未練たっぷりの主人公
『シングルベッド』は4人組バンド『シャ乱Q』が1994年にリリースした6枚目のシングルです。
30年近く前の楽曲ですが、未練たっぷりに過去の恋を想う主人公の気持ちは、今聴いても切ないもの。
むしろ当時子供だった人は、大人になった今だからこそ共感できるかもしれません。
それではさっそく、歌詞の意味を考察してみましょう。
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流行の唄も歌えなくて
ダサイはずのこの俺
おまえと離れ一年が過ぎ
いい男性になったつもりが
それでもこの年齢まで俺が
育てた裸の心は
おシャレをしても
車替えても
結局変化もないまま
≪シングルベッド 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞からわかるのは、主人公が流行に敏感ではないタイプであることと、恋人と別れて一年が経つこと。
彼女を見返すためでしょうか?
失恋を機に自分磨きしたり車を変えたりしたようですが、自分の本質が変わることはなかった様子。
「どうせ俺なんて…」と言わんばかりの感傷的な心情が渾々と伝わってきますね。
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早く忘れるはずの
ありふれた別れを
あの時のメロディーが
思い出させる
≪シングルベッド 歌詞より抜粋≫
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恋人との別れを「ありふれた別れ」と言っていることから、やや投げやりな様子も感じられます。
とはいえ一緒にいた頃によく聴いた歌を耳にするたび、彼女との思い出が蘇ってきてしまう様子。
まだ彼女に対しての未練は、ぬぐいきれていないようですね。
有名すぎるサビの歌詞を考察
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シングルベッドで夢と
お前 抱いてた頃
くだらない事だって
二人で笑えたね
≪シングルベッド 歌詞より抜粋≫
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こちらは有名すぎるサビの歌詞。
シングルベッドで一緒に寝ていたということは、狭い部屋に住んでいたのでしょうか?
リッチな生活を送っていたわけではないけれど、一生懸命に夢を追い、家に帰れば彼女とくだらないことで笑い合う…そんな生活に幸せを感じていたようです。
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今夜の風の香りは
あの頃と同じで
次の恋でもしてりゃ
辛くないのに
≪シングルベッド 歌詞より抜粋≫
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「風の香りが同じ」という意味の歌詞からは、季節が同じであると考察できますね。
冒頭でも歌われていましたが、愛していた彼女と別れてちょうど一年経ったのでしょう。
しかし主人公は彼女のことが未だ忘れられず、感傷に浸っているようです。
元恋人との馴れ初め
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寄り道みたいな始まりが
二年も続いたあの恋
初めてお前抱いた夜ほら
俺の方が震えてたね
≪シングルベッド 歌詞より抜粋≫
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「寄り道」とは、目的とは違うところで時間を費やすこと。
つまりこの歌詞から二人の関係は、浮気から始まった可能性があると考えられます。
どちらに相手がいたのかはわかりませんが、後半の歌詞を見ると主人公は遊び慣れていない人物のようですね。
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恋は石ころよりも
あふれてると思ってた
なのにダイヤモンドより
見つけられない
≪シングルベッド 歌詞より抜粋≫
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遊び慣れていないとはいえ、主人公は恋なんていつでもできると思っていた様子。
しかし、彼女との出会いを経て「彼女以上に好きになれる人はいない」とひどく落ち込んでいるようです。
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シングルベッドで二人
涙拭いてた頃
どっちから別れ話
するか賭けてた
あの頃にもどれるなら
お前を離さない
≪シングルベッド 歌詞より抜粋≫
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一番はベッドの上で幸せそうに過ごす様子が歌われていましたが、二番では二人が涙する様子が歌われています。
別れることが決まる前から二人の関係はうまくいっていなかったか、何らかの障害があったようですね。
「お前を離さない」ということは、主人公から別れを切り出したのでしょうか?
ここまでの流れを踏まえると、元恋人の方に別の恋人がいたのかもしれませんね。
それを知りながら付き合っていたけれど、このままではいけない。
そう思った主人公が、涙ながらに元恋人に別れを告げたのかもしれません。
最後は一番のサビが繰り返され、楽曲が終わります。
未練タラタラの恋物語は実話?
今回はシャ乱Qの名曲『シングルベッド』について解説しました。ややイケてない雰囲気の男がとある女性に心惹かれ、そして別れ、今でも忘れられずにいるという切ない物語。
「重たい歌詞だな」と感じる女性もいるかもしれませんね。
ちなみに同曲の作詞作曲を務めたのは、ギターの「はたけ」ですが実話ではないようです。
ぜひ楽曲を聴き込みながら、様々な考察を楽しんでみてください。
主人公の人柄や女性の背景など、新たなひらめきがあるかもしれませんよ。