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Vaundy「CHAINSAW BLOOD」が描く歌詞の意味

Vaundy『CHAINSAW BLOOD』は、アニメ『チェンソーマン』の第一話エンディング曲です。アニメの世界観を色濃く反映した歌詞に注目して、アニメ作品と比較しながら歌詞の意味を読み解いていきます。

Vaundy「CHAINSAW BLOOD」が「チェンソーマン」第一話エンディングに

Vaundyの『CHAINSAW BLOOD』は、2022年10月12日にリリースされた楽曲です。

TVアニメ『チェンソーマン』の第一話エンディングテーマに起用されました。

デジタルシングルは配信されてすぐに聴くことができるので、いつでも楽曲の世界観に浸れるという意味でも魅力的です。

▲Vaundy - 『CHAINSAW BLOOD』【OfficialMusicVideo】

Vaundyは自身で作詞作曲のみならず、アレンジやプロモーションなども自身でこなすマルチアーティストとして活躍中。

Adoの『逆光』やyamaの『くびったけ』、菅田将暉の『惑う糸』など数々の楽曲提供をしてきただけでなく、『惑う糸』では監督も務めるなど、幅広いアーティストとタッグを組んで活躍しています。

藤本タツキ原作の『チェンソーマン』は、悪魔がはびこる世界で、生活のためにデビルハンターをしていた少年・デンジが、悪魔であるポチタと融合することによりチェンソーの悪魔となり戦う物語。

少年漫画らしからぬダークな展開や暴力的なシーンも注目を集めていますが、何より特徴的なのは主人公であるデンジの原動力でしょう。

ヒーローものに多く見られる、優しさや正義感ではなく、食欲や性欲を原動力として彼は動いているので、人助けはしません。

結果的に助けることはあっても、目の前の命よりも自分の欲求を優先するのです。

「胸が揉みたい」という理由だけで危険な悪魔と戦うことも厭わないところが、16歳の少年らしさといえるかもしれません。

悪魔化したデンジは、顔と両腕からチェーンソーを生やし、その刃と強靭なパワーで戦います。

見た目だけで強烈な個性を放つ『チェンソーマン』のエンディングに相応しいタイトル『CHAINSAW BLOOD』が一話のエンディングに起用されたところに、センスを感じますね。

曲中で何度も登場する「CHAINSAW BLOOD」という言葉の耳障りがよく、時折「チェンソーマン」と聞こえないこともないところがまた、作品とマッチしています。

アニメのタイトルにも組み込まれている「チェンソー」というワードを繰り返し使用する歌詞は非常にキャッチーで、一昔前のアニメ主題歌に通ずるものを感じます。

では、アニメにもばっちりハマっている『CHAINSAW BLOOD』の歌詞を考察していきましょう。

歌詞にちりばめられた「チェンソーマン」の世界観


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急ぐ雑踏も軽くcrackな視点
居ても泣いても立てぬflatな視点
弾む鼓動は刻むclap無しで
忘れたいほど怒るchain回して
≪CHAINSAW BLOOD 歌詞より抜粋≫
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デンジが生まれ育った場所は田舎町のような雰囲気ですが、公安のデビルハンターであるマキマという女性に雇われた後は、都会的な風景が多々登場します。

雑多な風景をイメージさせる冒頭の歌詞も、人が溢れている割に人間関係は希薄で、どこか乾いた世界観とリンクしています。

「弾む鼓動」「chain回して」という歌詞が、チェンソーマンへと変貌するデンジの姿を連想させますね。

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全てをかき消してengine音
≪CHAINSAW BLOOD 歌詞より抜粋≫
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チェンソーマンというだけあり、悪魔となったデンジが武器とするチェーンソー音は非常にリアル。

ホラー映画でおなじみの音があたり一面に鳴り響き、敵をなぎ倒していく様は圧巻です。

チェーンソーの音が掻き消すのは、周囲の音だけではないでしょう。

デンジが悪魔になった原因でもあるポチタとの別れ

そもそもデンジは人間で、父親の借金のために、傷付いたポチタと契約し、デビルハンターになりました。

悪魔と人間でありながら、一人と一匹の間には深い絆が生まれているように見えます。

しかし、デンジとポチタは借金を取り立てていたヤクザに騙され、ゾンビに襲われて殺されました。

死に際、ポチタの心臓をデンジに渡したことにより、ポチタはデンジと融合したのです。

可愛がっていたポチタと触れ合うことができなくなったデンジが心の拠り所を失い、初めてチェンソーマンになった時、そこにあったのは悲しみと激しい憎悪であったのではないでしょうか。

騒音が当たりの音を打ち消すように、デンジの暴れる感情ごと掻き消し、憎い相手を殺すためだけに暴れ回っていたのではないでしょうか。

絶望の淵から悪魔となって甦ったデンジの激情とチェンソー音は、非常にリンクしているように感じられます。

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妄想に侵された
右脳操作不能機能の相殺法に
使った愛の手!
ハイッ ハイッ
笑かしたbadなschemeを食ってしまう紳士
フワァと立ちくらみ言葉を有し

「CHAINSAW is 使える愛の手」
『あ?なんだって?』
≪CHAINSAW BLOOD 歌詞より抜粋≫
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「操作不能」「愛の手」「立ちくらみ」という歌詞は、女性経験のないデンジがマキマに上手く利用されていく様と重なります。

デンジはチェンソーマンになると貧血になるため、立ちくらみを起こしてマキマに介抱してもらったことで、簡単に好意を抱きました。

実は、マキマは優しいどころか恐ろしい女性なのですが、理性の弱いデンジがマキマの美貌や肉体に惹かれ、いいように使われてしまう様とリンクしているのが見事です。

人間の欲望を描き出す歌詞の吸引力


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血がたぎってもう煮立ってもう
やめれない
砕ききっても穿っても止まぬ
Hu Hu Hu Hu
Tell me why cry?
Tell me why...?
CHAINSAW BLOOD
≪CHAINSAW BLOOD 歌詞より抜粋≫
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血がたぎってもう煮立ってもう
止まれない
血を喰らうたび悪夢また
よぎる
Hu Hu Hu Hu
Tell me why cry...?
Tell me why... you grinning?
≪CHAINSAW BLOOD 歌詞より抜粋≫
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怒りにまかせて自分とポチタの仇であるヤクザたちを葬ったデンジは、公安のデビルハンターとなった後も、悪魔相手に暴れ回ります。

デンジは同じ職場で働く同僚のアキのように冷静さや常識を持ち合わせず、どちらかといえばペアを組むことになる魔神のパワー(血の悪魔)と似ていて、非常に感情的。

頭よりも自分の気持ちで動いてしまうほど単純なため、すぐに騙される上、マキマにも利用されやすいのです。

そんな彼の原動力は、「普通の生活がしたい」という小さな欲望。

ささやかな望みともいえますが、欲求は一つ叶うとまた次と、留まることを知りません。

デンジに限らず、人は皆、欲求を抱えて生きています。

慎ましやかに生きている人もいますが、人の欲望に底がないのは今に始まったことではありません。

エンジンを起動させたら、相手を殺すまで暴れ回る。

チェンソーマンが血まみれになって相手を打ち倒すおぞましさは、人間の底なしの欲望にも似ているような気がします。

血がたぎって止まらなくなるほど、理性を失うほどに暴れ、街を壊し、悪魔を殺すチェンソーマン。

渇きにも似たその欲求は、人間そのものを映しているのかもしれません。

欲望のままに生きるチェンソーマンは、半分悪魔でありながらも、非常に人間らしいです。

人は清廉潔白ではないからこそ、ダークヒーローのチェンソーマンがしっくりくるのかもしれませんね。

全12話異なるエンディングで彩るアニメ作品としての本気度に注目


『チェンソーマン』は、週替わりで複数のミュージシャンがエンディング曲を提供するという点でも注目を集めています。

オープニングテーマは米津玄師の『KICK BACK』。こちらは週替わりではありませんが、オープニングからぐいぐい作品世界へと引き込む吸引力の強さが魅力的です。

挿入歌と三話のエンディングに起用されたのは、マキシマム ザ ホルモンの『刃渡り2億センチ』。

マキシマムザ亮によって作詞作曲されたインパクト大の楽曲で、ド派手なバトルが繰り広げられる本編にも負けないくらい、圧巻のエンディングでした。

この先も、Aimerや女王蜂、TK from 凛として時雨など、豪華アーティストが待機。

公式サイトのコメント欄では、各アーティストともに作品愛溢れるコメントばかり。

エンディング曲だけでアルバムが作れてしまうほどの曲数という意味でも、本当に豪華な取り組みです。

これだけ多彩な音楽が一つの作品に集結するというのは、非常に珍しいのではないでしょうか。

今回ご紹介した『CHAINSAW BLOOD』は記念すべき第一話のエンディングを飾った楽曲

スペシャルエンディングでは、一話のストーリーをダイジェストで流しつつ、デンジとポチタの暖かい絆を描いています。

幼いデンジとポチタの出会いから、彼が成長し、デビルハンターとして生きていく様、チェンソーマンの誕生が、心地よいサウンドと共に流れていくエンディング映像。

まさに、一話のエンディングにぴったりの楽曲といえるでしょう。

▲Vaundy - 『『チェンソーマン』第1話スペシャルエンディング / CHAINSAW MAN #1 Ending│Vaundy 「CHAINSAW BLOOD」』

また、MVの方では、何者かに追われる三人が暗い建物内を逃げ惑う様が描かれています。

彼らを追い詰めるゾンビのような気味の悪い大量の影。バラバラになっていく3人。

まさに、デンジがゾンビたちに襲われたシチュエーションと重なります。

また、母親らしき女性が自分の腕を食いちぎり、血から武器を作り出すような演出は、作中に登場する血の悪魔・パワーを彷彿させますね。

さらに白い犬も登場し、可愛らしい見た目と反して、目には妖しい光を灯しています。

物語の最後に、微笑む少女の目にも同じ色の光が灯る様は、デンジとポチタの契約のようにも見え、どこまでも作品へのリスペクトを感じる作り

一本の映画を観ているような圧倒的存在感を放つ映像作品に仕上がっています。

スペシャルエンディング映像と合わせて、二重の楽しみ方ができる贅沢さ。この機会にどちらも視聴してみてはいかがでしょうか。

Vaundy(バウンディ)。現役大学生 22歳。 作詞、作曲、アレンジを全て自分でこなし、デザインや映像もディレクション、セルフプロデュースするマルチアーティスト。 2019年春頃からYouTubeに楽曲を投稿するなど、活動を開始。 「東京フラッシュ」「不可幸力」など、耳に残るメロディーを···

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