バルーン(須田景凪)提供曲が配信開始
須田景凪がボカロPのバルーン名義で2022年3月28日にデジタル配信リリースしたflower歌唱のボカロ曲『ノマド』が注目を集めています。
この楽曲は大人気音楽ゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」のユニットのニーゴこと「25時、ナイトコードで。」のために楽曲提供されました。
ユニットメンバーの東雲絵名をイメージして制作したそうで、キャラクターの持つ背景と自身の経験を重ねて通じるモノ作りへの思いが込められているとのことです。
タイトルの「ノマド」はフランス語で「遊牧民・放浪者」という意味を持つ言葉で、英語では「nomad」と書きます。
日本では会社のオフィスではなくカフェなどで仕事をする、場所や時間に縛られない自由な働き方を選択する人たちのことを「ノマドワーカー」と呼ぶようになり、身近な言葉になってきましたよね。
歌詞にどのように関係してくるのか、フレーズに注目していきましょう。
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途方もない時間だけ
また過ぎていく
此処は理想郷では無い
ましてや描いた未来じゃ無い
終わりのない未来など
なんて下らない
夢の隙間に問う
私は何処へと行くの
≪ノマド 歌詞より抜粋≫
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「途方もない時間だけまた過ぎていく」という言葉から、主人公がただ過ぎていく日々を何もできず送っている様子が見えてきます。
そこが理想郷でも描いた未来でもないということは、その生活に全く喜びを感じられていないのでしょう。
終わりの見えない現状に「なんて下らない」とこぼします。
この曲では「夢」というフレーズが多く出てきますが、これは眠っている時に見る夢と将来の夢の両方を表していると思われます。
夢のぼんやりとした世界のように、夢を叶える途中で「私は何処へ行くの」と自分がどうなりたいのか自問しているようです。
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遠い先の方へ
痛みと歩いていた
騒がしい街の声が頭に響く
≪ノマド 歌詞より抜粋≫
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心身の痛みを抱えながら、いつたどり着くかも分からない夢を叶えた未来を目指して歩く主人公。
街の喧騒のような周囲の批判的な声にさらに苦しんでいると解釈できます。
この夜をいっそ喰らってしまいたい
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夢の底でもがくのなら
この夜をいっそ喰らってしまいたい
呆れる程に傍にいて
愚かでいい 二度と無い
今を生きていたいだけ
それだけだ
≪ノマド 歌詞より抜粋≫
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望むように行動できない自身の状況は、夢の世界から起き上がれないほど深く眠っているかのようです。
そこから抜け出せないままなら「この夜をいっそ喰らってしまいたい」という表現に、主人公が暗い現実にいら立っている姿が見えてきます。
「呆れる程傍にいて」というメッセージは、東雲絵名にとってのニーゴのメンバーのように自分を認めてくれる人への言葉だと思われます。
ほかの誰かに愚かだと笑われるとしても、自分を認めてくれる仲間と共に「二度と無い今を生きていたいだけ」。
その純粋で力強い願いに前向きな気持ちが表れています。
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救いのない話なら
とうに聞き飽きた
それを優しさと言って絆すなら
余計馬鹿らしい
偽りないうつつなら
なんて気儘だろう
夢の隙間に問う
私は何処へと行くの
≪ノマド 歌詞より抜粋≫
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アーティストを含め夢を追う人たちは大抵、周囲からの反対に遭います。
それが苦しい思いをしないでほしいという親切心からのものだとしても、本気で夢を叶えたい人にとってはどれもが「救いのない話」に思えるでしょう。
自分に向けられる言葉を「優しさ」だと考えて受け入れて夢を手放してしまえば、きっと後悔することになります。
「うつつ」は現実のことなので、周囲の言葉が自分の偽りない現実だとすれば気が滅入ってしまうと感じていると考察できます。
そしてまた、どこへ行きどうしたいのかと自分の気持ちを確認します。
それは周囲に流されず、自分の思い通りに生きたいという決意の表れなのではないでしょうか。
夢に向かって自由に生きたい
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暗い闇の方へ
ふと目を向ける度に
下らない言葉達が心を満たす
≪ノマド 歌詞より抜粋≫
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「暗い闇」を現実のことと解釈すると、現実に目を向けた時に周囲からの「下らない言葉達」に気づく様子を描いていると考えられます。
必死に夢を追っている時には忘れていられるのに、ふと手を止めると自分への心ない言葉が目について気持ちが重くなってしまいます。
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夢の途中で目覚めたなら
この夜は一層濁ってしまうだろう
触れた指が解けぬように
今はただ 願うまま
日々を過ごしていたいだけ
≪ノマド 歌詞より抜粋≫
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夢を見ている時に不意に目覚めると、夢の続きが気になってもやもやすることがあるでしょう。
同じように夢半ばで諦めてしまうなら、いつまでもその夢に囚われたまま悶々とした生活を送ることになるはずです。
仲間が差し伸べてくれた手を離したくない、夢を諦めたくないという主人公の正直な気持ちがこの歌詞に込められているように感じます。
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それなのに曖昧な温かさで
淡い理想に魅入られてしまう
心ひとつ吐き出せないくせに
身勝手な私だ
≪ノマド 歌詞より抜粋≫
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夢を叶える過程にはもう諦めてしまいたいと思うような場面も少なくありません。
おそらく主人公もそうした試練に直面していて、こんなにつらい思いをするくらいなら現実の「曖昧な温かさ」に甘んじて楽に生きたいと思い始めているようです。
しかし、本心を人に伝えることもできないほど弱いのに夢を追いかけたり諦めようとしたりする「身勝手な私」を変えたいと願っているようにも見えます。
「ノマド」というタイトルは、主人公の自由に生きたいという願いを表しているでしょう。
世間の型にはまらないだけでなく、自分自身の中の固定概念すら飛び越えて仲間が認めてくれた力の可能性を信じ、夢に向かって進んでいこうと覚悟を決めた歌なのかもしれません。
ボカロver.のMVとニーゴver.の歌声にも注目
バルーンの『ノマド』はゲームのスト-リーとリンクした、人の儚さと美しさを感じられる楽曲でした。また、ピアノを中心とした静かなメロディにパワフルなドラムを合わせたサウンドも、大人しいようで熱い思いを胸に秘めたキャラクターの心情と見事にマッチしていますよね。
アボガド6制作のアニメーションMVや「25時、ナイトコードで。」が歌唱するセカイver.もそれぞれ歌詞の世界観を引き立てているので、ぜひチェックしてみてくださいね。