「キュートなカノジョ」「カレシのジュード」との関連性
syudouの代表作といえば、『キュートなカノジョ』と『カレシのジュード』。
今作の『デイバイデイズ』は、この2曲に関連した楽曲だと考えられます。
『キュートなカノジョ』は、歌詞の主人公が「アタシ」で、カレシが浮気をしていることを知りながらも、見て見ぬフリをして愛し続ける姿を描いていると考察できる楽曲です。
MVに登場するピンク色の髪のキャラクターが「アタシ」だと考えられます。
一方で『カレシのジュード』は、歌詞の主人公が「僕」で、カノジョを必要としながらも、永遠には一緒にいられないと考えている姿を描いていると考察できる楽曲です。
MVに登場する水色の髪のキャラクターが「僕」だと考えられます。
この2つの楽曲の考察を合わせると、「アタシ」と「僕」はお互いに深く愛し合っているものの、永遠には一緒にいることは叶わない関係。
そしてその事実から目を逸らすために浮気をし、それを許している歪な関係性なのだと考察してみました。
永遠に一緒にいられる未来がないのなら、離れたほうがお互いのためかもしれません。
しかし「アタシ」も「僕」もお互いに離れられないあたり、共依存的な関係性だと思われます。
新曲『デイバイデイズ』は、そんな二人の結末が表現されている楽曲だと考えられます。
狂ったカノジョの衝動的な行動
『カレシのジュード』は、歌詞の最後が「放ってくるって振り返った 背中がふと熱くなった 詰んだ」というフレーズで締めくくられます。なぜ背中がふと熱くなったのかは、『デイバイデイズ』の最初の歌詞から分かりそうです。
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アタシ気づいちゃった
突いちゃったその背中を見つめた瞬間
惨状と感情の頑丈さに
アタシ気づいちゃった突いちゃった
気づいちゃったよ独りで生きていけると
≪デイバイデイズ 歌詞より抜粋≫
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主人公の「アタシ」が、カレシの背中を突いてしまったことを告白しています。
おそらく包丁などで刺してしまったのでしょう。
浮気をやめないカレシとの歪な関係性に、嫌気が差してしまったのかもしれませんね。
「気づいちゃったよ独りで生きていけると」という歌詞からは、「アタシ」がカレシを自分にとって必要のない人間だと結論づけたことが分かります。
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それもそうだがねぇねぇつまらない
それじゃきっとつまらないよ
アナタの髪や声をもっと感じたいのに
ねぇねぇ構わない 誰もアナタに敵わないの
どこを比べたって全部段違いなのね
≪デイバイデイズ 歌詞より抜粋≫
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ところが、続きの歌詞には「アナタの声や髪をもっと感じたいのに」という言葉が出てきます。
MVのイラストでも「アタシ」は焦った表情をしており、本心ではカレシを必要としていることが分かります。
カレシを刺したのは衝動的な行動なのでしょう。
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そうアナタの横眠りにつく
アタシとアナタのデイバイデイ デイバイデイ
全ては今日笑ってるアタシの事を
超担ってるアナタのため
≪デイバイデイズ 歌詞より抜粋≫
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「デイバイデイ」が「day by day」という英語のフレーズに由来すると考えると、「デイバイデイ」は「日ごとに」「日々」などを意味します。
「day by day」は毎日、何かを少しずつ進める場合に使う表現です。
そのため「アタシとアナタのデイバイデイ デイバイデイ」という歌詞は、二人の関係性が日ごとに狂っていく様子を表しているのではないでしょうか。
アナタの横で眠りにつく日々の中で「アタシ」は「アナタのため」と言いながら、カレシを刺してしまうほど狂った愛を抱くようになってしまったのかもしれません。
狂ったカレシの異常な忠誠心
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これでこそなんだ この痛みが愛を語っている
ここまでやんないと 僕自身もどうかしちゃっている
流れる血も涙も息も絶え絶え身悶えさえも
全てがこの身の好みの求める望みと誇り
≪デイバイデイズ 歌詞より抜粋≫
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「僕自身」という言葉が出てきて、歌詞の主人公が「僕」に切り替わります。
背中を刺された「僕」ですが、カノジョを恨むどころか、「この痛みが愛を語っている」と感じているようです。
二人の苦しみにまみれた関係性は、カノジョだけでなく、カレシも狂わせてしまったのでしょう。
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例えばアナタがカラスが白いと言うなら
全て塗り替える精神
コスメのノリが悪いならこの世のガラスを
全て砕いて周ってしまうとかね
この訳の分からない忠誠心こそが
今日もフタリ繋いでる奇妙で異様な隠し事
≪デイバイデイズ 歌詞より抜粋≫
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この歌詞は、カラスの色やコスメのノリを例に出して、カノジョの言うことが絶対に正しいのだという、「僕」のカノジョに対する異常なまでの忠誠心を表現しています。
二人を繋いでいるのは、狂気的な愛と異常な忠誠心なのでしょう。
「僕」が死んだふりをする理由とは
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もう気が済んだら目覚めて直ぐ
アタシとアナタのデイバイデイ デイバイデイ
これまで酔った調子で述べた「好き」と
めっちゃ上手な死んだふりを
デイバイデイバイデイバイデイ
一体何度やったんだろう
≪デイバイデイズ 歌詞より抜粋≫
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「めっちゃ上手な死んだふり」という歌詞が気になりますね。
おそらく背中の傷は命に関わるようなものではなく、カレシは死んだふりをしていたのでしょう。
「一体何度やったんだろう」という歌詞からは、死んだふりを何度もしてきたことが分かります。
浮気に耐えられなくなったカノジョの気を済ませるために、その場しのぎで死んだふりをしていたと解釈するのが妥当なように思います。
しかし、カレシ自身も狂っていることを考えれば、カノジョからの愛を感じるために、みずから刺されることを望み、死んだふりを繰り返している可能性もあります。
怖い歌詞と不穏なメロディが、独特の世界観を生み出している神曲だといえるでしょう。
あなたは、『デイバイデイズ』をどう解釈しますか?