18歳の心に寄り添うやさしい歌詞
RADWIMPSの『正解(18FES ver.)』は、NHKのテレビ番組『RADWIMPS 18祭 2018』で制作された楽曲です。
『RADWIMPS 18祭 2018』はRADWIMPSと1000人の18歳世代が出演し、1度限りの共演を果たす番組として話題になりました。
YouTubeではNHKの公式チャンネルが番組の一部を公開しているため、今でも共演シーンを閲覧できます。
『正解』は卒業ソングとしても人気があるため、思い出の曲になっている方も多いでしょう。
今回はRADWIMPSの野田洋次郎が18祭の応募者たちの思いを受け取り、制作したとされる『正解』の歌詞を考察していきます。
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この先に出会うどんな友とも 分かち合えない秘密を共にした
それなのにたったひと言の 「ごめんね」だけ やけに遠くて言えなかったり
明日も会うのになぜか僕らは 眠い眼こすり 夜通しバカ話
明くる日 案の定 机並べて居眠りして 怒られてるのに笑えてきて
≪正解(18FES ver.) 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞では、「夜通しバカ話」や「机並べて居眠り」などの言葉が使われており、学生の何気ない日常が描かれています。
18歳世代が、出会った友人を思い浮かべて、学生生活を愛おしく思い出せるような歌詞ですね。
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これまで出逢ったどんな友とも 違う君に見つけてもらった
自分をはじめて好きになれたの 分かるはずない 君に分かるはずもないでしょう
並んで歩けど どこかで追い続けていた 君の背中
明日からは もうそこにはない
≪正解(18FES ver.) 歌詞より抜粋≫
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歌詞の中に出てくる「君」は、「僕」にとってかけがえのない存在なのでしょう。
「自分をはじめて好きになれたの」という歌詞からは、「君」に出会う前、「僕」は自分を好きになれていなかったことが分かります。
「君」がかけてくれた優しい言葉が、「僕」の自己肯定の向上に繋がったのかもしれませんね。
「並んで歩けど どこかで追い続けていた 君の背中」という歌詞からは、対等な友人でありながらも、「僕」は「君」を尊敬していたことが感じ取れます。
「僕」と「君」はお互いの良いところを認め合い、尊重し合える素敵な関係なのでしょう。
「明日からは もうそこにはいない」という歌詞は、高校卒業を指していると考えられます。
高校卒業を控えた18祭の参加者の心に寄り添った歌詞ですね。
『正解』は高校生活の中で出会った友人の大切さを感じられる楽曲だといえるでしょう。
「正解」というタイトルの意味を考察
続く歌詞では、18歳の学生が抱える悩みに焦点が当てられていきます。
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あぁ 答えがある問いばかりを 教わってきたよ そのせいだろうか
僕たちが知りたかったのは いつも正解など大人も知らない
喜びが溢れて止まらない 夜の眠り方
悔しさで滲んだ 心の傷の治し方
傷ついた友の 励まし方
≪正解(18FES ver.) 歌詞より抜粋≫
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「答えがある問い」という歌詞は、学校のテストで出てくるような問いを指していると解釈できそうです。
それらの問いには明確な解答が用意されており、解き方は教科書を読んだり、先生に聞けば教えてくれるでしょう。
しかし、「僕たちが知りたかったのは いつも正解など大人も知らない」という歌詞が続きます。
学生が本当に知りたいのは、人間関係の悩みや“自分がどう生きていけばいいのか”という、答えがない悩みの解決方法なのかもしれませんね。
これらの悩みは、大人になっても変わらず抱き続けているもの。
生きているうえでの永遠のテーマだといえるでしょう。
本当に知りたいことには正解が用意されていない。
そんなもどかしさを素直に表現した歌詞だと解釈できそうです。
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あぁ 答えがある問いばかりを 教わってきたよ だけど明日からは
僕だけの正解をいざ 探しにゆくんだ また逢う日まで
≪正解(18FES ver.) 歌詞より抜粋≫
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続きの歌詞では「僕だけの正解を いざ探しにゆくんだ」というフレーズがあります。
悩みに対する正解が用意されていないことを嘆く学生に対して、“正解は自分で探しにゆくんだよ”と優しく背中を押してくれる歌詞だといえるでしょう。
『正解』という曲名には、“自分だけの正解を探してほしい”というメッセージが込められているのかもしれませんね。
野田洋次郎からの問いに何と書き入れる?
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次の空欄に当てはまる言葉を
書き入れなさい ここでの最後の問い
「君のいない 明日からの日々を
僕は/私は きっと □□□□□□□□□□□□□□□□□□」
制限時間は あなたのこれからの人生
解答用紙は あなたのこれからの人生
≪正解(18FES ver.) 歌詞より抜粋≫
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楽曲の最後には、問いが出されます。
「君のいない 明日からの日々を 僕は/私は きっと □□□□□□□□□□□□□□□□□□」
□の部分には、目標・やりたいこと・大切にしたいことなどが入りそうですが、答えは人によって異なるでしょう。
「制限時間は あなたのこれからの人生」という歌詞には、「すぐに答えを見つけられなくても、ゆっくり探せばいいんだよ」と言ってくれるような安心感があります。
「解答用紙は あなたのこれからの人生」という歌詞にも、回答欄や紙の大きさなどに囚われる必要はなく、自由に描いていいのだというメッセージ性を感じます。
「答えを早く見つけなきゃ」「親や世間の目が怖い」と焦ったり、縮こまったりしている18歳世代に向けて、「急いで模範解答を探さなくてもいいんだよ」と落ち着かせてくれる歌詞だといえるでしょう。
RADWIMPSなりの背中の押し方
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答え合わせの 時に私はもういない
だから 採点基準は あなたのこれからの人生
「よーい、はじめ」
≪正解(18FES ver.) 歌詞より抜粋≫
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続きの歌詞では「答え合わせの 時に私はもういない」というフレーズがあります。
作詞者が野田洋次郎であることを考えると、「私」は野田洋次郎自身を指していると考察できそうです。
18祭は一夜限りの共演であり、共演した後は別々の人生を歩んでいくことになります。
この歌詞は、野田洋次郎から向けられた、18祭の参加者への別れの言葉でもあるのかもしれませんね。
歌詞の最後は「採点基準はあなたのこれからの人生 「よーい、はじめ」」という言葉で締めくくられます。
最後の歌詞を「よーい、はじめ」にしたのは、18祭や学生生活が終わる悲しい気持ちを増幅させるのではなく、これからの人生に対して、前向きな気持ちになれるように...と願った野田洋次郎の優しさなのかもしれません。
RADWIMPSだからこそできる、音楽を通した優しい背中の押し方ですね。
なにか新しいことを始めるときや、人生に迷ったときにぜひ聞いてほしい名曲です。