TBS金曜ドラマ「石子と羽男」とは
RADWIMPSの『人間ごっこ』は、TBS金曜ドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(以下、『石子と羽男』と表記)の主題歌として書き下ろされた楽曲です。
『石子と羽男』の公式ホームページでは、主題歌について、RADWIMPSが連続ドラマの主題歌を書き下ろすのは初で、野田洋次郎が台本を熟読して制作したと紹介されています。
歌詞を考察するためには、ドラマのあらすじを理解する必要がありそうですね。
以下であらすじを簡単にご紹介します。
『石子と羽男』は、有村架純が演じる石子と中村倫也が演じる羽男の二人を主人公とする物語です。
石子は東大を卒業したものの司法試験に4回落ち、試験を受けるのを諦めたことにコンプレックスを抱きながら、父親が営む「潮法律事務所」に勤めているパラリーガル。
一方、羽男は高卒で司法試験予備試験と司法試験に1回で合格しますが、想定外のことが起こると思考回路が停止してしまうというコンプレックスを持つ弁護士。
羽男がひょんなことで石子の父親と出会い、「潮法律事務所」にやってきたことで、物語は展開し始めます。
互いにコンプレックスを持つ“こじらせた”2人が、パラリーガルと弁護士としてコンビを組み、誰にでも起こりうる珍トラブルに挑む中で、成長していく姿を描くドラマです。
ドラマ主題歌として歌詞を考察
ドラマのあらすじを踏まえた上で、「人間ごっこ」の歌詞を見ていきましょう。
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涙で濡れた君のその声が この世界の
罵詈雑言、不条理、妄言に 溺れたりなんかしないように
空の青さに 余りある広さに負けぬよう
気高くずるく ここで抗ってる
≪人間ごっこ 歌詞より抜粋≫
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「罵詈雑言、不条理、妄言」という歌詞があり、各単語を辞書で引くと、以下のような意味だと分かります。
罵詈雑言・・・悪口やでたらめな言いがかりを並べ立ててののしること
不条理・・・筋道が通らないこと、良識や常識に反していること
妄言・・・根拠のないでまかせの発言、でまかせの言葉
弁護士が冤罪や人権侵害から人々を守る職業であることを考えると「罵詈雑言、不条理、妄言に 溺れたりなんかしないように」という歌詞は、不条理な目に合っている人の視点とも、そういった人々を助けようとする弁護士の視点とも捉えられそうです。
「気高くずるく ここで抗ってる」という歌詞からは、不条理な珍トラブルに挑み、依頼者の力になろうとする石子と羽男の姿を思い浮かべられるのではないでしょうか。
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一瞬めいて 永遠めいた この真実めいた現実を
「致しかたない」で終わらしたくないだけ もったいないでしょ
≪人間ごっこ 歌詞より抜粋≫
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不条理な争いの前に、泣き寝入りしてしまう人々に思いを馳せれば、「「致しかたない」で終わらしたくないだけ」という歌詞が、より力強く響くような気がします。
「人間ごっこ」というタイトルの意味
『人間ごっこ』という曲名には、どのような意味が込められているのでしょうか。
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人間ごっこ 人生ごっこ でも君は笑っていられんの?
一切合切 安全装置をフルスイングで 捨てる今
この手すり抜ける 数えきれない 期待を
眺め続けることを 「生きる」と呼ぶの?
≪人間ごっこ 歌詞より抜粋≫
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「人間ごっこ 人生ごっこ」という歌詞がありますね。
ごっこ遊びは、何かになりきって遊ぶことを指します。
人間として生きているにも関わらず、ごっこ遊びのようになっている、つまり自分らしく生きられていないのではないか、と揶揄する表現なのではないでしょうか。
「でも君は笑っていられんの?」という歌詞は、「ごっこ遊びのようになり、自分らしく生きられていない状態がこのまま続いても良いのか?」と問いかけているようにも感じられます。
「この手すり抜ける 数えきれない 期待を 眺め続けることを 「生きる」と呼ぶの?」という歌詞からは、眺め続ける、つまり受け身になるのではなく、抗ったり挑戦したりしながら、能動的に生きてみようじゃないか、と背中を押すメッセージが読み取れそうです。