今回取材させてもらったのは大谷映美里(以下、大谷)、大場花菜(以下、大場)、齋藤樹愛羅(以下、齋藤)、佐々木舞香(以下、佐々木)、諸橋沙夏(以下、諸橋)、の5人。
インタビュー後半では曲の歌詞にちなみ、メンバーそれぞれが自身を諦める派、諦めない派で分析! 個性あふれる回答にも注目だ。
メンバーが唸った、イントロからいきなりの切なさ全開ソング。
──まずは今回の11thシングル表題曲、『あの子コンプレックス』について教えてください。佐々木:はい。この曲は失恋ソングになっているんですけど、すごく切ない曲でストーリー性があって、歌詞を見ているだけでも一本の小説を読んでいるみたいになっています。
しかも最初と最後で曲の主人公の気持ちが全然変わるんですよ。そこがすごくポイントだなって思いますし、タイトルの『あの子コンプレックス』っていうのも“さすが指原さん!”っていう感じですごくキャッチーで覚えやすいので、いろんな方に聴いていただけたらなと思います。
──イコラブの表題曲で失恋ソングというのは珍しいと思うんですけど。皆さんが聴いた時の第一印象はいかがでしたか?
諸橋:新しく楽曲を聴くときっていつも私たち全員で聴くんですけど、みんなイントロの頭のピアノが流れた時点でもう“ゔぁぁぁ〜!“ってなっていて(笑)。
イントロからこんな切ないなんて、もうその時点で”ああ、この曲は儚いんだな“とか”切ないんだな“っていう感情になりまして。
その後、ちょっと曲が盛り上がってきて、カッコいい感じで本イントロに入るんですけど、そのイントロがもう“これ、勝負にきてるな”、というような感じがしました。
全員:勝負!(笑)
大場:分かる分かる!
諸橋:分かるよね!? で、歌詞もご覧の通り失恋な感じだし、歌っていて辛いとか切ないとか泣きそう……っていう気持ちはないんですけど。
──ないんですね(笑)。
諸橋:ないです(笑)。私は曲の主人公というよりは、逆になんかこの主人公を支えたいみたいな感じで、俯瞰で曲の世界をいつも見ているんです。“がんばれ〜〜!”って感じで見ている、絶対私は主役ではなくて主人公の友達の立ち位置なんだと思います。
今回振り付けもちょっと切ないというか、振りが船になっているところがあるんですけど、暗い海を女の子11人で漕いで進んでいくっていう感じで、すごく力強いし、でもすごく切ないイメージなんです。そこもぜひ見て欲しいです!
大場:私は最初に曲を聴いたとき、歌詞の一番初めに「冬までの粉雪は 汚れた雨に変わってた」って書いてあって“おおっ!なんだこれは!?”ってなったんですよ。私たち、この間まで「2 人で過ごそう クリスマス〜♪」とか「白く光る雪〜♪(ともに『The 5th』の歌詞)」とか、なんかキラキラした感じの歌を歌っていたはずなのに、“あの雪はもう汚れちゃったんですか!?”って(笑)。
齋藤:確かに!(笑)
大谷:めっちゃキラキラしてたのにね〜。
大場:そうそう! だからそこがまず一番先にびっくりしました。
イコラブとしては『ズルいよ ズルいね』ぶりの失恋ソングなんですが、またその時とは違う感じで、もっとこう愛に執着するような子の歌で。
でもイコラブってけっこうこういう…ちょっと未練がましかったり、ちょっと闇落ちしている感じの曲が得意なので(笑)、私たちの良さが出てるんじゃないかなって思います。
──すごく分かります(笑)。佐々木さんはいかがですか?
佐々木:私も初めて曲を聴いたときとか、歌詞を見たときは、“わ!失恋曲だ〜。もう絶対悲しいやつやん…”って思ったんですけど、歌詞をぱっと見たときとその後にじっくり読み込んでからとで少しずつ印象が変わっていったんです。
なんというか、普通の好きっていうのよりももっともっと深く入り込んでいる感じで。今回はすごく愛を欲しがったり、ちょっと愛をないがしろにしてみたり、っていう大人の曲だなぁと思います。
私たちの=LOVEの名前にも愛が入っていますけど、恋じゃなく愛ってなんか大人だなぁって思うんです。そしてその愛の大切さをこの女の子は知っているのにも関わらず、最後は“いらないもの”にしてしまうんですよ。
それは強がりなのかもしれないんですけど、でもそれを見たときにすごくその奥にいる男の人…この子の好きな人は、すごく残酷な人なんだろうなとか思えてきて(笑)。
──この主人公は、愛はいらないけど側にいたいんですもんね。
佐々木:そうなんです。だからなんだろうな、求めないけどただ側に、隣にいたい。愛してくれなくても側にいられたらいい、顔が見れなくなるよりは良い、みたいな。でも本当は愛してくれて側いてくれるのが絶対いいに決まっていて。
そういう自分の気持ちを押し殺して側にいるっていうのは、自分で選んだ道だとしてもすごくツラい道だと思うんです、たぶん。だからこれからどうなっちゃうんだろうってそれがすごく気になります。想像でしかわかんないので、より妄想が進んじゃうんですよ(笑)。
──自身のセンター曲でこの曲が、というのはどうですか。
佐々木:どうなんでしょうか…。でも私はよくメンバーとかからは、バラードとかちょっと切なめの曲が似合うねって言ってもらえることが多くて。自分ではバカみたいな曲が似合うと思っていたんですけど。
大谷:バカみたいって(笑)。
佐々木:なんか、“わ〜っ♪”みたいな曲? そういう曲が似合うと思ってた(笑)。でも、メンバーからこの曲が私に似合っているって言ってもらえて、もしかしたら指原さんもそう思っていたのかもしれないなって思ったりもして。特に理由は聞かされていないので、なぜこの曲で私だったのか分からないんですけど。だから自分の得意な感じとか好きなものと、みんなから見た私に合うものってこんなに違うんだって、すごく何か不思議な気持ちになりました。
聴いていると、情景だけじゃなく質感や香りまで感じられる!?
大谷:指原さんの歌詞は、毎回情景とか景色が浮かんでくる歌詞なんですけど、今回は本当にそこが輪をかけてすごくて。景色に加えてこの粉雪のさわった感じとか、雨の音とか、海の冷たさとか深さとかバニラの香りとか、質感がすごい。もう目の前にあって触れているような感じなんですよ。
しかもこういう女の子の単純じゃなく複雑な感情、一筋縄じゃいかない感じが、私たちとしてはすごい共感できる部分ですし、さらに言うとそういう部分が舞香っぽいなと思うんです。
齋藤:私もこの曲ってすごく深い失恋ソングだなと思っていて。相手はすごく嘘をついてたりとかするから、この曲の女の子は本当はキライになりたいけどでもなれなくて、すごく未練があって。
それってなんていうか……何なんでしょうね? 難しい! 難しいです(笑)。えっとすごい何だろう女の子の複雑な心境とか、気持ちとかがすごく細かくてごまかしがなくて。
こういう感情に経験がないので説明するのがすごく難しいんですけど、なんていうか……無駄な歌詞がない?
全員:いやいやいや!
佐々木:いうね〜(笑)。
齋藤:違う違う! そうじゃなくて!! え〜本当に難しい(笑)。でもすごい何だろう、歌詞全部がすごく物語的だなって思います。聴いただけで私もこういう体験をしたような気持ちになれるし共感したりもできるような気がするし。
だからこの曲ですごく大人なイコラブを見せられるんじゃないかなって思います!
──ありがとうございます! お姉さんたちがすご〜く微笑ましい目で見守っていましたね(笑)。それでは。この歌詞の中からここ好き! とかここすごい引っかかっています! みたいな部分をそれぞれ教えてください。
佐々木:私は「色付いた雪じゃ愛されない 真っ白に戻して」っていうところすごく好きで。主人公のことが雪に例えられていると思うんですけど、例えば一生懸命生きてきたり、いろいろな人生経験を重ねてきたりしたからこそ染まってしまった自分よりも、やっぱりこう純粋な子の方が男性とかって好きになりやすいのかなって私は思っていて(笑)。
そうやってまるで太陽みたいなキラキラした女の子に惹かれていく男性を、側で見ている自分みたいな。だけど真っ白な自分に戻りたくて戻してって願っても、絶対真っ白には戻れないじゃないですか。だから何かその孤独さみたいな寂しさを感じて、この部分を見た時にすごくすごく苦しくなりました。今の自分じゃ愛されないんだなっていうのが分かってしまっている、ってすごく悲しいなって。
──しかもこれ、歌詞の中でけっこう肝になっている部分ですよね。曲中でこのフレーズは2回出てくるんですけど、そこに連なる歌詞が最初と最後ではガラッと変わる。
佐々木:そうなんです!「愛だけが欲しい」から「愛なんていらない」に変わるんですよね〜。けど、「色付いた雪じゃ愛されない」ってところは変わらないから、結局は「あの子」のそういうところがいいんだねって思ってしまっている。もう本当に切ないです。
諸橋:私は指原さんの歌詞で、モノに例えるのが好きなんです。この曲で言うと、「今日も欠けた月を満たすように」とか、「乾いた切ない胸に あなたは少し水を足す」とか。もうどっからきたそれ!? って思うような歌詞が多くて! 「知らないバニラが香った時」とか本当にもう目に浮かびますもん、光景が。
でも、これなんで“バニラ”なのかなって思ったんですけど、考えて分かったんです。こういう真っ白で、甘え上手な女の子ってたぶんバニラの香りなんですよ!
全員:分かる!
諸橋:ね? だよね? ミントとかジャスミンとかじゃなく、あま〜いバニラの香りなんです、きっと。私の想像だし、完全に偏見なんですけど(笑)。そう思ったら急に相手のイメージも湧いてきちゃって。
きっとね、“甘い香りって男の人好きだよね♡”みたいな感じだと思うんです。もう甘い、じゃなく甘ったる〜い香り!
──相手の子への敵意がすごいです(笑)。
諸橋:それはもう、私は主人公の親友なんで(笑)。
しかも主人公はちょっとグリーン系とかジャスミンとかなのかもしれないなって思うんですよね。そういうところもきっと違うんだろうなって。
でもこの男の子は、前は主人公の子の香りも好きだったかもしれないのに、もう変わっちゃたのかな〜とか。そう考えると本当に切ないですね。
大場:切ない(泣)。私はラスサビの「あの子に 触れているのでしょうか?」のところです。これって自分もされてきたことを、今は「あの子」がされてるんだなって分かってるってことだと思うんです。“自分じゃなく、今はあの子に”っていうことを想像してしまっていることに絶望を感じます。触られている質感とかもたぶんこの子はわかってると思うから、だから「優しくあの子に 触れているのでしょうか?」なんだと思うんです。これって彼女の中では、“自分がかつてされていたみたいに優しく”ってことですよね。
そこに“もう私のものじゃないんだな”みたいな感じが出ていて。でも好きだから側にいられるだけで良いとか……ホントに悲しくなります、というか悲しいとか切ないを通り越して絶望感がすごいです!
──大場さんは主人公側なんですね。
大場:私はこの曲に関しては主人公目線かもしれないです。
私の話じゃないけど、でも自分のことのように苦しくなりますね。なので、パフォーマンスしていてもこの、愛しているから何が何でも近くにいたいみたいな熱と切なさと絶望感みたいなものを意識するようにはしています。
齋藤:私は「どうか 誰かに負けたわけじゃないって事 目を逸らさずに言ってよ」のところです。1番からずっとこの子は「あなたは嘘をついている」けど知らないふりをしたとか、バカなふりとか、分かっているけど知らない見えないふりをしているんです。
2番のサビではその嘘を嘘だって分かってるけど、それでも優しい嘘を言ってほしいっていうそこがすご〜く切ないなって思います。
──嘘でもいいから、みたいな感じですね。ちなみに齋藤さんはそういう時、嘘をついて欲しいですか?
齋藤:えっ! 私ですか!? う〜ん、どうだろう…。でも私は言って欲しいかも! 嫌なとこは嫌って言って欲しいし、もう好きじゃないなら正直に言ってほしい。
あ〜、でも恋愛だったら優しい嘘をついて欲しくなるのかな? でも私、鈍感なので言われたことをそのまま受け取るから、やっぱりちゃんと言って欲しいかな、分かんないですけど(笑)。
──では最後、大谷さんの好きな歌詞は?
大谷:私は「君を嫌いになれるパズルのピースはあるのに 完成するのが 怖くて〜」っていうこの部分なんです。私、いま24歳なんですけど、この歌詞を読んだときにすごく読み解くのが難しいなって思ったんです。それで自分に置き換えたらどういうことだろう?って考えてみて。そしたら、恋愛とはまたちょっと違うんですけど、私、好きな映画とかってラストシーンを見るのがもったいなくて、見るまでにちょっと日にちを置いちゃうんですよ。
だからその終わっちゃう悲しさとかツラさとか怖さが、この歌詞の主人公の気持ちとちょっと似ているところなのかなって思ったりしました。
この曲の中では恋愛なんですけど、この“嫌い”っていうピースを完成させちゃったら完全に終わっちゃう、もう続きがないっていう。これってやっぱり未練ですよね。そう思ったらなんとなくその気持ちがわかったような気がして、なるほどな〜と思いました。
イコラブの5人に質問! アナタは諦める派? 諦めない派?
──確かに、終わりだって分かってるけど終わらせたくない、認めたくない、諦めたくないっていう気持ちですよね。ちなみに皆さんはどうですか? 諦めは良い方ですか?悪い方ですか?佐々木:私は諦めます!
──きっぱり言いましたね(笑)。佐々木さんは諦めが早い方ですか?
佐々木:す〜ぐ諦めちゃいますね。諦める理由をいっぱい探して、周りに諦めるためのピースをいっぱい集めてあっという間に諦めパズルを完成させちゃいます(笑)。
諸橋:私は諦めない派だな〜。
大場:私も! 何がなんでも執着して絶対に諦めない!(笑)
全員:あ〜! 分かる!(笑)
諸橋:私は期待することと失望することをやめたんですよ。なので、今は何も考えずに生きてるので、ホントは知ってるけど知らないふりをして自分を傷つけないように生きているのかなって思います。
──まさにこの歌詞の子じゃないですか!
佐々木:友達じゃないじゃん!
大場:主人公、主人公(笑)。
諸橋:ホントだ! 私、まさにこの通りでした。友だちの立ち位置じゃなくて主人公だった(笑)。でもホントにそうで、見えているけど見えてないふりして、バカのふりしてる部分が私の中にあって。
──ではこの歌詞にある「何にも知らない 何もわかってない バカなふり」の部分はすごく共感できるところなんですね。
諸橋:そうなんです。しかもこの「バカなふり」っていうパートは私が歌っているんです(笑)。実はここ、すっごくいろんなパターンを録ったんですよ。諦めの「バカなふり」とか、強めの「バカなふり」とか。
私、けっこうライブの度にその時の気持ちで歌うので歌い方が変わるんですけど、ライブでここを私がどう歌うかがすごい楽しみってスタッフさんにも言われました。だからこの部分は新鮮な気持ちで毎回歌っていこうと思います! …もしかしたら泣きながら歌っちゃうかもしれない(笑)。
大場:ここ、良いよね。わたしめっちゃ好き!
諸橋:わぁ〜ありがとう!
大場:私も諦めない派だから(笑)。でも私はもう諦めないに一直線なんですよ。見えないふりをするとかじゃなくて、諦めるためのピースは全部揃っていてそれも見えてるけど、諦めない!
諸橋:集まってきた諦めパズル、全部投げ捨てていくタイプだ(笑)。
大場:そうそう(笑)。何をとかじゃなく、常に全部諦めない。
佐々木:人生のテーマが“諦めない!”だった(笑)。カッコ良すぎ!
──大谷さんと齋藤さんはどうですか? 諦める派、諦めない派だと。
齋藤:うわ〜分かんない。え、どっちだろう。でも、好きなことは諦めないかな。でもそれ以外はけっこうすぐ諦めちゃう。本当に好きなことだけしか執着してがんばれない…気がします! だからなんというか両方のタイプですね、たぶん。
大谷:私はできる限り力を尽くしますけど、本当に無理だったら諦めます。そこの判断は早いほうかなぁ。そういうところはけっこう執着ないというか、さっぱりしているタイプではあると思います。
例えばネットショッピングとかでどうしても買いたい商品があって、でも買えなかったときとかも、お店にならあるかなって電話したりはするんですけど、でもそこでないって言われたらすっぱり諦めます。で、その時は欲しいって気持ちごとすっぱりなくなります。
ただ、いったんできる手は尽くします。
──なるほど〜。ということはこの5人の中では一番諦めが早いのは佐々木さんって感じになりそうですね(笑)。
佐々木:ですね〜。この曲を私がセンターで歌っているっていうのもこうなるとちょっと不思議ではありますね(笑)。でもそこは曲の世界観に入って主人公の気持ちになって歌うので、大丈夫です。…がんばりたいと思います!
〜〜では最後にそんな佐々木さんに、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
佐々木:はい。今回のシングルは、表題曲はもちろん、カップリングもそれぞれ違った感じで素敵な曲ばかりなので、もうこのCD全部聴いてほしいですし、やっぱり歌詞を見ながら歌を聴くと入ってきやすいと思うので、巻き戻して聴いてみたりとか何回も何回も聴いて本当に世界観に入り込んで聴いてほしいなって思います。
あと、ぜひ皆さんの感想とか皆さんの解釈とかも聞きたいのでよかったら教えてください。やっぱり人それぞれの解釈があるし物語があると思うので、そういうのも聞いて私も今後のパフォーマンスに生かしていきたいなって思っています。
ぜひたくさん聴いて、感想を聞かせてください!
──ありがとうございます。
全員:ありがとうございましたっ!!
TEXT 川畑貴美代(マイリブズ)
PHOTO Kei Sakuhara