90年代を代表するヒットソング
『恋しさと せつなさと 心強さと』は、1994年7月21日にリリースされた篠原涼子の4thシングル。同年に公開された映画『ストリートファイターII MOVIE』の主題歌に起用されました。
こちらは、90年代に人気を博したアーケードゲーム『ストリートファイターII』を原作にした長編アニメ映画です。
発売元のゲーム制作会社「CAPCOM（カプコン）」が自社制作し、家庭用ゲーム「スーパーストリートファイターII」の発売に併せて劇場公開されました。
国民的女優として活躍する篠原涼子ですが、元々は「東京パフォーマンスドール」というアイドルグループに所属していました。
彼女はグループ活動と並行して、フジテレビのバラエティ番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」にレギュラー出演し、次第に知名度を獲得していきます。
同グループに楽曲提供をしていた小室哲哉は、ライブとバラエティーにおける彼女のギャップに可能性を見出し、ソロとしてプロデュースすることを決意します。
こうして、篠原涼子 with t.komuro名義で『恋しさと せつなさと 心強さと』がリリースされました。
初回出荷数は2万5000枚だったものの、徐々に驚異的なロングヒットを記録。
最終的に累計202.1万枚を売り上げ、女性ソロ歌手としては初となるダブルミリオンを達成しました。
「第36回日本レコード大賞」では優秀賞及び編曲賞を受賞し、同年の「第45回NHK紅白歌合戦」にも出場を果たしています。
主人公が戦うことの意味
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遠い空を あの日眺めていた
やりかけの青春も 経験も そのままで
永遠を夢見ていたあの日を今
もう2度とくりかえさずに もどらずに生きること
≪恋しさと せつなさと 心強さと 歌詞より抜粋≫
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『恋しさと せつなさと 心強さと』は「ストリートファイターII」の主題歌ということで、闘いの場に身を置くキャラを反映したような力強い歌詞が並びます。
それと同時に、この楽曲の歌詞は篠原自身にも通じるのではないでしょうか。
彼女は16歳で芸能界入りしたため、普通の青春とはかけ離れた生活を送っていたことが想像できます。
彼女の生い立ちを重ねながらこの楽曲を聴いてみると、また違った魅力を感じることが出来るでしょう。
『恋しさと せつなさと 心強さと』の主人公は、存在したかもしれない別の人生に憧れるのではなく、自分の過去を肯定しながら今この時を生きようとしています。
その確固たる信念が、本作の放つ強いエネルギーに繋がっているのです。
----------------自分よりも強い人や魅力的な人に憧れるのは、生きていれば至極当然のことです。
出来なくて あこがれて
でも少しずつ理解ってきた 戦うこと!!
≪恋しさと せつなさと 心強さと 歌詞より抜粋≫
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しかし、それらをネガティブな感情として捉えていては、成長するのが困難になってしまいます。
様々な経験を経て主人公が理解した「戦うこと」とは、他人より優れようすることではなく「自分らしくあること」を意味するのではないでしょうか。
サビに込められた溢れる想い
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恋しさと せつなさと 心強さと
いつも感じている あなたへと向かって
あやまちは おそれずに進むあなたを
涙は見せないで 見つめていたいよ
≪恋しさと せつなさと 心強さと 歌詞より抜粋≫
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『恋しさと せつなさと 心強さと』では、タイトルを歌詞に含んだサビが冒頭と最後で繰り返されます。
このサビが、本作をヒットさせたと言っても過言ではありません。
キャッチーで耳に残りやすく、同時に切なさも感じさせるメロディーは、多くの人の共感を呼びました。
本作では「恋しさ」と書いて「いとしさ」と読みます。この一言に「恋」だけでは言い表せない深い愛情が込められているのではないでしょうか。
出来ることならば、大切な人にはいつもそばにいて欲しいという気持ちと、自分の進むべき道を迷わず突き進んでほしいという相反する想いが感じられます。
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悲しくて 泣きたくて 叫びたくても
あなたを 信じてる 言葉にできない
あやまちは おそれずに 進むあなたを
涙はみせないで 信じていたいよ
≪恋しさと せつなさと 心強さと 歌詞より抜粋≫
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意外にも、サビには闘う者ではなく、それを待つ側の視点で描かれています。
どんなに厳しい世界でも、決して諦めることのない「あなた」。
信じているからこそ、弱気な姿を見せまいとする健気な気持ちが伝わってきます。
「言葉にできない」というフレーズからは、溢れ出す熱い想いや「あなた」への全幅の信頼が見て取れます。
28年ぶりの再タッグが実現
今回は、90年代の名曲『恋しさと せつなさと 心強さと』の歌詞の意味を考察しました。2022年9月17日には、『恋しさと せつなさと 心強さと 2023』が配信リリースされました。
こちらのセルフカバーでは、小室哲哉がリアレンジを施し、篠原涼子がボーカルを再録。
28年ぶりとなる豪華な”再タッグ”に、大きな反響が寄せられています。
また、本作は2023年に発売予定となっている「ストリートファイター6」の日本イメージソングに決定しました。
この機会に、オリジナルバージョンとセルフカバーバージョンを聴き比べてみてはいかがでしょうか。
