1. 歌詞検索UtaTen
  2. コラム&特集
  3. バンド
  4. Non Stop Rabbit

【インタビュー】ついに覚醒なるか!? Non Stop Rabbitのメジャー第二弾Sg.『無自覚の天才』発売。

2016年11月に結成。総チャンネル登録者数90万人以上、総動画視聴回数4億回超。いま最も勢いのあるY(YouTuber)系バンド、Non Stop Rabbit。満を辞して2020年12月にメジャーデビューしてからはシングル1枚、アルバム2枚を発売と精力的に音楽制作を展開。今年3月に行われた2年ぶりとなるワンマンライブはチケット倍率43 倍という数字を叩き出した。そんな彼らがメジャー第二弾となるシングル『無自覚の天才』を発売する。 そこで、Utatenでは今回の楽曲の全てを作詞作曲し、バンドのリーダーでもある田口達也さんにインタビュー。表題曲『無自覚の天才』の話を中心に、“ノンラビ”が歩んできた道、歩んでいく道について話を聞いた。
7月20日に発売される『無自覚の天才』は、TV アニメ『転生賢者の異世界ライフ ~第二の職業を得て、世界最強になりました~』のオープニング主題歌として放映中。
まずはその表題曲を含む今回のシングル全体について伺っていく。


──このシングルはメジャー第二弾ということで、ご本人的にはどんな位置づけのシングルなんですか。


田口達也(以下、田口):僕的には、これがメジャーファーストぐらいの感覚です。主題歌っていうことで気合を込めて作ったってのもありますし、あとはこの3曲のバランスを見たときに、メジャー一発目にできなかったことができたというか。
やっぱり一発目ってちょっとは緊張してるわけじゃないですか。“メジャーだ!”みたいな。


──そういうの、ありました!?

田口:ありましたよ! 多少は(笑)。で、今回はそれが1個抜けたというか、しっかりやるべきことや曲として書きたいことが書けて。メンバーそれぞれに誰に聞いても、“いや、これが一番いいな”っていう形で作ることができたんで、いうたら一発目に近い、ふさわしいぐらい自信があるってことです。


──だから気持ちとしてはメジャーファーストな感じなんですね。今回の表題曲の『無自覚の天才』はアニメ『転生賢者の異世界ライフ ~第二の職業を得て、世界最強になりました~』のオープニングテーマ曲ということですが、これは最初からタイアップありきで作られたんですか?

田口:そうです、タイアップありきでの書き下ろしです。マンガの原作を全部読んで、そこからすべて書いていったという感じですね。
でもこの、アニメのテーマソングっていうのはめっちゃうれしいんですけど、書く側としてはプレッシャーの方が喜びより大きくて…。お話をもらったときに、原作の累計発行部数が何千万部で、とか合計PV数が、とかってすごい大きな数字を言われたので、めちゃくちゃ大きな壁に感じました(笑)。

▲TVアニメ「転生賢者の異世界ライフ」ノンクレジットOP |Non Stop Rabbit『無自覚の天才』

──“アニメ主題歌、やったぁー!”っていう感じではなかったんですね(笑)。

田口:“やったー!”はホントに最初だけですね。その瞬間だけメンバーと一緒に“やったー!”ってなったんですけど、でももう3秒後くらいには、“ど、どうしよう…?”ってなってました。本当にプレッシャーの方が大きかったです。


──この曲はそんなプレッシャーの中、書き上げたと。

田口:そうなります。でも結果的には思ってた通りに書けたという感じはしてます。この曲、特にオーダーとかがなかったんですよ。こういう風にして欲しいとかは特になく、まず書いてもらえますかみたいな感じで。で、僕自身が何曲も書いて選んでくださいっていうタイプじゃないんで、1曲、この曲だけで仕上げて。逆に“この曲で無理って言われたら、もうないです”ぐらいの気持ちで出しました。ま、それがプレッシャーってのもあったんですけど。

でもそれで一発OKをいただいて。むしろその瞬間ですかね、やっと良かったって思ったのは。“やったー!”ってよりかは、“あーよかった…”って感じでしたけど(笑)。そこでやっと実感した感じですね、タイアップ決まったぁって。


──この曲が実際に出来上がってメンバー皆さんで聴かれたときはどうだったんですか? 矢野さんと太我さんの様子とか。

田口:なんか2人はけっこうその瞬間に“おおっ!”とか“いいね~”って喜んでた感じでした。でも僕はあまり曲ができあがった時って何も思わないんですよね。ファンとかに聴いてもらってその人の意見というか評価を聞いて、実感するタイプなので。
まあ、ず~っと作ってて過程をずっと知ってるわけなんで、曲が完成しても“よし、できたな”くらいの、“完成したな”くらいの気持ちでしかないんですよね。まだ世に出てないし。

自分たちも言い続けてきた「お前がお前に教えたろ?」。

──ではそのアニメタイアップ曲にもなっている今回のシングル表題曲『無自覚の天才』の歌詞について伺いたいと思うのですが。全体の世界観みたいなのはやはりアニメの世界観に沿ってる感じですよね。


田口:そうですね。アニメの世界観自体が、主人公はただの社畜で別に情熱を持ってるわけでもなくて冷め切った人生を歩んでいる中、急に転生をしてめちゃくちゃ強い力を持って町を救えるような存在となる、という話なんですよね。

だからその部分から、人は環境を変えたりとか場所を変えたりした時に何かが覚醒する可能性があるなというのを原作から感じて。今、学校行きたくない理由があるとか、職場に対して本当はここじゃないなって思ってるのを我慢して生き続けてることが、天才を殺してる要素の一つになるんじゃないかと思ったんですよね。なので勇気を持って何か変えよう、みんな目覚めてないだけで何かしらの天才を持っているんだから、っていうのを伝えたくて書きました。


──あー、それはこの曲の歌詞、全編に入っていますね。「僕ら誰もが秘めたる力を持ったモンスター」とか「目覚めさせる」とか。そういうのが随所に。

田口:ですね。まだなだけだよ結果が出てないとしたら、という。まだ才能が出せていないのは自分の努力とかじゃなくて、環境のせいかもしれないし、時間のせいかもしれないじゃんという。何かもっと大きい視野で、という意味合いですね。


──ご自身的に、お気に入りの部分はありますか?

田口:それはもうこの大サビの部分ですね! 「人はいつから嘘を覚えたの?」からのこの4行。なんならもう、僕からしたらサビよりここの方が好きですね(笑)。曲もここで一気にガラッとサウンド自体を変えてます。ここはこの、「お前がお前に教えた」っていうのをめちゃくちゃ言いたくて。なのでそこに合わせてこの部分はもう丸ごと作りにいきました。
これ、実は僕らが常にそうだったんですよ。自分で自分に言い聞かせてた、みたいな感じで。だからこの曲はアニメの世界観に僕らのグループを重ねている感じもあるんです。

僕らはもう、つい3年4年前までは音楽でご飯も食べられずバイトしながらライブやってたような人間なんで。ある意味そこから路上ライブだったり、YouTubeという場所に環境を変えて、言ったら転生みたいなことをしてきたグループで。そうやって常に変え続けて歌い続けてきたんです。
でもそこで、やっぱり言われるわけですよ。その変えたら変えたで、なんで変えたんだ、なんで続けないんだって。でも、そこに勝算があれば僕らは変え続けて歌い続けた。

普通はそういう時って自分が後に引いちゃうこともあるじゃないですか。誰かに何か言われたときに、“間違ってたのかな”とか思っちゃうし。でも、僕らは“いや、でも、お前がお前で決めたんだから”っていうのが常にあったし、そう思い続けてきたんです。それがこの「お前がお前に教えたろ?」の部分なんですよね。



──自分を信じろ的な意味合いがあるんですね。

田口:そうですね。とにかく人の意見は、本当にやりたいことに対してはあまり聞くべきではないのではないかって思うんですよ。たぶん天才って人の意見を聴いたら天才じゃないんで。

ただ、惜しいことに、ここはアニメには入っていないんですよね(笑)。最初、アニメサイズで原作に合わせてって感じでサビからわーって作り始めて、それでオッケーが出て。その後、じゃあフルサイズ作っていこうってなったときにこの大サビの部分が浮かんできたんですよ。だからアニメでは使われてなくて! 本当はこの部分、めっちゃこっち(1番の所)に入れたいんですよ~。一番好きな部分なのに。


──あー。オープニングの尺が決まってるから後から入れるの無理ですもんね(笑)。

田口:そうなんですよ。だからたまにアニメとかで終盤になってくるとオープニング曲がフルで使われたりするじゃないですか。そんなんで上手いこと使われたらいいなと思ってます。クライマックスシーンとかでこの部分がバーンと。


──それは楽しみですね。アニメのスタッフさんにもお伝えしておかないと(笑)。ちなみにこの曲はお話が来てからどれぐらいで作られたんですか?

田口:あ、この曲は曲を作ってほしいって言われてマンガを読み始めてから2週間とかでほぼできてます。


──へっ!? 2週間ですか!? 思ったより全然早くて変な声出ちゃいました(笑)。

田口:いやでも僕、早い時は1週間かからないんで。僕は、同時に出たメロディーと歌詞以外は使わないって決めてるんでですよ。なんで、曲を作るのが早い理由としてはメロディーと歌詞が出てきた時点でもうこう作りたいというのができているからなんですよね。それを出すまでに1週間半ぐらいかかる感じですね。


──あ、じゃあ頭の中でパズルのピースをずっと集めてて、それが集まったらもうパズルが組み上がった形で外に出てくるんですね。

田口:あ、まさにそういう感じです。なので曲のメロディーが出るまでは、楽器も一切触ってないんです。もうずーっとマンガ読んだり、散歩したり、何か美術館に行ったりみたいなのを繰り返して。で、パッて出たら、“あ、これだ”って思うんで、そこから作り始めるともう1週間かからないみたいな。だから曲とメロディが歌いながら同時に出てくるのでボイスメモには基本的にこのサビとかが最初から丸ごと入っているみたいな感じですね(笑)。


──音探りながら、とかじゃないんですね。


田口:じゃないです。もう、最初からあります! ぶっちゃけメロディーがあれば、コードとかは後からいくらでも遊べるんで。一番大事なのは僕らのバンドとしても歌詞と歌、メロディーなので、そこを優先した結果の作り方ですね。
ただそこからアレンジをしていくんですけど、アレンジはアニメの世界観にとか、マンガを意識してっていう作り方をしていくんで、そこは時間がかかりましたね。


──アレンジも田口さんが中心で、自分たちでされてるんですか?

田口:ほぼほぼそうですね。自分たちのギターだったりっていうのとは別に、弾いてる楽器以外のものも全部僕がやってるんで、そこはすっごい時間がかかります。その、イメージしてる音を作ったり探したりする作業が、なかなか時間がかかりますね。


──そういう曲作りを音の部分まで全部されてきて、今回一番大変だったのはどういうところですか?

田口:あー、これちょっと音作りとは違うかもなんですけど、そのアニメのオープニングっていう話でいうと、時間ですかね。すっごい細かいんですよ、秒数が。オープニングで使わなきゃいけない尺っていうのが何秒単位で決まってるんで。

だからこれでどうですかとかって送っても、“あと0.何秒足りないです”とかって言われるんですね。でもそこを妥協して変にどっか伸ばしたりしたくない。だから上手いこと頭の余韻を足してみたりとか、最後のフレーズをどのぐらいまで持っていかせるかみたいな感じになって、それはだいぶやりましたね。たぶん4、5回やり直したと思います。


──そうやって出来上がった曲に対して絵が後から付いてくる形なんですよね?

田口:そうですそうです。でも実はまだ映像は見てなくて、たぶんテレビで初めて見ることになります(注:取材は6月に行われました)。自分的にはそこはすごい感動する瞬間だろうなって思ってるんですけどね。前もアニメのエンディングをやらせてもらったんですけど、それを見てて自分たちの名前がパッて出た瞬間に、感動系のアニメとかじゃなくてもやっぱ涙出そうになりましたから。“出たわー!”って(笑)。
オープニングないパターンとかもあるかもしれないんですけど、第一話は初回スペシャルで1時間あるらしいのでたぶん、見れるんじゃないかな、と。


ライブハウス絶ち、爆音路上ライブ、YouTube。常に退路を絶って0か100かで進む。

──さきほど、『無自覚の天才』の歌詞の世界観は自分たちの歩んできた道も重ねているっておっしゃってましたけど、例えばどういう部分なんですか?


田口:けっこう全編そうなんですけど、それこそこの曲でいうAメロっていうのは、僕たちの人生でいう言い訳の部分というか、弱かった部分です。そこを変えていったことによって今があるっていう部分なんですよね。例えばすごい前は路上ライブに行こうってなったときに、雨が降ってるから行かないとか。そういうこともあったんです。でも、それじゃダメだってなって、雨が降ってても行くようにしたんですよ、行くって決めた日は。


──それは何かきっかけがあったんですか?

田口:僕たちの路上ライブは、誰かアーティストがライブしてる会場の、駅までの道のどこかで路上ライブをするっていうスタンスをとってたんですよ。ということはその日行く予定だった場所では雨だろうが必ずそのアーティストはライブをしてるわけで、そこに行き来するお客さんも必ずいるんです。なのに僕らが雨が降っているから行かないっていうのはマイナスでしかないって思ったんです。だって僕らの路上ライブを目にしてくれるお客さんは必ずそこにいるわけだから。

僕らが動いてないのは僕らのせい。雨でも行こう、お客さんの足が止まらなくても行こう。行ってCDの1枚でも配ろうみたいなことを話しあったんです。そんな風に僕らは常にその時々で考えながら修正しながら切り替えてやってきた感じなんですよね。
まあ、マジで雨の日はお客さんの足は止まらなかったですけどね!(爆笑) マジで僕ら3人だけしかいなくて、アンプには傘さしてても僕らは雨ざらしって感じで路上ライブやってるみたいなこともあって(笑)。でもその情景をかなり覚えてるんですよ。その悔しい思いというか。


──ちなみにそれってどれぐらい前なんですか?

田口:4年…だいたい4年前ってとこですかね。あ、いやもうちょっと前かも。


──まだけっこう生々しい記憶ですね。

田口:ですね。ただ、そこから僕らはここまで怒涛のスピードだったんですけどね。この路上ライブの頃はYouTubeとかで話題になる全然前のことなので。だからこの曲は、僕らの言い訳が最初の方にあって、中盤からは決意というか今の僕らが昔の僕らに言ってる感じに近いんです。とはいえ“自分たちは力持っているんだ、秘めているんだ”みたいなことは一切言ってなかったですし、なんなら僕らは今でもそんなこと全く思ってなくて全然何者でもないと思ってますけどね。まだ。覚醒も何もしてないし、と。

だからある意味これはアニメだから書けた歌詞であって、全然ホントにネガティブの塊みたいな集団なんですよ僕ら。めっちゃ自信ないんです。だからこそたぶんずーっと、めっちゃ足動かしてるんですよね。


──まさに“足掻く”ってことですね。

田口:足掻き続けてます。だからこの歌詞には、自分たちもこうなりたいみたいな部分が含まれてるんですよね。僕らもこうやって本当に最初からできてたらという思いはあるんで。

でも、ほんのちょっとだけ、僕らはもう“ただそういう力を秘めている”だけって段階ではないのかなとも思っているんです。たぶんそれをちょっと抜けた所、覚醒はしてなくてもちょっとそこからは抜けた所にはいるのかな、と。
で、それはなぜ抜けたかというと、ただやっただけ、頭を使ってやっただけなんですよ。別に僕らがすごいとかじゃ全然なくて。でも、そうやってやってきたという自覚があるからこそのメッセージではありますね。


──どのあたりから、自分たちがちょっと抜けてきたなという感じになりましたか?


田口:いや~、そうですね。その頃の僕らの路上ライブって300~400人くらいが来てくれるようになってたんですけど、僕らその路上ライブも普通にやっていなくて。スピーカーで30万とかするめっちゃデカいの2個置いてやってたんです。

で、それってなんでかというと、ライブハウスをすべて断ったからで。僕ら一番最初、このバンドを組んですぐの時にライブハウスと一回全部縁切ったことがあるんです。それは自分たちが言い訳してしまうからなんですけど。何かライブハウスでお客さんがいなくても、大きい音を出してやってるとやってる風になってしまうというか、音楽やっててライブハウスに出てて、しかもバイトも頑張ってるっていうと、頑張ってる風になっちゃうでしょ。なんかその“がんばってる感”だけついちゃうというか。でも結果何も出てないってのは分かってたんで。

だから1回全てライブハウスに出るのをやめて、ワンマン以外でもう二度と出ませんって断って、嫌われにいこう退路を断とうっていうことをしたんです。

でも、やっと300人、400人規模まで来てもまだまだだしこれじゃダメだなって思ってたところに、今度は路上ができなくなるんです、音がデカすぎて。誓約書ばっか書かされて、もう出禁みたいな感じで。路上なのに(笑)。もう二度とやるなって周りの商業施設とかからも言われて。
で、どうするってなったときに今YouTubeはちょっと来てるんじゃないかということで、路上ライブを一旦やめて、ワンマンも一旦全部やめて、今度はYouTubeに全力注ぐことにしたんです。音楽もその時は、もう今まで出てる音源だけ聴いて待っててくださいみたいな感じで。

まず2018年に『全A面』ってアルバムを出して、O-WESTでライブをやってるんですけど、
これって路上ライブで集めたお客さんでやっているんですよ。そこでちょっとだけ“お?”って思いましたね。

で、それを言ったので、まずは路上ライブでライブハウスを埋められるほどのお客さんを集めて、イケるってなったときにワンマンライブをやろうって言ってたんです。そのひとつの形がO-WESTで。だからライブハウスでのライブって当時、ワンマンしかやったことがないんですよね。


──バンドなのに音楽やめたんですか!?

田口:やめました。ただのユーチューバーです。僕らって毎回そういう風に何かに一気にガッと入り込んでやるんで、0か100かなんですよ(笑)。で、バーっとYouTubeを半年がんばって。その後にラクーアでフリーライブをやったんです。それはもう半年ぶりの。そしたら1000人ぐらい集まってくれて、しかもすごい盛り上がりだったんですよ。今までの僕たちのワンマンライブって、路上ライブで僕らのことを見られるので別に僕らが登場してもただ“わー”みたいな感じだったのが、その時のラクーアはその1000人から悲鳴が上がったんです。“実在するんだ!”みたいな、“ギャーっ!!”みたいな悲鳴が上がって。

その歓声を聞いた時に“あ、キタかも”って思いました。始まったな、ちょっと抜けてきたのかもなって。でもこの時、YouTubeの登録者数がいっぱいいたかっていうとそうでもないんですよね。まだたぶん3万人とかいないぐらいだったと思うんですけど。たぶん、『全A面』を出したちょっと後くらいだと思うんで。


──バンドとしてはこのあたりから箱の規模もどんどん大きくなって、人気が急激に上がってるんですよね。そのラクーアの手応えがここからずっと続いていく感じですか?

田口;あ、いや僕らってさっきも言った通り、ネガティブなんですよ。なので手応えは一切感じてなくて(笑)。“始まったな”とは思ったんですけど、手応えがあったかと言われたら今に至るまで一回も手応えは感じたことないんです。気づいたら何かステラボールが埋まってんな、Zeppで2千人いるな~って感じで。


──いやいや、さすがにZeppは手応え感じません?(笑)

田口:いや、スゲーとは思いました。めっちゃいるな~どうなっちゃってるんだよって(笑)。でも、“俺たち登ってきたわー”とかは一回もないです。未だにないです!


──え、じゃあ今年の3月のライブは? これは倍率がエグいことになっていた(注:チケット倍率43倍)と伺ってますが、これはさすがに“キタぜ!感”なかったですか?

田口:いや、別に。


──ないんですね(笑)。むしろ久しぶり感、みたいな?

田口:あ、そうですね。久しぶり感はありました(笑)。だって逆に言うと僕らネガティブすぎて、“お客さん、全く入らないんじゃないか”って思ってましたからね。2年ぶりだったので。しかもオンラインとかで他の人がライブやってる中、僕らはオンラインライブなんてライブじゃねえとか言って、全部それも断ってたんですよ。コロナ禍の途中でメジャーデビューもしてるんで、オンラインでやりませんかって何度も言われたんですけど、それも全部嫌だって言って断って。


──YouTubeチャンネル持ってるんだからそこでちょっとやろうとかもなく。

田口:絶対、ないです! やらなかったです。僕らは対面で直接自分たちの音楽を届けて喜んでいる顔だったりとかを見てきてここまで来たわけで。お客さんが配信なんか見てて絶対あのライブみたいに跳んだり楽しい顔をしてるわけないと思ったんですよね。だったらやらない方がいいって思ったんで。


──それは…けっこう勇気のいる判断ですよね。


田口:あ、そうなんですよ。それは後からこんな風に取材とかでそういう風に言っていただいて、“ああ、そうだったんだ”って思いました(笑)。別に僕らからしたら普通のことだったんですけどね。不安がなかったといえば嘘になりますけど、中途半端なライブして、“配信で見たら微妙だった~”って言われる不安の方が強かったというか。だってお客さん見えないと僕らのテンション上がらないんで。そうするとMAXなライブじゃないんで。


──あー、それは分かるような気はします。しかもライブをやってなかっただけで、その間にリリースはあったんですもんね。だからライブはやってないけど音楽は届けられていた。ただ、リリースイベントは…やってないですよね。

田口:そうなんですよ。ありがたいメーカーさんですよね、それを許してくれるっていう(笑)。だってメジャーデビューしてからのシングル1枚、アルバム2枚、一切リリースイベントもライブもツアーもやってないんですから。


──ということは、この後ツアーが控えてますけど、今回それがやっと叶うんですね! そういうのも含めてメジャー一発目って感じがあるのかもですかね?

田口:その感覚はあるかもです(笑)。なにせ今回はメジャーになって初のリリースイベントというか、リリースに合わせての東名阪のライブツアーなので。


──その名も『無自覚とは言いつつ多少は自覚がある天才ツアー2022』。あれ!? 多少自覚あるんじゃないですか!

田口:あ! いや、それ適当に付けたタイトルなんで。ふざけてるんで。


──でも、クアトロでチケット倍率43倍とかになってしまったように、このツアーも売り切れ続出かもしれませんよ。そうしたらさすがに手応えは感じますよね。

田口:いや、僕らはクアトロの時も中国の大富豪が買いしめた可能性があると思ってたので。だから、どこまで行っても、本当に最後の最後、幕が開くまでお客さんがいないと思ってステージに出て行こうって思ってました、気持ち的にはその覚悟で。

でも僕、アーティストってみんなそうだと思うんですよね。どのレベルのアーティストの友達に聞いても、やっぱライブが始まってステージに出て、実際に見るまではお客さんがいないんじゃないかって思うことがあるってみんな言ってます。みんなそうですよ。だから普通に怖かったですし、実際にクアトロに立ってお客さんを見て、やっとホッとしたというか帰ってきたなって思いました。その景色自体が久しぶりだったので、感動はやっぱりありましたね。

アニメタイアップはファンへの大きなプレゼント。

──アニメのオープニング主題歌、そして東名版ツアーなどありますが、ここからのノンラビはどうなっていきそうですか?


田口:いや~、どうなんですかね。なんか僕のこのタイアップの考え方というか受け取り方的に、これはファンへのプレゼント的な意味合いが強くて。何かもうこの時代、タイアップで僕達が大きく売れることなんて何パーセントしかないって分かってるんですよ。先に個のアーティストとしての人気があって、そこにタイアップが付いてくるような時代なので。昔みたいにタイアップを取ったらスターになれるかって言ったらそうじゃないというのは分かってるんです。

でも、応援していたアーティストがタイアップをもらえるようなアーティストに成長したんだよっていうのは、僕らからファンにできる最大のプレゼントだと思うんです。だからそれを踏まえた上でアニメも見てくれたファンがライブに足を運んで、僕らがこの曲を披露したときに、たぶんいつもとは違う鳥肌が立つとは思うんですよね。

“あ、ほんとにアニメで流れてた曲、この人達の曲なんだ”みたいな。それは今回のツアーでしっかり見せたいと思ってます。やっと名古屋も大阪も行けるようになったんで、いろんな場所でそういう感覚を味わってほしいなというか、味わわせたいなって思ってます。本物ですよって。


──おおー。そこで覚醒しますかね?

田口:いや、どうですかね?


──そこはあくまでもネガティブなんですね(笑)。

田口:本当に(笑)。


──どこまでいったら覚醒したってなるんでしょう。明確な目標とかはあるんですか?

田口:あ、それはドームツアーです。あとSMAPです。SMAPさんはバラエティーもできて、歌もできる。しかもバラエティーでは全力でふざけてますし、でもライブやったらすごいし、個々の活動もしっかりしているし、メンバー全員の名前も覚えられてる。欲しいものが全部そこにあるんです。だから僕らはバンドはあんま目指してないんです(笑)。


──マルチな感じなんですね。じゃ、目指すは何でもできる系バンド。あっ、バンドじゃなかった。なんていうんだろう、なんでもできる系……

田口:3人!


──なんでもできる系3人(笑)。

田口:はははっ! なんでもできる系3人いいですね。でもホントに昔から言ってたんですよ、コンビニみたいになりたいって。何でもあるし入りやすいし欲しいものを見つけやすいし、欲しくなくても入ったらこれいいなって思うものがあったりして。

しかも敷居も低い! だからこそデパートじゃなくてコンビニなんです。お金持っていないと行けないのかな、とかじゃない。そんなのはなくていいから、コンビニ。そこら中にあって、すぐ入れて24時間入れるそういうグループ。その上で、ドームツアーを目指してます。


カップリング曲はバラードとおふざけ曲。いろんなものがある、コンビニへの第一歩。

──今回のシングルにはカップリング曲も2曲収録されていますが、その2曲に関しても聞かせていただきたいのですが。


田口:カップリングの『恋愛卒業証書』は完全なるバラードです。人が生まれて死ぬときに感じる悲しさとかっていうのは、何か大切なものを作るからこそ生まれるわけで。なぜそんな大切なものを失う悲しみを何度も何度も味わいながら、人は生きていくのかということを歌っていて。でも毎回その度に誰かから何かから卒業できているから、っていうようなことを言いたくて作りました。

『豆知識』は完全におふざけ(笑)。けど、ふざけてるけど、結局この曲がこの世で一番役に立つという。この知識ってけっこう大事で、この曲聴いているだけで飲み会でスターになれます。もちろん学校でも。「ウサギは肛門から直接ウンコを食べたりするらしい」っていうこれひとつとっても、例えば動物園に行った時に語れるじゃないですか、彼女だったり彼氏に。“そういえばウサギってさ~”って。




──あ、これは何か深い意図とか含みがあるわけじゃなく、本当に豆知識を並べてる…?

田口:あ、そうです! でも含みがあるとすれば「結論言っちゃえばどう学んでもいいのさ」ってとこですかね。「机に向かう事だけが学びとは限らない」っていう。これ言いたいためにあと全部ふざけた。そんな感じです(笑)。


──この表題曲にこの2曲がカップリングで入ってるって、もうすごいバラエティーに富んでますよね。

田口:そうなんです。これはだから僕らがコンビニを目指すためのシングルなんですよ。アニメのカッコいい主題歌があってカッコいい人たちだなと思わせつつ、バラードもかけて何かしっとり悲しく聴けるな、みたいな。で、『豆知識』でなんだこれおもしろいなこの人たちってなる。けど、僕は実はこの『豆知識』が一番敷居低く聴いてもらえるんじゃないかと思ってますし、一番ウケちゃうんじゃないかなと思ってます(笑)。



──確かに(笑)。では、この3曲でメジャー第2弾シングルとして発売して、覚醒するかどうかはまだわかりませんが…

田口:わかりませんが(笑)。


──ひとまずはノンラビがコンビニを目指す第一歩、いや第二歩?

田口:一歩ですね。常に一歩目です。


──じゃ、第一歩になるシングルを発売するということで、最後に読者にメッセージをお願いします!

田口:この3曲の中で必ず誰かに刺さる、というか誰が聞いても1曲は好きになるようなっていうのを意識して作りました。あとは僕たちがどんだけバズりたいかっていうのも、このシングルから伝わると思うので(笑)、ぜひそれを後押ししてほしいなと思います。

この時代って本当にファン一人の拡散でも変わったりするんで。これ、魂売ってるんじゃなくて、名前を売っているので。そのために本当にファンの皆さんに協力してほしいなって思います。その代わり、僕らはいい曲作ってお返しします。なので、どんどん拡散してください。よろしくお願いします!


──ありがとうございました! やっぱり田口さんって、目線がアーティストでありプロデューサーでもありって感じですね。

田口:あ、そうかもしれません。けっこう俯瞰で見てるんで。俯瞰プラス、マイナス思考です、基本。


──実はご自分の中だけで温めているプロジェクトとかありそうですよね。

田口:あ、ありますあります! まだ言えないですけど、2個くらいあります(笑)。それもまもなく明らかになると思うんで、それも楽しみにしててください!



TEXT 川畑貴美代(マイリブズ)
PHOTO Kei Sakuhara

◆ラジオレギュラー番組情報 InterFM897「Non Stop Radio 〜真夜中の無料案内所〜」(毎週火曜26:00〜27:00) 番組Twitter ハッシュタグ #ノンラジ897 ◆YouTubeチャンネル 【ノンラビ】バラエティチャンネル 【Non Stop Rabbit】音楽チャンネル 【ノンラビキッチン】白熱料理対決チャンネル ···

この特集へのレビュー

この特集へのレビューを書いてみませんか?

この特集へのレビューを投稿

  • ※レビューは全角500文字以内で入力してください。
  • ※誹謗中傷はご遠慮ください。
  • ※ひとつの特集に1回のみ投稿できます。
  • ※投稿の編集・削除はできません。
UtaTenはreCAPTCHAで保護されています
プライバシー - 利用契約