空音がサンプリングし再ブレイク!
『エイリアンズ』は1996年から活動しているバンド『キリンジ』が2000年にリリースした6枚目のシングル。
オリコンチャートの最高順位は42位と大ヒット曲ではないものの、CM曲に起用されたり様々なアーティストがカバーしたりと長く愛され続けています。
その中でも記憶に新しいのが、人気ラッパー『空音』によるサンプリング。
楽曲『Hug feat. kojikoji』の中でサビのフレーズを大胆にサンプリングし、『エイリアンズ』が若い世代を中心に再び注目を集めました。
そんな同曲の魅力といえば、メロウなメロディとユニークな歌詞。
一体何が歌われているのか紐解いていきましょう。
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遥か空に旅客機 音もなく
公団の屋根の上 どこへ行く
誰かの不機嫌も 寝静まる夜さ
バイパスの澄んだ空気と 僕の町
≪エイリアンズ 歌詞より抜粋≫
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冒頭で歌われているのは、主人公が住む街の様子のようです。
「誰かの不機嫌も寝静まる夜」という歌詞から、深夜だと分かりますね。
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泣かないでくれ ダーリン
ほら 月明かりが
長い夜に寝つけない二人の額を撫でて
≪エイリアンズ 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞でわかるのは、同曲には2人の登場人物がいること。
一緒に寝ているような描写ですが、2人はどのような関係なのでしょうか?
有名すぎるサビの歌詞を徹底考察
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まるで僕らはエイリアンズ
禁断の実 ほおばっては
月の裏の夢みて
キミが好きだよ エイリアン
この星のこの僻地で
魔法をかけてみせるさ いいかい
≪エイリアンズ 歌詞より抜粋≫
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こちらが有名なサビの歌詞です。
注目すべきポイントは「僕ら=エイリアンズ」「キミ=エイリアン」と表現していること。
もし、登場人物が本当にエイリアンなら、地球で人間たちに馴染み、普通の生活をするのはかなり困難ですよね。
つまり、「エイリアン」という言葉には、主人公の今の生活に対する「疎外感」が込められていると思われます。
そしてもう1つ気になるのが、2行目と3行目の歌詞。
「禁断の実」はおそらく、禁じられているものの、とても魅力的な快楽や行動を指す「禁断の果実」のことでしょう。
「月の裏を夢見て」は、どこか遠くに行きたいという欲求でしょうか?
これらを踏まえてもう一度サビを見てみると、この曲は今の街や生活に馴染めない主人公が、同じく上手く馴染めていない「キミ」に恋をする物語だと考えられます。
ダメだとわかっているけれど自分の欲望のままに行動し、その上「どこか遠くへ行きたいなぁ」なんて夢を見ながら「キミ」に恋をしている。
1番のBメロで深夜に一緒にいる様子が歌われていたことから、2人はもう恋人関係にあるのかもしれませんね。
それでも溢れ出る「キミ」への愛を歌った楽曲だと解釈すると、とてもロマンチックです。
主人公は男?女?その後2人はどうなる?
『エイリアンズ』の謎といえば、主人公の人物像。
男性ボーカルのため男性目線のように感じますが、「ダーリン」と呼びかけるような歌詞からは女性目線とも考えられます。
実際は暮らす街や周りの人間に息苦しさを感じている人物を「エイリアン」と表現していると思われますが、主人公がエイリアンなら男も女も関係ないのかもしれませんね。
そんな主人公と「キミ」はどうなるのでしょうか?
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躍ろうよ さぁ ダーリン
ラストダンスを
暗いニュースが日の出とともに町に降る前に
≪エイリアンズ 歌詞より抜粋≫
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「日の出の前に」ということは、まだ夜明け前であることが分かりますね。
冒頭では深夜の様子が描かれていたことを考えると、どうやら同曲はほんの数時間の感情や出来事を歌っているようです。
しかし、最後のサビでは主人公の「キミ」に対する想いが強くなっていることが分かります。
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まるで僕らはエイリアンズ
禁断の実 ほおばっては
月の裏を夢みて
キミを愛してる エイリアン
この星の僻地の僕らに
魔法をかけてみせるさ
大好さエイリアン わかるかい
≪エイリアンズ 歌詞より抜粋≫
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1番のサビでは「好き」だったのに対し、最後のサビは「愛してる」と歌われています。
最後の最後でもう一度「大好きさ」と想いが伝えられているのもポイント。
自分と同じようにまるでエイリアンのように浮いている「キミ」だからこそ、一緒にいればいるほど愛が深まっていくのかもしれませんね。
本家もカバーも聴いてみて!
キリンジの代表曲『エイリアンズ』について解説しました。同曲の作詞作曲を担当したのは初期メンバーである「堀込泰行」。
とても独特な世界観の持ち主です。
キリンジのアルバム『3』にも収録されているため、ぜひ他の曲たちと合わせてチェックしてみてくださいね。
また、秦基博や鈴木雅之による同曲のカバーも魅力的。
アーティストによって雰囲気が異なるため、聴き比べを楽しむのもおすすめですよ。