BUMP OF CHICKEN『SOUVENIR』が『SPY×FAMILY』主題歌に
『SOUVENIR』は、2022年9月28日に配信リリースされたBUMP OF CHICKENの新曲です。
10月1日から放送を開始したアニメ『SPY×FAMILY』第2クールのオープニング主題歌にもなっていて、第1クールよりも絆の深まったフォージャー家を描いた映像の美しさも話題になっています。
藤原基央によって生み出された歌詞には、何気ない日常への愛情がちりばめられています。
オープニングではフォージャー家の日常が描かれており、幸せな日々を切り取った風景や映像美が印象的。
タイトルにもなっている『SOUVENIR』にはお土産という意味があります。
アニメ『SPY×FAMILY』のストーリーと重ね合わせながら、楽曲の歌詞を徹底考察していきます。
『SPY×FAMILY』の世界とリンクする歌詞
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恐らく気付いてしまったみたい
あくびの色した毎日を
丸ごと映画の様に変える
種と仕掛けに出会えた事
≪SOUVENIR 歌詞より抜粋≫
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繰り返される、代わり映えのしない日々。
黄昏にとっての日々はまさに「あくびの色した毎日」だったことでしょう。
緊張感漂う仕事ではありつつも、人間らしい感情を捨てた黄昏にとって人生とは、面白みのないものだったかもしれません。
しかし、任務のためとはいえアーニャやヨルと出会い、家族を形成したことが、黄昏に感情を取り戻させていきます。
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仲良くなれない空の下
心はしまって鍵かけて
そんな風にどうにか生きてきた
メロディが重なった
≪SOUVENIR 歌詞より抜粋≫
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黄昏もアーニャもヨルも、スパイとして、エスパーとして、殺し屋としての自分を隠し、嘘の笑顔で自分や他人をごまかしてきた境遇は似通っています。
偶然にも、似たもの同士が集まってできた家族だからこそ、疑似家族という枠を越えて心を通わせることができるのでしょう。
それぞれが孤独を知っているからこそ、相手を思いやれるのです。
「メロディが重なった」という歌詞はまさに、孤独を抱えて生きてきた三人の出会いとも重なります。
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小さくたっていい 街のどんな灯よりも
ちゃんと見つけられる 目印が欲しかった
≪SOUVENIR 歌詞より抜粋≫
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主人公である黄昏は、スパイとなった日に自分という人間を捨てました。
アーニャは自分の正体を誰にも明かせず、ヨルも殺し屋であることをひた隠しにして生きています。
誰にも言えない秘密を抱えた生き方は、とても孤独で苦しいもの。
たとえ仮初めの家族でも、寄り添い合い、支え合えるフォージャー家という存在が、彼らにとって大切な「目印」なのではないでしょうか。
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この目が選んだ景色に ひとつずつリボンかけて
お土産みたいに集めながら続くよ 帰り道
季節が挨拶くれたよ 涙もちょっと拾ったよ
どこから話そう あなたに貰った この帰り道
≪SOUVENIR 歌詞より抜粋≫
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ここで、この曲を象徴する「お土産」という歌詞が登場します。
自分の目に止まった大切な景色を切り取り、お土産を集めるように心にそっとしまう。
オープニング映像では、黄昏、ヨル、アーニャの孤独を描き出したような場面が登場します。
一人でいる時の暗く、時に冷たい瞳。
それとは対照的に描かれる家族との場面。
黄昏はスパイとして、ヨルは殺し屋として、これからも他人の命を奪ったり、危険な目に遭ったりすることもあるでしょう。
それでも、家に帰れば自分を迎え入れてくれる家族がいる。
偽物の家族が、彼らの心に灯った希望の光のように見えます。
家があるから「帰り道」があり、居場所があるから帰ることが喜びになる。
フォージャー家が手にした「帰り道」は、黄昏が、ヨルが、アーニャが、互いに与え、もらったものなのです。
「帰り道」の先にある家族の温かさ
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こうなるべくしてなったみたい
通り過ぎるばっかの毎日に
そこにいた証拠を探した
メロディが繋がった
≪SOUVENIR 歌詞より抜粋≫
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互いの利益のために作られた疑似家族。
しかし、蓋を開けてみれば似たもの同士が身を寄せ合い、気付けば心の拠り所になりつつあります。
まさに「なるべくしてなった」家族です。
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どこからどんな旅をして 見つけ合う事が出来たの
あなたの昨日も明日も知らないまま 帰り道
土砂降り 一体何回くぐって 笑ってくれたの
月より遠い世界から辿ってきた 帰り道
≪SOUVENIR 歌詞より抜粋≫
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フォージャー家は、互いの生い立ちも人生も知りません。
嘘で固めた素性しか知らなくても、巡り巡って奇跡的に家族になりました。
敏腕スパイとして冷徹に仕事をこなしてきた黄昏は、アーニャに出会い、戸惑いながらも人間らしい感情が芽生えていきます。
家族をけなされたら怒りを覚えるほどに、実の父親のようにアーニャを叱れるほどに。
黄昏はヨルの仕事を知らず、ヨルも黄昏がどれほどの修羅場をかいくぐって生きてきたか知りません。
それでも互いの言葉や笑顔に力をもらい、アーニャの笑顔に癒やされています。
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どこからどんな旅をして 見つけ合う事が出来たの
あなたの昨日と明日が空を飾る 帰り道
この目が選んだ景色に とびきりのリボンかけて
宇宙の果てからだろうと辿っていく 帰り道
≪SOUVENIR 歌詞より抜粋≫
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本来ならば出会うはずのなかった三人が、任務の名の下に家族になる。
「フォージャー家」が三人にとって大切な居場所であり、帰りたい場所になっていることはたしかです。
「宇宙の果てからだろうと辿っていく」という歌詞に、帰り道の先にある場所に対する深い愛情を感じます。
『SOUVENIR』に込められた意味
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歩いて歩いて 時々なんか急いで あなたに向かう道を
走って走って いやいややっぱ歩いて あなたに向かう道を
≪SOUVENIR 歌詞より抜粋≫
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歩いて歩いて いつの間にか急いで あなたに向かう道を
走って走って 恥ずかしくなって歩いて あなたに向かう道を
≪SOUVENIR 歌詞より抜粋≫
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歩いて歩いて 転んで平気なふりして あなたに向かう道を
走って走って 胸いっぱいで歩いて あなたに向かう道を
≪SOUVENIR 歌詞より抜粋≫
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なりゆきで生まれた居場所は、急いで帰りたくなったり、ゆっくり向かいたくなったり。
それが徐々に、感情の高まりを抑えられなくなり、でもバレるのは恥ずかしかったり。
ここの歌詞で描かれる心情は、黄昏やヨルが抱える心の揺らぎに似ています。
孤児院で暮らしていたアーニャは初めから、黄昏が大好きで、捨てられることを恐れていました。
居場所がフォージャー家にしかないアーニャと比べると、黄昏やヨルには当初、思い入れは薄かったように思えます。
しかし、今では任務や立場上の問題を越えて、必要な場所になりつつあるのです。
だからこそ、転んでしまうほど急いで、胸いっぱいで帰路に就くのでしょう。
黄昏は性格上、素直に言いませんが、ヨルは徐々にフォージャー家への愛情を口に出すようになってきています。
仮初めの家族は、世界を救う鍵となっているだけでなく、黄昏、ヨル、アーニャにとってかけがえのない存在へと変化してきました。
今後のフォージャー家がどんな困難に直面し、それを乗り越えていくのか。
異色の家族を応援する温かさが『SOUVENIR』の歌詞に溢れています。
MVでは、高速道路を舞台にタイムラプスという技術で撮影された、美しくも疾走感溢れる世界を表現。
アニメのオープニング映像とは違う世界を堪能することができます。
『SOUVENIR』の歌詞にちりばめられた風景は、フォージャー家のメンバーが感じている「家族」への愛情とも重なりますね。
放送時期に合わせたのか、秋の風景が描かれるオープニング映像。
秋が深まっていくように、家族の絆も深まっていく。
フォージャー家にはこれからも温かい景色が、お土産のように積み重なっていくことでしょう。
そう思うと『SOUVENIR』というタイトルは、まさに『SPY×FAMILY』にぴったりの楽曲なのです。
BUMP OF CHICKENは、トイズファクトリーに所属する4人組のロックバンド。独特な世界観とボーカル藤原の圧倒的歌唱力、更にはドラマの他、アニメやゲームとのタイアップ曲も多く、幅広い年齢層から支持を集めている。 幼稚園時代からの幼馴染であり、1994年、当時中学校の同級生であった4人が、文···