大山のぶ代の歌声を思い出すドラえもんの名曲をチェック
国民的アニメとして長年愛されてきた『ドラえもん』の歌といえば、どの曲を思い浮かべますか?
アニメ初期からドラえもんを楽しんでいる視聴者は、作詞を藤子不二雄、作曲・編曲を菊池俊輔が務めた大山のぶ代とこおろぎ'73の『ぼくドラえもん』がなじみ深いでしょう。
1979年から1981年に放映されていた『ドラえもん』の10分番組版のオープニング主題歌として1979年10月1日から1981年9月26日まで使用され、同時期放映の映画版の主題歌や劇中歌としても起用されてました。
オリジナル版以外にも映画のエンディング主題歌としてアレンジを加えた『ぼくドラえもん2112』、アニメ放送40周年を記念して第2期でドラえもんを演じる水田わさびがカバーする『ぼくドラえもん 40th』が制作されており、ドラえもん作品になくてはならない楽曲ですよね。
その歌詞はユニークで、どんな意味があるのか分からない不思議なフレーズが多いのが特徴です。
耳に残る歌詞の意味を考察していきましょう。
----------------
あたま テカテカ
さえて ピカピカ
それが どうした
ぼく ドラえもん
みらいの せかいの
ネコがたロボット
どんなもんだい
ぼく ドラえもん
≪ぼくドラえもん 歌詞より抜粋≫
----------------
「あたまテカテカ(頭テカテカ)」は、耳がないドラえもんのツルッとした頭を表現しているのでしょう。
「さえてピカピカ(冴えてピカピカ)」は、様々なひみつ道具でのび太を助けるドラえもんが頭が冴えていることを示していると解釈できます。
おそらくこうした表現を周囲からされたのだと思われます。
それに対して「それがどうした ぼくドラえもん」と、何を言われても本人は意に介さない様子です。
ぼくは「みらいのせかいのネコがたロボット(未来の世界のネコ型ロボット)」なんだ、「どんなもんだい」と胸を張っている姿が見えてきそうです。
ドラえもんの特徴がいっぱい
----------------
たんそく モタモタ
おとは ドカドカ
それが どうした
ぼく ドラえもん
よじげんポケット
ちょいと さぐれば
どんなもんだい
ぼく ドラえもん
≪ぼくドラえもん 歌詞より抜粋≫
----------------
2番の「たんそくモタモタ おとはドカドカ」は「短足モタモタ 音はドカドカ」となります。
身長123.9センチのドラえもんは頭が大きく2頭身で、かなり短い足をしていますよね。
それでモタモタしていると思われていても不思議ではありません。
しかも体重は123.9キロと重く、ドカドカと大きな音を立てながら走っている想像がつくでしょう。
とはいえ身体的なハンデがあるとしても、「よじげんポケット ちょいとさぐれば(四次元ポケット ちょいと探れば)」どんなことも可能にできるため、ドラえもんにとって何も不便なことはありません。
ちなみに実際には時速123.9キロで走ることができるので、見た目で判断してはいけないことも感じられます。
----------------
すがた ブクブク
おなか マルマル
それが どうした
ぼく ドラえもん
まるい あかはな
ちょいと きかせて
どんなもんだい
ぼく ドラえもん
≪ぼくドラえもん 歌詞より抜粋≫
----------------
3番の「すがたブグフク おなかマルマル(姿ブグフク お腹マルマル)」の歌詞で、ドラえもんのコロコロとした丸いフォルムが自然と頭に浮かびます。
ドラえもんは胸囲も123.9センチあり、確かに「おなかマルマル」という言葉がぴったりです。
「まるいあかはな (丸い赤鼻)」のフレーズは、ドラえもんのチャームポイントであるかわいらしい赤い鼻のこと。
それを「ちょいときかせて(ちょいと利かせて)」とあるので、いつものび太の危険をいち早く察知して駆けつけるヒーローのような存在であることを示しているのかもしれません。
親しみやすい外見とキュートな表情に加えて、多彩な道具を形にする才能やのび太への愛情といった魅力を持っていることが、ドラえもんがどの世代にも愛される理由だと伝わってきます。
呪文みたいな「奇妙奇天烈 摩訶不思議 奇想天外 四捨五入 出前迅速 落書無用」
----------------
キミョウ キテレツ
マカフシギ
キソウテンガイ
シシャゴニュウ
デマエ ジンソク
ラクガキ ムヨウ
ドラえもん ドラえもん
ホンワカパッパ
ホンワカパッパ
ドラえもん
≪ぼくドラえもん 歌詞より抜粋≫
----------------
繰り返し歌われるサビの部分は、カタカナばかりでさらに意味が分からないですよね。
特に「キミョウキテレツマカフシギ キソウテンガイ シシャゴニュウ デマエジンソク ラクガキムヨウ」の歌詞はまるで呪文のようです。
これは漢字で書くと「奇妙奇天烈 摩訶不思議 奇想天外 四捨五入 出前迅速 落書無用」という6つの言葉からなる歌詞だと分かります。
前半の3つの「奇妙奇天烈 摩訶不思議 奇想天外」は、ドラえもんの存在の奇妙さや不思議さを表しています。
ところが、後半の3つは意味としては関連のない言葉です。
「出前迅速」とは出前を早く届けるという意味で、昔のラーメン屋の看板や広告によく書かれていました。
「落書無用」は落書きをしてはいけないことを表し、落書き禁止の意味で注意書きに用いられていました。
「四捨五入」も含め当時日常でよく使われてきた言葉なので、音としてハマりやすい上に視聴者にとっても身近な言葉を使いたかったのではないでしょうか。
また、続く「ホンワカパッパ(ほんわかぱっぱ)」も気になるフレーズですよね。
「ホンワカ(ほんわか)」は和やかで温かいイメージで使われる言葉ですが、おそらく「パッパ」はリズムの良さでつけられたものと考えられます。
つまり「ホンワカパッパ」にも特別な意味はないのでしょう。
それでも多くの人が何気なく覚えているフレーズなので、ここに藤子先生らしい独特の言語センスが光っていると言えますね。
しかし、意味はないと言っても「ホンワカパッパ」にはドラえもんを観た時の心が和むような感覚が表れているようにも思えます。
作品同様に歌でも楽しい気分にしてくれるところが素敵です。
ドラえもんの魅力を感じる名曲!
大人気のアニメソング『ぼくドラえもん』は不思議で面白いフレーズが多いですが、改めて歌詞に注目するとドラえもんの魅力がたっぷりと感じられました。現在では星野源や秦基博など人気アーティストの楽曲もドラえもんの歌として浸透しています。
とはいえ、国民的キャラクター・ドラえもんを生み出した藤子先生が自ら手がけたこの楽曲をいつまでも忘れないでいたいですね。