Eveがスマホゲーム「呪術廻戦 ファントムパレード」の主題歌を担当
2022年3月8日にリリースされたEveの新曲『アヴァン』は、スマホゲーム『呪術廻戦 ファントムパレード』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。
Eveと『呪術廻戦』といえばTVアニメの第1クールオープニング主題歌『廻廻奇譚』がメガヒットを記録し、日本のみならず世界中の視聴者から大きな注目を集めました。
その『廻廻奇譚』と地続きとなるようなイメージで制作したという『アヴァン』は、フランス語で「前に」を意味するAvantからつけられたタイトルです。
どのような内容になっているのか、極力ストーリーには触れず歌詞の意味を考察していきたいと思います。
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不屈な精神と 測り得ない 底無しの愛憎感
汚れた万物の 色褪せない 命の不完全昇華
≪アヴァン 歌詞より抜粋≫
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「不屈な精神」は心の強さを感じさせますが、「測り得ない底無しの愛憎感」は、自分の中にある強い愛憎の感情に呑まれそうになっている様子を思わせます。
これは強い意志を持って戦っている呪術師たちのような人たちでも、心の中にそうした弱い部分や仄暗い感情を抱えた普通の人間だということを表しているのかもしれません。
マイナスな感情に負けてしまった人たちは命を美しく散らすこともできずに、心をすり減らしながらもがいていきます。
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気取られそうだった 淀みのない 真っすぐな眼光が
独りを成していた 思い出せ 託した感情警笛を
気まぐれな相槌など 交わす言葉もないけど
この身が焼けても守るものを知って
≪アヴァン 歌詞より抜粋≫
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ある人から「淀みのない真っ直ぐな眼光」を向けられ、自分の中の秘めた感情を気取られそうになる主人公。
「独りを成していた」や「託した」という表現から、一組のバディの姿が浮かび上がってきます。
「気まぐれな相槌」や「交わす言葉」は相手と友好関係を築くために必要なものです。
しかし、それがないということは主人公とパートナーはかなり事務的な関係であって、仲良くなる必要がないと思っていると解釈できます。
それでも共に困難に立ち向かい、互いの「この身が焼けても守るもの」を知ったことで強い信頼関係を築くことができたようです。
多くの名バディが登場する『呪術廻戦』の世界観が広がる歌詞ですね。
自分と仲間を信じて戦う
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想いも 声も 言葉も
失くした感情さえ 愛も
廻って 廻って 勝機繋いでいけ
≪アヴァン 歌詞より抜粋≫
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この歌詞は、自分自身という存在を形成する全てを持って勝機を掴めと鼓舞しています。
今は失ってしまった感情でさえ自分の一部であり、廻り回って未来の自分の糧になることがあるでしょう。
そうして掴み取った「勝機」のバトンを繋ぎ、結束して難関に立ち向かおうとする力強い想いが伝わってきます。
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期待 後悔を重ねた
番いのように縛りあって
君だけ思い焦がれては
希うように空を切って
≪アヴァン 歌詞より抜粋≫
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「期待」しては思い通りにならず「後悔を重ねた」日々は、決して楽なものではなかったはずです。
「番い」のような切っても切れない関係にある「君だけ」を思い、必死に戦ってきた様子が垣間見えます。
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許しを待っていた 記憶のない 化けを纏っているようだ
類稀な縁が 天賦の才 諸行無常 全能感
胸が躍るようだ 君の為に死ねると言いたいな
運命を一点に もう迷わない 呪いに生まれし核心を
≪アヴァン 歌詞より抜粋≫
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ただ「許しを待っていた」主人公は、「記憶のない化けを纏っている」ように自分が自分でないような感覚に陥っています。
しかし良きパートナーとの「類稀な縁」を結んだことで、自分まで素晴らしい存在になったと思えるほどの力強さを感じているようです。
「君の為に死ねると言いたいな」というフレーズに、パートナーを心の底から大切に思っていることが表れています。
その思いは主人公の迷いを払拭し、戦うための勇気をくれます。
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その理由を知らずとも 流す涙があるなら
祈りが届かずとも手を伸ばして
≪アヴァン 歌詞より抜粋≫
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人の感情が動くにはそれなりの理由があり、涙を流す時は特に大きな感情の揺れがあるものです。
それでも時には理由が分からないまま、自然と涙が流れることもあるでしょう。
涙にさえ理由がいらないのなら、願いを自分の手で叶えようと力を尽くしてもいいはずだと訴えかけているのではないでしょうか。
弱くても誇れるような能力がなくても諦める必要はない、自分の可能性を信じて進めばいいということを教えてもらえるような気がします。
未来へ向けて前へ進め
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伝えたい 想いは溢れた
隠した思い出さえ 愛も
廻って 廻って 好機を待っていけ
≪アヴァン 歌詞より抜粋≫
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「伝えたい想い」が募ってあふれた時は、行動するべきチャンス。
誰にも言えなかった「隠した思い出」も、この瞬間のために必要だった記憶です。
人生において無駄な瞬間はきっとひとつもありません。
全ての出来事を大切に抱えて「好機を待っていけ」の言葉に、チャンスを逃さないようにというメッセージを感じました。
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黒い閃光が散る音
未来永劫な正体も
まだ居てもいいというのなら
そんな悲しい顔をしないで
≪アヴァン 歌詞より抜粋≫
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「黒い閃光」は打撃の必殺技である黒閃のことを指しているので、戦うことを象徴するフレーズと捉えられそうです。
本来は消えるべき運命にある自分の存在が「まだ居てもいい」と許されるのなら、命尽きるまで戦う決意を固めていることを表しているのかもしれません。
仲間は主人公を失う未来を思って悲しみますが、自身の運命を受け入れている主人公は「そんな悲しい顔をしないで」と慰めます。
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今までと未来を乗せては
微笑む感情が鳴る音
君だけ思い焦がれては
希うように空を切って
≪アヴァン 歌詞より抜粋≫
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「今まで」の人生や「未来」について考える時、主人公の顔には微笑みが浮かびます。
過酷な運命にある人物とは思えませんが、本心から幸せを感じているようです。
それはおそらく、信頼し合える大切なパートナーと共に自分の信じる道を進むことができているからこそ感じる幸せなのでしょう。
「アヴァン」というタイトルは、ひたすら前へ向かって突き進むキャラクターたちを表現するのにぴったりの言葉ですね。
「呪術廻戦」の世界を感じよう
あなたは『アヴァン』を聴いて、『呪術廻戦』のどのキャラクターのことを想像しましたか?作品の要素が歌詞に散りばめられているので、登場人物たちの関係性や作中の様々なシーンを重ねて考察するとまた違った解釈ができるでしょう。
さらに『アヴァン』の終わりと『廻廻奇譚』の始まりが同じ音という繋がりを感じさせる演出がなされているので、ぜひ合わせて聴いてみてください。
Eveが音楽で紡ぎ出す『呪術廻戦』の世界がより広がりますよ。