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BUMP OF CHICKEN「カルマ」の歌詞に見る人生観

『カルマ』はBUMP OF CHICKENの11枚目のシングルです。アニメ作品の主題歌というだけでなく、高い人気と存在感を誇る名曲。『カルマ』というタイトルが意味するものは一体何か、歌詞を徹底考察します。

BUMP OF CHICKENの人気曲「カルマ」が導き出す世界

BUMP OF CHICKEN『カルマ』は、2005年11月23日に発売された11枚目のシングルで、テレビゲームでもありアニメ化もされた『テイルズ オブ ジ アビス』の主題歌にもなった楽曲です。

作詞作曲を手がけるのはボーカルの藤原基央

ゲームやアニメの物語とのリンクが求められる主題歌ながら、しっかりとBUMP OF CHICKENらしい音を響かせ、リリースから月日を経ても根強い人気を誇る楽曲となっています。

この楽曲には二人の人間が登場しますが、カルマがもたらす結果は一体どのようなものなのでしょうか。

歌詞の意味を読み解きながら、この曲に込められた思いを考察していきます。

居場所を奪って生きる人間の悲しさ


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ガラス玉ひとつ 落とされた 追いかけてもうひとつ 落っこちた
ひとつ分の陽だまりに ひとつだけ残ってる

心臓が始まった時 嫌でも人は場所を取る
奪われない様に 守り続けてる
≪カルマ 歌詞より抜粋≫
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命というものは、この世に生み出された瞬間から一人分の場所を取って生きている。

人が「生きる」ということの尊さや煩わしさが感じられる歌詞です。

意識をしていなくても、本人の意思に関係なく、椅子取りゲームのように、自分の場所を守らなければならない。

それは生きることの重さでもあり、否応なしに場所を奪い合う、人間の悲しさでもあります。

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汚さずに保ってきた手でも 汚れて見えた
記憶を疑う前に 記憶に疑われてる
≪カルマ 歌詞より抜粋≫
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優しく、何も傷付けず、きれいな人間でいたいと願っていても、人は知らず知らずのうちに誰かを、何かを傷付けているもの。

生きるということは、少なからず手を汚すことは避けられないのでしょう。

記憶に疑われているのは、自分というものを持たず、流されるように生きてきたことを意味しているのかもしれません。

確固たる自分を持たないまま生きている人は大勢います。

自分の人生なのに記憶に疑われるとは、何とも皮肉なものですね。

「ひとつ分の陽だまりにふたつはちょっと入れない」人生の厳しさ


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存在が続く限り 仕方無いから場所を取る
ひとつ分の陽だまりに ふたつはちょっと入れない

ガラス玉ひとつ 落とされた 落ちた時 何か弾き出した
奪い取った場所で 光を浴びた
≪カルマ 歌詞より抜粋≫
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この世に生まれ落ち、心臓が動き出した瞬間から場所を取る人間。

生きている限り、嫌でも場所を取り、自分の場所を奪われないよう他人と戦う人生。

「ひとつ分の陽だまりに ふたつはちょっと入れない」

ここで歌われている陽だまりは、一人一人が持つ居場所であり、許されているスペースです。

競争が嫌いな人でも、自分の場所を確保するには争いに参加せざるを得ません。

人生は椅子取りゲーム。他の誰かを招き入れ、一緒に生きられるほど自分の陽だまりは大きくないのです。

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数えた足跡など 気付けば数字でしか無い
知らなきやいけない事は どうやら1と0の間
≪カルマ 歌詞より抜粋≫
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一人分のスペースをどんどん拡張し、生きやすい世界を手に入れたいのも人間の性です。

他人の陽だまりまで奪い、人のもので輝きを手に入れる人生に、どこまで意味があるのでしょうか。

人生を豊かにするために必要なのは、他人から奪ったたくさんの陽だまりではなく、「1と0の間」にある、目には見えない何かです。

理屈ではなく、感情。

目に見えないものこそ、人が生きていくために必要なのかもしれません。

「ガラス玉ひとつ 落とされた 落ちた時 何か弾き出した」という歌詞からは、生まれるその瞬間から奪い合いが始まっていることが分かります。

心臓が動き出した瞬間、この世に生を受けた時からすでに、競争は始まっているのです。

最初の居場所は、命が生まれた瞬間に誰かから奪うことで手に入れている。

命を巡る椅子取りゲームは、人が生きる限り続くのかもしれません。

「ひとつ分の陽だまりに ふたつはちょっと入れない」というのは、人が共存していく難しさも歌っているように思えます。

一人では生きられないのに、居場所を奪うことでしか生きていけない。

そんな、人間が抱える矛盾を表現しているのではないでしょうか。

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必ず僕らは出会うだろう 同じ鼓動の音を目印にして
ここに居るよ いつだって呼んでるから
くたびれた理由が重なって揺れる時
生まれた意味を知る
≪カルマ 歌詞より抜粋≫
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何のために生まれたのか分からない人生でも、自分と同じ様に鼓動を響かせて生きる誰かに出会えた時に初めて、生きている素晴らしさを実感できる。

「同じ鼓動の音」を持つその人は、惹かれ合う運命の相手なのでしょう。

別の人生を生きていても、同じ境遇や同じ苦しみを経て、自分と相手を重ね合えた時、この世に産み落とされた命の意味を知る。

それはつまり、生きる喜びに出会えるということでもあるのです。

「沈めた理由に十字架を建てる時」果たされた約束は何か


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鏡なんだ 僕ら互いに
それぞれのカルマを 映す為の
汚れた手と手で 触り合って
形が解る
≪カルマ 歌詞より抜粋≫
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人生にくたびれ、傷付き、互いに同じ心臓の音、悲鳴に惹かれて出会った二人。

まるでパズルのように、ぴたりと重なり合い、互いを補い合える関係はまさに、鏡合わせ。

この二人は似ているからこそ、互いに求め、支え合うことができるのです。

それはまさに、人生の伴侶ではないでしょうか。

運命の人と言い換えることもできます。

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ここに居るよ 確かに触れるよ
一人分の陽だまりに 僕らは居る
≪カルマ 歌詞より抜粋≫
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広い世界に産み落とされ、場所を奪い合いながら必死に自分の居場所を守り続けて来た「僕」が、「一人分の陽だまりに」招き入れた初めての人。

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初めて僕らは出会うだろう 同じ悲鳴の旗を目印にして
忘れないで いつだって呼んでるから
重ねた理由を二人で埋める時
約束が交わされる
≪カルマ 歌詞より抜粋≫
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忘れないで いつだって呼んでるから 同じガラス玉の内側の方から
そうさ 必ず僕らは出会うだろう 沈めた理由に十字架を建てる時
約束は果たされる
僕らはひとつになる
≪カルマ 歌詞より抜粋≫
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『カルマ』には、「重ねる」「約束」という歌詞が印象的に使われています。

長い間、自分一人の場所を守りながら、奪い合って生きてきた「僕」が、初めて心惹かれ、寄り添いたいと願った相手と重ねるもの。

それは、人生ではないでしょうか。

同じ鼓動の音を持ち、互いの悲鳴を探し求めて出会った二人。

交わした約束が果たされるのは、共に沈み、十字架を立てる時。

人生という旅を終え、最期の時になってようやく果たされる約束は、結婚ではないでしょうか。

長い人生を共に生きるという約束。それがまっとうできるのは、人生の終わりです。

一人分の陽だまりを必死に守り続けることをやめ、愛する人と一緒に小さな陽だまりに入る喜びを知ったのでしょう。

約束が果たされた時、「僕」の心には一体どのような思いが浮かんでいるのでしょうか。

「僕らはひとつになる」と歌われているように、最後は心も身体もひとつに溶け合い、誰にもほどくことのできない強い絆で結ばれた二人

人生は、まるでガラス玉のように簡単に転がり、落ち、時にはひび割れる不安定なものです。

しかしその先で、かけがえのない人と出会い、人生を共に歩むという約束をまっとうできたら、きっとその人生は幸福に満ちていることでしょう。

モノクロの世界観が印象的なMVにはもう一人のメンバーが登場し、曲の中で登場する「」をイメージさせます。

人とのつながり、人生のカルマを強く感じさせる楽曲の世界観をぜひ、映像でも味わってみて下さい。

BUMP OF CHICKENは、トイズファクトリーに所属する4人組のロックバンド。独特な世界観とボーカル藤原の圧倒的歌唱力、更にはドラマの他、アニメやゲームとのタイアップ曲も多く、幅広い年齢層から支持を集めている。 幼稚園時代からの幼馴染であり、1994年、当時中学校の同級生であった4人が、文···

この特集へのレビュー

男性

ぽに

2024/09/11 22:45

ジアビスの意図を汲んでいない解釈ですね。

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