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ヒゲダン「ミックスナッツ」の歌詞に込められた意味を徹底解釈

『ミックスナッツ』は、ピアノPOPバンド・Official髭男dismの新曲で、アニメ『SPY×FAMILY』の主題歌です。作品と見事にリンクしたタイトルや歌詞に込められた意味を考察していきます。

いびつな家族の形を描いたOfficial髭男dism「ミックスナッツ」

▲Official髭男dism-ミックスナッツ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

Official髭男dism『ミックスナッツ』は、現在放送中のテレビアニメ『SPY×FAMILY』のOP主題歌で、2022年4月15日に配信リリースされました。

6月22日には、同曲の他に『Anarchy』(映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』主題歌)などの4曲を収録したEPの発売も決定しています。

『SPY×FAMILY』の主人公は戦争を食い止めるため、平和のためにスパイとして暗躍する男・黄昏。

任務のために疑似家族を作るところから物語は始まります。

スパイものというだけあってスリリングな展開やアクションシーンも見所ですが、コメディなので重くなりすぎず、非常に読みやすい作風が人気。

笑いと涙とアクション。それぞれの要素が絶妙なバランスで描かれている点も魅力です。

疑似家族のメンバーは、黄昏(父・スパイ)、ヨル(母・殺し屋)、アーニャ(娘・超能力者)。

黄昏はロイド・フォージャーという人物になりきり、この3人でフォージャー家を作り上げていきます。

それぞれの事情により互いの素性を隠したまま生活を共にしているからこそ生まれる苦労や勘違いが、スリリングで笑いを誘います

さて、複数のナッツが詰め合わされたミックスナッツが、どのように作品の世界観とマッチしていくのか。

さっそく歌詞の解釈を進めていきましょう。

「ミックスナッツ」とリンクする「SPY×FAMILY」の世界


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袋に詰められたナッツのような世間では
誰もがそれぞれ出会った誰かと寄り添い合ってる
そこに紛れ込んだ僕らはピーナッツみたいに
木の実のフリしながら 微笑み浮かべる
≪ミックスナッツ 歌詞より抜粋≫
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他人が寄り集まって生きている世間を袋詰めのナッツにたとえているところがユーモラスですね。

知らない人同士なのに当たり前のように一緒にいる。

そんな世間に身を置く「僕ら」はピーナッツではなく、世間(たくさんのナッツ)に馴染もうと、家族の「フリ」をしているところがフォージャー家と重なりますね。

ここで歌われる「世間」が一般市民の生きる世界を意味するなら、秘密を抱えたフォージャー家はまさに異物。

だから、周りのナッツに馴染もうと、ピーナッツは必死に「木の実のフリ」を続けバレないように世間に溶け込もうとするのです。

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幸せのテンプレートの上 文字通り絵に描いたうわべの裏
テーブルを囲み手を合わすその時さえ ありのままでは居られないまま
≪ミックスナッツ 歌詞より抜粋≫
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「幸せのテンプレート」という言い回しが皮肉めいていますね。

誰もが享受する「普通の幸せ」というものを持たないフォージャー家にとって、テンプレートの上に乗った人たちはどのように見えるのでしょうか。

絵に描いたような仲の良い一家は、本当にうわべだけの存在で、作りものの家族です。

どこにでもある一家団欒の時間でさえ、裏では計算し、素性を隠し、正体がバレないように神経を研ぎ澄ましている。

「テーブルを囲み手を合わすその時」という歌詞も、原作ファンにとっては嬉しいフレーズです。

一家がテーブルに集い、手を合わせて笑顔を交わしていているそのシーンは、原作第1話にの冒頭に登場するシーン

アーニャが見つめる中、ロイドの足下にはスパイ道具が、ヨルの足下には死体が転がっています。

見えないところに秘密を押し込めて、うわべだけの笑顔を取り繕う。それこそまさに、フォージャー家の姿なのです。

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隠し事だらけ 継ぎ接ぎだらけのHome, you know?
噛み砕いても無くならない 本音が歯に挟まったまま
不安だらけ 成り行き任せのLife, and I know
仮初めまみれの日常だけど ここに僕が居て あなたが居る
この真実だけでもう 胃がもたれてゆく
≪ミックスナッツ 歌詞より抜粋≫
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フォージャー家は、黄昏が任務のために築き上げた仮初めの存在

任務が終われば解散。

そこで家族ごっこは終わってしまいます。

歌詞にもある通り、思い通りにいかないことばかりで、優秀なスパイである黄昏は、不安と苦労の連続で胃痛と闘う日々。

とても不安定な即席家族ですが、彼らが今同じ屋根の下で暮らしている事実は変わりません。

その重みは、なぜか温かさでもあるのです。

仮初めの家族に育まれる本物の愛情


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化けの皮剥がれた一粒のピーナッツみたいに
世間から一瞬で弾かれてしまう そんな時こそ
曲がりなりで良かったらそばに居させて
共に煎られ 揺られ 踏まれても 割れない殻みたいになるから
≪ミックスナッツ 歌詞より抜粋≫
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ピーナッツの薄皮のように簡単に、ある日突然、スパイや殺し屋という化けの皮が剥がされてしまうかもしれない恐怖。

一度正体を知られたら、彼らは世間にいられなくなる存在です。

自分を捨てて、人々の幸せのために活躍していながら、その存在を許されない名もなき英雄。

黄昏とヨル、そしてアーニャが一緒にいる空間がどことなく心地よいのは、互いがフォージャー家を成立させようと努力しているだけではなく、それぞれの境遇もあるでしょう。

職業も生い立ちも違えど、誰にも言えない秘密を抱えた、居場所のない人たちという意味では同じです。

だからこそ、互いを求めて一緒にいられる空間が温かく、心地よく見えるのではないでしょうか。

『SPY×FAMILY』で描かれるフォージャー家は、偽物の家族でありながらとても温かいのです。

それはきっと、任務だけではない本物の愛情があるからでしょう。

黄昏もヨルも、裏家業に従事してはいるものの基本的に優しい人間です。

アーニャを任務のための道具としてだけ扱うのではなく、1人の子供として向き合う姿勢。

日頃からたくさん会話をし、言葉を交わし、相手の気持ちを尊重することを忘れません。

アーニャは偽物の父と母にとてもなついていますし、2人を大切にしています。

仮初めの家族であっても、3人の心が通じ合っている証拠といえるでしょう。

世間から弾かれてしまいそうな時「そばに居させて」といえる関係はまさに、フォージャー家そのものです。

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生まれた場所が木の上か地面の中か それだけの違い
許されないほどにドライなこの世界を 等しく雨が湿らせますように
≪ミックスナッツ 歌詞より抜粋≫
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木に実る「ナッツ」と地面で育つ「ピーナッツ」、そして生まれた場所の違いも許し合えない世界。

それは『SPY×FAMILY』という作品の舞台ともリンクします。

作品の舞台は東西で隣り合った2つの国。

表向きは平和でも、水面下では戦争に向けた動きが活発化している時代です。

東か、西か。

同じ人間なのに、生まれた場所が違うだけでいがみ合い、時として殺し合う世界。

そんな世界を等しく濡らす雨は、黄昏の願う「よりよき世界」と重なります。

黄昏は、よりよき世界を作るために。

ヨルは、優しい世界を作るために。

それぞれが汚れ仕事を担っているのです。

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時に冷たくて 騒がしい窓の向こうyou know?
星の一つも見つからない 雷に満ちた日があっても良い
ミスだらけ アドリブ任せのShow, but I know
所詮ひとかけの日常だから 腹の中にでも 流して寝よう
≪ミックスナッツ 歌詞より抜粋≫
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何事もスマートに、完璧にこなす優秀なスパイである黄昏も、フォージャー家という任務では予想外の出来事ばかり。

まさに「ミスだらけ アドリブ任せ」です。

そんな彼らしくない日々も、失敗続きでも、アーニャとヨルがいれば、不思議と心が安らぐ

黄昏は2人の行動に頭を悩ませることはあっても、イライラすることはありません。

結局のところ、一時的なつながりにすぎないはずの2人を受け入れているのでしょう。

「ひとかけの日常」だと思って受け流してしまえば、それはそれで、愛おしい時間なのかもしれません。

フォージャー家の温かさを音で表現した「ミックスナッツ」


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隠し事だらけ 継ぎ接ぎだらけのHome, you know?
とっておきも出来合いも 残さずに全部食らいながら
普通などない 正解などないLife, and I know
仮初めまみれの日常だけど ここに僕が居て あなたが居る
この真実だけでもう 胃がもたれてゆく
この一掴みの奇跡を 噛み締めてゆく
≪ミックスナッツ 歌詞より抜粋≫
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胃もたれするほどの日常でも、とってつけたような家族でも、その出会いは奇跡です。

普通とはかけ離れた裏の顔を持ちながら、それでも心を動かし、どうにか形作ってきた家族。

それはいつしか、かけがえのないものへと変わっていくことでしょう。

普通に暮らせない、誰にも言えない秘密を抱えた家族を暗く、重たく描くのではなく、あえて明るく、優しく、笑いというスパイスを添えて描き出す『SPY×FAMILY』。

『ミックスナッツ』に流れるゆるやかな優しさと温もりは、まさにそんな作品の世界観を象徴しています

聴けば聴くほど癖になるメロディ。

薄暗い歌詞もあるのに、曲全体を包む空気感は明るく、心が満たされていきます。

この曲を通して『SPY×FAMILY』という作品を味わうことで、さらに深い味わいを楽しむことができるのではないでしょうか。

『SPY×FAMILY』のオープニング映像もYouTubeで公開されています。

カラフルで可愛らしく、サビでは非常にかっこいい仕上がりとなっているので、映像もぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

Official髭男dism (オフィシャルヒゲダンディズム) 山陰発4人組ピアノPOPバンド。2012年6月7日結成、島根大学と松江高専の卒業生で結成されており、愛称は《ヒゲダン》。このバンド名には髭の似合う歳になっても、誰もがワクワクするような音楽をこのメンバーでずっと続けて行きたいという意思が···

この特集へのレビュー

男性

ちちち

2022/06/03 09:15

私の解釈では、以下のように考えています。
まずピーナッツは「ナッツ」がついているけど、ナッツ(木の実)ではありません。ピーナッツがしれっと当然の様にミックスナッツにはいってナッツ(木の実)のように思われていることを揶揄?していると思っています。

「生まれた場所が木の上か地面の中か それだけの違い」
というフレーズも、ナッツは木の上ですが、ピーナッツは落花生ですので土の中にできる豆という点を示していると思いました。

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