アルバムの人気曲をシングル化
『damn』は藤井風の2ndアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』の収録曲。
一部のファンの間では「歌詞が過去のリリース曲とリンクしている」と話題の曲でしたが、なんとこの度シングルとしてリリースされました。
ちなみにタイトルの「damn」はという言葉は、怒りや不満を表す英語スラング。
しかし、同曲の作詞作曲を手がけた本人は「セルフラブソングとでも言いましょう」というコメントを残しています。
一体どんな意味が込められているのか、さっそく歌詞をチェックしていきましょう。
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まさかこんなに媚びてまうとは
まさかこんなに惚れてまうとは
そいでこんなに拗らせるとはな
別にどうにでもなりゃいいのに
別におれにはカンケーないのに
まさかこんなに捉われるとはな
≪damn 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞では、主人公が何かにとらわれる様子が歌われています。
別になんとも思っていなかったのに惚れ込んでしまい、それゆえに媚びるほど気持ちや言動を拗らせてしまっている…。
まさにタイトル通り「あぁ、もう!」と不満を吐き出したくなる状況ですね。
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だんだん遠くなったあなたへ
(全部全部おれのせい)
だんだん離れてったあなたへ
(責めてみても仕方ねえ)
だんだんバカになったこのおれ
どうすりゃいい
どうすればいい
あぁ幸せってどんなだったけな
…覚えてないや
≪damn 歌詞より抜粋≫
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どうやら主人公は「あなた」にとらわれている様子。
これが人物であるならば、セルフラブソングというよりは、普通に恋愛を歌った楽曲と考察したくなります。
「あなた」は一体何を表しているのでしょうか?
イライラ、不安、無力感が爆発!
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どけ、そこどけおれが通る
やめ、それやめむしず走る
だめ、もうだめぜんぶ終る
分かりきったことやん、今さら
完ペキとか無理やん、ハナから
…別に何も期待してないけどな
≪damn 歌詞より抜粋≫
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2番の歌詞からは、主人公の強いストレスや無力感を感じます。
好きな人がいるけど振り向いてもらえない…そんな気持ちを歌っているのでしょうか?
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だんだん好きになったあなたへ
(ヘンな気持ち誰のせい)
だんだん赤くなった青さへ
(責めてみても仕方ねえ)
どうすりゃいい
どうすればいい
あぁ幸せって何色だったけな
…覚えてないや
≪damn 歌詞より抜粋≫
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続くサビはまさにラブソングのようですが、ここで注目しておきたいのが「赤くなった青さへ」というフレーズ。
高揚感で赤くなった顔がうまくいかない焦燥感で青くなる様子を歌っているのかと思いきや、色の変化の順番は青→赤。
つまり徐々に熟れている様子を歌っているとも考察できます。
「青」という漢字がなんとなく「青春」を連想させることを踏まえて考えると、「だんだん大人になっている」様子を表現しているとも考えられそうですね。
まとめると、2回目のサビは「あなた」を好きになったものの、大人になるにつれヘンな気持ちを抱いてしまい幸せを見失いつつある、という状況を歌っているのかもしれません。
過去曲とリンクする歌詞に注目
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全て流すつもりだったのにどうした?
何もかも捨ててくと決めてどうした?
明日なんか来ると思わずにどうした?
≪damn 歌詞より抜粋≫
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2回目のサビが終わり、転調した後で登場するのがこれらの歌詞。
ピンときた方もいるかもしれませんが、実はやんわり過去の曲を匂わせています。
1行目の「全て流すつもりだったのに」は『帰ろう』、2行目の「何もかも捨ててく」は『きらり』、3行目の「明日なんか来ると思わずに」は『燃えよ』の歌詞とリンクしているのです。
しかも、曲順はリリースした順番と同じ。
つまり藤井風の歩みを表しているとも考えられ、ここまでの歌詞はすべて藤井風による藤井風への問いかけだったとも考察できます。
それを踏まえて次の歌詞を見てみましょう。
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全部まだまだこれからだから
いつかあんたに辿り着くから
≪damn 歌詞より抜粋≫
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自分の人生はまだまだこれからで、いつか「あんた」にたどり着く…。
ここまでの流れをくむと、「あなた」や「あんた」はアーティストとして注目され始めた藤井風の姿、もしくは藤井風自身が思い描いていた夢を指すのかもしれませんね。
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だんだん近くなったわたしへ
どうしようか
どこいこうか
あぁ幸せってどんなだったけな
思い出そうか
愛してくこの先ずっと
守ってく明日もずっと
i love me, and i
will keep him in a
safest fairest happiest place baby
≪damn 歌詞より抜粋≫
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「だんだん近くなったわたしへ」という歌詞を「理想の自分へと近づいている」と解釈すると、「あなた」は藤井風が思い描く理想の藤井風の姿なのかもしれません。
そしてそれをこの先も愛し、守っていく。
最後の最後でようやく「セルフラブソング」というコメントがしっくりきますね。
「damn」はこれまでの人生を振り返る一曲
以上をまとめると、『damn』は藤井風が自分自身の人生を振り返るような一曲であると解釈できそうです。同曲が収録されたアルバムのリリースから半年後にあえてシングルカットでリリースするということは、本人の中で一度振り返りたい気持ちがあったのかもしれませんね。
今回のリリースにあたって『damn』のMVも公開されています。
ぜひそちらもチェックしつつ、あなたなりの考察を楽しみましょう!