこそでしょう。
世界を照らす太陽という存在が見えなくなっても怯えずに生きていけるのは、信頼し合える仲間がいてこそ。
「この人とだったら何も怖くない」そう思える相手に出会えたことが、「僕」にとって最大の幸福で在り武器なのです。
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言えない事 聞かないままで 消えない傷の意味 知らないままで
でも 目が合えば笑えるのさ 涙を挟んでも
≪アカシア 歌詞より抜粋≫
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僕と君は、聞きたいことも聞けず、相手が抱える闇も知らないままでも笑い合えるようです。
本当のことを知らないままですれ違ってしまう2人はよく見ますが、「君」と「僕」は、たとえ痛みを分かち合っていなくても目と目で分かり合える関係なのでしょう。
すべてを知らなくても分かり合うことができる。
それはまさに、最強のパートナーといえるのではないでしょうか。
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転んだら手を貸してもらうよりも 優しい言葉選んでもらうよりも
隣で (隣で) 信じて欲しいんだ どこまでも一緒にいけると
ついに辿り着くその時 夢の正体に触れる時
必ず (近くで) 一番側で 君の目に映る 景色にいたい
≪アカシア 歌詞より抜粋≫
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この2人の間には、友情とも愛情ともつかない、強固な絆があるようです。
落ち込んだ時、何かにつまずいた時、手を差し伸べたり慰めたりしてほしいと願うのはごく自然なことでしょう。
しかし「僕」は助けよりも信頼が欲しいのです。
自力で立ち上がり、再び歩き出せるまで待ってくれる、ただ信じてもらえることが、何よりの救いであり力になるから。
人を信じることはとても難しいことです。
だからこそ、誰よりも大切な人に信頼されることは、この上ない幸せとなり得るのではないでしょうか。
花言葉から考察する『アカシア』の意味
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あの輝きを
君に会えたから見えた あの輝きを
確かめにいこう
≪アカシア 歌詞より抜粋≫
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「透明よりも綺麗な」輝きをくれたのは「君」でした。
目に見えない「透明」という色よりもなお美しい輝きはきっと、「僕」にしか見えないものです。
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どんな最後が待っていようと もう離せない手を繋いだよ
隣で (隣で) 君の側で 魂がここがいいと叫ぶ
そして理由が光る時 僕らを理由が抱きしめる時
誰より (近くで) 特等席で 僕の見た君を 君に伝えたい
君がいる事を 君に伝えたい
そうやって始まったんだよ
≪アカシア 歌詞より抜粋≫
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2人で一緒にいられるのなら、その先にどんな結末が待っていようとも怖くない。
きっと「僕」にとって、一番怖いことは「君」がいないことなのでしょう。
それ以外はどうでもいいと思えてしまうほどに、一番大切で特別な存在としての「君」がいるのです。
「僕」が行動を起こした強い理由は、「君」という存在を伝えるため。
それはつまり、自分にとってどれだけ大切で必要な存在なのか、存在そのものの尊さを伝えるためだったのでしょう。
シンプルで何よりも強い原動力。
それを抱えて、「僕」はこれからも「君」のそばにい続ける。
大事な人の隣にいられることを当たり前だと思わず、一緒にいられる奇跡に感謝することの尊さを教えてくれる歌です。
アカシア。
その花言葉は「秘密の恋」や「友情」だそうです。
ずっと隣にいながら、心の奥底にある想いは告げていない様子の「僕」。
この2人の関係こそまさに『アカシア』というタイトルにふさわしいのではないでしょうか。
BUMP OF CHICKENは、トイズファクトリーに所属する4人組のロックバンド。独特な世界観とボーカル藤原の圧倒的歌唱力、更にはドラマの他、アニメやゲームとのタイアップ曲も多く、幅広い年齢層から支持を集めている。 幼稚園時代からの幼馴染であり、1994年、当時中学校の同級生であった4人が、文···