多くの歌手にカバーされるユーミンの名曲「卒業写真」
今や卒業ソングとしても定番の『卒業写真』は、荒井由実(現:松任谷由実)の代表曲の1つ。
当初は音楽グループ『ハイ・ファイ・セット』への提供曲として発表され、その後ユーミンがアルバム『COBALT HOUR』にてセルフカバーしました。
リリースから月日が経った後も、JUJUやいきものがかりなど多くのアーティストにカバーされています。
そんな時代を越えて愛される名曲『卒業写真』の歌詞の意味を考察していきましょう。
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悲しいことがあると
開く皮の表紙
卒業写真のあの人は
やさしい目をしてる
≪卒業写真 歌詞より抜粋≫
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主人公が開いている「皮の表紙」は、おそらく卒業アルバムを指しているのでしょう。
卒業ソングとして有名な『卒業写真』ですが、実際は卒業後の場面を描いていると思われます。
周囲の環境が変わって不安に感じた時こそ、楽しかった学生時代の思い出に縋りたくなるものかもしれません。
アルバムをめくる中で目にとめたのは、当時主人公が好意を寄せていた人物でしょうか?
恋人なのか友人なのか、歌詞から正確には読み取れませんが、主人公にとって大切な人物だったことは想像できます。
歌詞の「あの人」にはモデルがいた?
『卒業写真』が生まれた背景には、ユーミンが学生時代にお世話になっていた人物とのエピソードがあると言われています。
当時、美術大学の中でも難関と言われる「東京芸術大学」を目指していたユーミンは、美術教室に通って勉強をしていました。
しかし、結果は不合格。
美術教室の先生からはもう1年頑張ることを勧められたものの、家族から反対されたユーミンは結局、多摩美術大学に進学しました。
大学生になったある日、ユーミンは街でお世話になった先生を見かけましたが、後ろめたさのあまり声をかけられなかったそう。
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町でみかけたとき
何も言えなかった
卒業写真の面影が
そのままだったから
≪卒業写真 歌詞より抜粋≫
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歌詞の前半2行は、まさしくその時のユーミンの気持ちを表したものなのでしょう。
エピソードを踏まえると「あの人」は美術教室の先生とも解釈できそうですが、歌詞では「卒業写真の面影」となっているので、主人公と同級生を指しているようです。
ユーミン自身が当時感じていたことを、『卒業写真』の歌詞では主人公と「あの人」の物語に置き換えて表現しているのかもしれませんね。
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人ごみに流されて
変わってゆく私を
あなたは ときどき
遠くで しかって
≪卒業写真 歌詞より抜粋≫
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卒業写真と変わらない面影を残す「あの人」。
対して「人ごみに流されて変わってゆく私」という表現からは、主人公が自分に対して情けないと感じているのが読み取れます。
学生時代から変わってしまった自分は、昔と変わらず真っ直ぐに生きているように見えた「あの人」に、顔を向ける資格はないと感じたのでしょう。
「遠くでしかって」のフレーズは、そんな自分を正してほしいという主人公の願いに思えます。
歌詞に込められたメッセージを考察
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話しかけるように
ゆれる 柳の下を
通った道さえ今はもう
電車から見るだけ
≪卒業写真 歌詞より抜粋≫
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歌詞に登場する「柳の下」は、主人公の地元の風景なのかもしれません。
小学校や中学校は徒歩で通える範囲に通う人が多いものの、高校や大学、社会人となると電車で遠くまで向かう人も増えるでしょう。
昔は通学でよく歩いた道も、大人になると全く通らなくなることもあると思います。
昔歩いた道を電車から眺めながら、主人公は過去の自分を振り返っているのかもしれません。
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あの頃の生き方を
あなたは忘れないで
あなたは 私の
青春そのもの
≪卒業写真 歌詞より抜粋≫
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大人になっていく過程で、周りの影響を受けることは避けられないものでしょう。
街で見かけた「あの人」も、主人公が「変わっていない」と感じただけで、もしかしたら主人公と同じような後ろめたさを感じていたのかもしれません。
また、今はそうでなくても、今後同じように悩む日が来る可能性もあるでしょう。
2番のサビは、そんな「あの人(あなた)」への主人公からの想いが歌われているように思えます。
『卒業写真』の歌詞に込められているのは、「どんなことがあっても自分らしく生きて欲しい」というメッセージなのではないでしょうか。
大人になってからこそ聴きたい名曲!
松任谷由実『卒業写真』の歌詞の意味を考察しました。大人になっていく中で、何らかの壁にぶつかったり、夢を諦めたりすることもあるでしょう。
挫けそうになった時にそっと背中を押してくれるような、ポジティブなメッセージが込められているように思えますね。
卒業式に歌われることも多いですが、大人になってから聴くとより心に沁みる楽曲のように感じます。
ぜひ自身の青春時代を思い返しながら、改めて『卒業写真』を聴いてみてはいかがでしょうか。