過去の幸せと現実の苦しさに板挟みの日々
2007年5月発売のシングル曲『明日晴れるかな』は、山下智久と長澤まさみ主演の人気ドラマ『プロポーズ大作戦』の主題歌。
サザンオールスターズのボーカル・桑田佳祐が4年11ヶ月ぶりにソロ活動を再開させた作品で、発売直後からオリコンチャート1位を獲得する大ヒット曲となりました。
切なさと温かさが入り混じる曲の世界観がドラマのストーリーともよくマッチしていて、当時から多くのファンを虜にしてきました。
どのような内容なのか、改めて歌詞の意味を考察していきましょう。
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熱い涙や恋の叫びも
輝ける日はどこへ消えたの?
明日もあてなき道を彷徨うなら
これ以上もとには戻れない
耳を澄ませば心の声は
僕に何を語り掛けるだろう?
今は汚れた街の片隅にいて
あの頃の空を想うたびに
≪明日晴れるかな 歌詞より抜粋≫
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「熱い涙や恋の叫び」というフレーズは、心が沸き立つような出来事の一例です。
そうした出来事は人生を輝かせてくれるものですが、この主人公は「どこへ消えたの?」と久しく心が動かされていないことを伝えてきます。
「明日もあてなき道を彷徨う」ようにぼんやりとした時間を過ごすことになるのなら、もう元の自分がどんな風だったか分からなくなってしまいそうです。
この「明日」にはおそらく未来の意味も含まれていて、これから先の人生への不安が読み取れます。
今の彼は「汚れた街の片隅」にいて、過去の大切な記憶の情景ばかりを思い出しては今の自分の不甲斐なさにがっかりしています。
鈍ってしまった心の声に耳を澄ましてみれば、今の自分は何を語りかけてくるだろうかと戸惑いや不安を抱えている様子が見えますね。
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神より賜えし孤独やトラブル
泣きたい時は泣きなよ
これが運命でしょうか?
あきらめようか?
季節は巡る魔法のように
≪明日晴れるかな 歌詞より抜粋≫
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誰もがぶつかる孤独やトラブルといった問題は、神様からの試練なのかもしれません。
時にはこんなにつらいことが自分の運命なのか、もうあきらめるべきなのだろうかと悩むこともあるでしょう。
そんな時は、泣きたいなら我慢せずに泣いてしまえばいいと認めてくれています。
季節はまるで魔法のように巡っていくものだから、今の思いのままに行動してもいいはずだと考えているようです。
哀しみを越えて前向きに生きよう
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Oh, baby. No, maybe.
「愛」失くして「情」も無い?
嘆くようなフリ
世の中のせいにするだけ
Oh, baby. You're maybe.
「哀」無くして「楽」は無い
幸せの Feeling
抱きしめて One more time.
≪明日晴れるかな 歌詞より抜粋≫
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サビの歌詞は現実の自身の弱さと、そこから身に着けた前向きな見方を示しています。
愛情という言葉があるように愛と情が2つで1つの感情だとしたら、愛を失くしてしまえば人としての情の気持ちもなくなるのだろうかと自問する主人公。
今までは漠然とした不安や苦しみに「嘆くようなフリ」をしながら、全て自分ではなく世の中のせいにするばかりでした。
しかし人生に哀しい出来事がなければ、きっと楽しさを十分に感じることはできないと気づいたようです。
「Feeling」は雰囲気や感情などの意味がある言葉です。
哀しみを知り楽しさを知ったことによって得た幸せな気持ちを抱きしめて、素敵な未来を切り開くためにもう一度やり直してみようと決意する姿が見えてきます。
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在りし日の己れを愛するために
想い出は美しくあるのさ
遠い過去よりまだ見ぬ人生は
夢ひとつ叶えるためにある
奇跡のドアを開けるのは誰?
微笑みよ もう一度だけ
君は気付くでしょうか?
その鍵はもう
君の手のひらの上に
≪明日晴れるかな 歌詞より抜粋≫
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いつだって青春時代の想い出が美しく思えるのは、過去の自分を愛するため。
そして愛すべき過去の自分の先にある未来は、夢を叶えるために続いていきます。
夢を叶えるのは奇跡のようなことで、その奇跡のドアをどれほどの人が開けられるのでしょうか。
焦りや期待の中で、主人公はもう一度だけでいいから自分に微笑みかけてほしいと願います。
これは過去に失敗して実らなかった愛する人への呼びかけのようでもあり、いつも前向きで無邪気に笑っていた過去の自分へのメッセージのようでもあります。
歳を重ねるにつれ臆病になる自分を、励ましてほしいという願いとも言えるでしょう。
人生で一度でも見つけられるかどうか分からない奇跡のドアの鍵は、実はもう「君の手のひらの上に」あります。
つまり開ける手段はすでにあるから、あとは開けるために行動するだけなのです。
また、ここで鍵を「君」が持っていると歌っていることから、この歌は主人公自身のための歌でありリスナー全てに贈る応援歌であることが分かりますね。
「明日晴れるかな」の解釈とは
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Why baby? Oh, tell me.
「愛」失くして「憎」も無い?
見て見ないようなフリ
その身を守るため?
Oh, baby. You're maybe.
もう少しの勝負じゃない !!
くじけそうな Feeling
乗り越えて One more chance.
≪明日晴れるかな 歌詞より抜粋≫
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愛憎は対照的な意味を持ちますが、愛すれば愛するほど憎しみという感情が募ってしまうこともあるのが人間です。
では愛を失くしたら、憎しみを抱くこともなくなるのでしょうか?
答えのない自身の心の機微に「見て見ないようなフリ」をしてしまうのは、そうすることで自分の身が傷つかないように守るためなのかもしれません。
しかし「もう少しの勝負じゃない!!」と自分を奮い立たせます。
くじけそうになりながらも乗り越えてみせるから、もう一度チャンスを掴みたいという熱意が垣間見えますね。
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I talk to myself…
Oh, baby. No, maybe.
「愛」失くして「情」も無い?
嘆くようなフリ
残るのは後悔だけ !!
Oh, baby. Smile baby.
その生命は永遠じゃない
誰もがひとりひとり胸の中で
そっと囁いているよ
「明日晴れるかな…」
遥か空の下
≪明日晴れるかな 歌詞より抜粋≫
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ラストのサビでは人生を嘆くようなフリをしてばかりでは結局「残るのは後悔だけ!!」と、まだ動けていない自分をさらに鼓舞しています。
人生には限りがあり「その生命は永遠じゃない」から、時間を無駄にしている暇はありません。
そっと囁く自分自身の心の声と向き合い、一瞬一瞬を大切に笑って生きていくことが重要です。
最後の「遥か空の下」という歌詞は、美しい記憶の中のあの頃が今と繋がっていることを想像させます。
人生には問題や悩みがつきもので、明日どうなるかさえ誰にも分かりません。
空も思いがけず曇に覆われたり雨が降ったりしますが、その後には必ず晴れるものです。
だから日々を懸命に生きていれば、いつか感じた幸せを再び得られる日がきっと来るはずです。
これはあくまで主人公の「I talk to myself…(独り言)」ですが、誰もがきっと同じように人生に難しさを感じています。
同じ悩みを抱える人たちが少しでも元気を出して踏み出せるように、歌を通してどうすればいいかアドバイスをくれている気がします。
桑田佳祐が贈る人生応援ソングが元気をくれる
桑田佳祐の『明日晴れるかな』は、いくつになっても前向きに生きようと呼びかける人生の応援歌とも言える楽曲です。この曲を聴けば驚くような出来事に直面したり深い悲しみを味わうこともあっても、人としての情を失くさず希望を持って未来に目を向けたいと思えることでしょう。
元気になれる名曲から前進する力をもらってくださいね。