最強タッグがリモートで作り上げた壮大なラブソング
絢香とワンオクTakaは2020年に清水翔太が立ち上げた[ re: ]projectのメンバーとして知り合い、今回のコラボが実現。
作曲は絢香、作詞はTakaが担当しています。
「Victim of Love」で初共演となる2人ですが、リモートで音源やりとりをして歌詞や言い回しを決めたそうです。
歌唱力と表現力の高い2人が抑揚たっぷりに歌い上げることで、男女の切ない葛藤が伝わる素晴らしい楽曲に仕上がっています。
YouTubeでレコーディング風景が見れるメイキング動画が配信されており、2人のこの曲へのこだわりを垣間見ることができるので、ぜひチェックしてみてくださいね!
タイトルの「victim(ヴィクティム)」は和訳すると犠牲者や被害者という意味で、「Victim of Love」は愛の虜と訳されます。
この曲のキーワードである「愛の虜」は誰を指しているのか、そしてどのような表現で使われているのか。歌詞から意味を読み解いていきます。
ソロパートから考察するそれぞれの想い
「Victim of Love」の1番はTakaのソロから始まります。
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わかってる君はここにはこない
ルールを破りたいわけでもない
君を追って先にあるものは
絶望じゃないんだと信じたい
≪Victim of love feat. Taka 歌詞より抜粋≫
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冒頭の部分で語られる「ルールを破りたいわけでもない」という歌詞から、2人は思い切り恋愛を楽しめる立場ではないことがわかります。
「君を追った」=その女性と恋愛をし続けた先にあるのは、「絶望」=よくない未来の可能性が高いと解釈できるこのフレーズ。
身分的に不釣り合いなのか、不倫の恋なのか、様々な許されない恋のシチュエーションが思い浮かびますね。
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遠くからでいい僕を見てよ
誰よりもきっと君を想ってる
気づいてよそれだけでいいから
と言った瞬間君をもっと欲しくなる
≪Victim of love feat. Taka 歌詞より抜粋≫
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ここの歌詞を読むと、男性の思いがダイレクトに伝わってきて胸が締め付けられます。
「近づくことができなくてもいい」と言いながら、もっと君と一緒に居たいと思う気持ちの葛藤が伝わってきます。
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あなたが作ったこの世界で
私は独りただ虚しくて
あなたがいない世界があるなら
私は同じ道を望むかな?
≪Victim of love feat. Taka 歌詞より抜粋≫
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2番からは絢香のソロパートで女性側の心情が歌われています。
「あなたが作ったこの世界」という部分をどのように解釈するかで、全体像が大きく変わってくるのではないでしょうか。
その“世界”は、聴き手側が自分の経験を重ね合わせることができる余剰として明言されていないのかもしれません。
この歌詞からわかるのは、あなたがいない生活は意味がないと思うほど男性のことを愛しているということです。
ユニゾンで表現される2人の葛藤と決意
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Can't you feel it
Don't you want it
I will show it
When we need it
≪Victim of love feat. Taka 歌詞より抜粋≫
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こちらの歌詞を和訳してみると、「君はそれを感じられない?君はそれを欲しくはないの?
僕はそれを見せてあげるよ。僕らにそれが必要なら...」となります。
これまでの歌詞は離れていても相手を静かに想う様子が描かれていましたが、ここでは相手もしくは自分自身に強く問いかける言葉が並んでいますね。
「君」が相手のことだとすると、相手に対して一歩踏み出す決意を促していると解釈することができそうです。
一方で「君=自分」と解釈することができるようにも感じました。
相手への気持ちを改めて自問自答しながら、何があろうと2人が一緒にいることを強く望めばそれが叶うことがわかっている。
そんな思いが込められているように解釈できそうです。
そしてその次の歌詞に続きます。
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You can feel it
You do want it
…So it's needed
≪Victim of love feat. Taka 歌詞より抜粋≫
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MVでこの部分を見ると、それまで力強く奮い立たせるように歌っていた2人がこのフレーズでトーンダウンしていく様子がわかりますよ。
最後のフレーズでは、決意が固まり冷静に未来を見据えたような雰囲気を感じます。
虜という言葉には「逃げ出せない人」という意味があります。
「Victim of Love」のキーワードである愛の虜の意味は、「愛だけを求めて逃げない覚悟をした2人」のことを表しているのではないでしょうか。
愛の虜となった2人の恋の結末は?
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Everything we do
Everything we see
Everything we feel
他のものは何もかも見えなくていい
Nothing we will lose この一瞬が続けばいい
いっそ強く深くこのまま愛の虜
≪Victim of love feat. Taka 歌詞より抜粋≫
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サビ部分は、全く同じ歌詞で1番、2番、大サビと3回繰り返されます。
1番目は男性の心情、2番目は女性の心情、この2回はどちらかというと2人の望みという意味が強いように感じました。
ですがDメロを経たことで、この最後の大サビは2人の決意が表現されているように読み解くことができます。
同じ歌詞なのに意味が全く別のものになるなんて、素晴らしい曲の構成ですよね。
MVの絢香とTakaの表情に注目
「Victim of Love」は、歌詞の繰り返しが多いので言葉が多く語られる曲ではありません。ですが、だからこそ男性と女性の気持ちや願望が同じであることが表されているのかもしれません。
歌詞を考察してから改めてMVを見ると、2人の表情や歌い方など細かいところまで作り込まれており、まるで劇の一幕を見ているような気持ちになりました。
ぜひMVもあわせてチェックしてみてくださいね!