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夏代孝明「ニア」歌詞の意味を考察!人間とロボットの交流が心に響く

夏代孝明の代表曲で音楽ゲーム「プロセカ」の起用曲として人気の『ニア』は、人間とロボットの交流を描いた楽曲です。切ないのに心が温まる優しい歌詞の意味を紐解きます。

人間のこと、キミはどう思う?

▲夏代孝明-ニア【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

ネット発のシンガーソングライターでボカロPとしても活躍する夏代孝明が作詞作曲を手がけ、2017年にリリースした代表曲『ニア』。

2020年には人気音楽ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat.初音ミク』にてゲーム内楽曲に起用され、さらなる注目を集めています。

アニメーションMVのストーリーからするとタイトルの「ニア」は少女ロボットの名前で、歌詞は共に暮らすマスターという男性からニアへの語りかけの構図で進んでいきます。

どんなストーリーが綴られているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。

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ねえニア 誰かを笑い飛ばさなきゃ 自分を許せないような
くだらない人間のこと キミはどう思う?

ねえニア 他人の歩幅を眺めて 意味もなく駆け足になる
つまらない人間のこと キミはどう思う? ねぇニア

ねえニア 笑顔で過ごす日々を 当たり前と思うような
傲慢な人間のこと キミはどう思う?
≪ニア 歌詞より抜粋≫
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マスターは「ねえニア」と呼びかけ、ある人間のことを取り上げて「キミはどう思う?」と尋ねます。

まず挙げているのは「誰かを笑い飛ばさなきゃ自分を許せない」人です。

周囲の人を見下すことによって、自分の承認欲求を満たす人がいることを示しているのでしょう。

次の「他人の歩幅を眺めて意味もなく駆け足になる」人は、他人が自分より優れているのを認められなかったり、周囲に置いていかれることに不安を覚える人と言えるかもしれません。

3つ目の「笑顔で過ごす日々を当たり前と思う」人は、自分が得ているものの価値を知らず感謝の念が薄い人のことと考えられます。

実際にこうした人が多くいることに誰もが同意するのではないでしょうか。

マスターはそんな人たちのことをそれぞれ「くだらない」「つまらない」「傲慢」と言っています。

このことから、彼がこうした人たちのことを良く思っていないことが分かるでしょう。

ロボットであるニアにどう思うか尋ねていることにはどんな意味があるのでしょうか?

ニアに尋ねた理由の解釈とは


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「カタチのないフタシカナモノはいつだって
ケイサンをクルワセテしまうの」
だけど
ああ 僕はまだ 信じてる
ココロないキミに問いかけたのは
キミの手が僕よりも
あたたかかったからさ
≪ニア 歌詞より抜粋≫
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この部分の前半の言葉は、ニアがマスターに返した言葉と考えられます。

「カタチのないフタシカナモノ」は人の心を指していると解釈しました。

人の心は実体がなく、周囲の人や置かれた状況に左右されてすぐに揺らいでしまうものです。

そのため、ロボットを扱うように計算通りとはいきません。

しかしマスターは「僕はまだ信じてる」と、人間の可能性を信じていることを明かしています。

また、ロボットだから「ココロないキミに問いかけた」理由を「キミの手が僕よりもあたたかかったからさ」と伝えています。

心もなく体温もないはずのロボットが相手でありながら、そこに人と触れ合う時のような温もりを感じたようです。

その温もりに人が本来持つ温かさを思い出し、余計に人間のことを信じたくなったのかもしれませんね。

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ねえニア 子供のころに見てた あの夢の続きがこんな
未来につながってたこと キミはどう思う?
ああ 僕はまた 勘違い?
明日のない暗いこの宇宙の下
キミの手が僕よりも
ふるえていた気がした
≪ニア 歌詞より抜粋≫
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マスターは「子供のころに見てたあの夢の続きがこんな未来につながってた」ことに絶望したのでしょう。

大人になって世界が傲慢でくだらない人たちばかりだと気づいた時、現実はかつて思い描いていたのとは全く違うものだと痛感したのです。

それでも希望を捨てきれず信じていたのに結果は悪く「僕はまた勘違い?」とショックを受けている様子が垣間見えます。

明日のことさえ見えない暗闇のような世界で、心がないはずのニアの手が震えているように感じます。

この表現によりマスターのつらい気持ちだけでなく、一緒に苦しみを共有してくれる存在がいることの安堵感も伝わってくるようです。

ニアの名前に込められた意味


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ねえニア 誰かを笑い飛ばさなきゃ 自分を許せないような
くだらない僕たちのこと キミはどう思う?
ああ 僕はまだ 期待してる
ボロボロでもう見る影もないけれど
キミが居るこの地球を
忘れたくはないんだよ
≪ニア 歌詞より抜粋≫
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この歌詞によると、1番冒頭で挙げられていた「誰かを笑い飛ばさなきゃ自分を許せないようなくだらない人間」にはマスター自身も含まれていたようです。

つまり、誰もがこのような弱く醜い面を持っていることを示しているのでしょう。

とはいえ、マスターは自分もそうした嫌な人間になってしまっていることに苦しんでいるのかもしれません。

こんな自分をニアはどう思うだろうかと気にしています。

その想いの中には、弱さを含め自分を認めてほしいという気持ちが込められているように思えます。

彼の目から見て、この世界は「ボロボロでもう見る影もない」状態です。

期待しては絶望する日々を繰り返しながらもまだ期待してしまうのは、この地球にニアがいるからでした。

MVでは当初無表情だったニアが、時の経過と共に笑ったり泣いたりとまるで人間のように表情豊かになっていく様子が描かれています。

その様子と合わせて考えると、ロボットであろうと人のような心を持って自分と気持ちを分かち合ってくれるニアを尊く思う心情が読み取れますよね。

絶望的な世界の中で唯一の拠り所となってくれたニアのことを何があっても「忘れたくはないんだよ」という言葉に、どれほど大切に思っているかが表れています。

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ああ 僕はまだ 信じてる
ネムラナイキミに問いかけたのは
キミの手が僕よりも
あたたかかったからさ
あたたかかったからさ
≪ニア 歌詞より抜粋≫
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ニアを「ネムラナイキミ」と表現しているのは、死の眠りに就いてしまう自分との対比と解釈できそうです。

マスターが亡くなってしまえば、眠ることのないロボットのニアだけが残されます。

彼にとってニアはおそらく希望の象徴であり、人間を信じたい自身の想いを託せる相手です。

「あたたかかったからさ」と繰り返されることで、死が近づき冷たくなっていく手で最期の瞬間までニアと手を繋ぎ合っていた様子が想像できて切なくなりますね。

ニアという名前が英語の「near」のことだとすると、「近い」や「親密な」といった意味を持っていると言えるでしょう。

マスターとの生活で心を手に入れたロボットは、確かに人間に近い存在です。

それと同時に無機質な手から温もりを感じたように、マスターにとってニアは誰よりも近くにいるかけがえのない存在であったことも垣間見えます。

人間とロボットの心の交流に胸が熱くなる楽曲です。

「ニア」が優しい気持ちにしてくれる

夏代孝明の『ニア』は、現実が思うようにならなくても寄り添ってくれる存在がいれば心が穏やかでいられることを教えてくれます。

そんな存在が1人でもいるこの世界はきっと、まだ信じ期待できるものであるはずです。

繊細な言葉と音楽で紡がれる優しい世界観をじっくり堪能してくださいね。

大阪出身、2月25日生まれのシンガーソングライター。中学生のときにバンド活動を始め、2000年代の邦楽ロックをコピーしながらライブハウスに通い詰める日々を送る。2008年にカバー音源を公開し、2011年11月にオリジナル曲「星の歌」を発表。2014年には東阪で自身初となるワンマンライブツアーを開催···

この特集へのレビュー

女性

わに

2023/10/15 13:01

やっぱりニアより素晴らしい歌なんて無いですよね…((
ずっと聞いてます!

そのほか

紫音

2022/11/06 22:30

ニアという曲すごく好きだったので考察(?)みたいなのやってくれてありがとうございます! もっと好きになりました

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