げんこつ山ってどんな山?
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げんこつやまのたぬきさん
≪げんこつやまのたぬきさん 歌詞より抜粋≫
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どの世代の人でも、この歌い出しは自然と歌えるのではないでしょうか?
これは日本ならではのわらべうたとして長年歌い続けられている『げんこつ山のたぬきさん』の冒頭の歌詞。
タイトルがそのまま歌詞になっているので、小さいお子さんでも覚えやすいですよね。
昭和に入ってから生まれた楽曲で、元々は子守唄だったようです。
現在はどちらかといえばじゃんけんを取り入れた手遊び歌として、なじみがある人の方が多いでしょう。
明るいメロディの楽しい曲ですが、ほかの多くの童謡のように「怖い」と言われることもあります。
もしかしたら山やたぬきといったモチーフから、昔話の『かちかち山』と混同して怖く感じてしまっているのかもしれません。
この童謡はげんこつ山という山に住む小さなたぬきのことを歌っています。
では、そもそも「げんこつ山」とはどんな山なのでしょうか?
実は日本にはいくつか「げんこつ山」という愛称で呼ばれている山があります。
「げんこつ」は漢字で拳骨と書き、握りこぶしのことを指します。
どれも天に向かってこぶしを突き上げたような形をしていることから、この愛称で呼ばれているようです。
作者が実際にこれらの山からインスピレーションを受けたのかは定かではありませんが、山の風景を見て子供たちが親しみやすい曲にしたいと思ったことは間違いないでしょう。
たぬきの日常を綴った意味を解釈してみる
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おっぱいのんでねんねして
だっこして おんぶして
また あした
≪げんこつやまのたぬきさん 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞ではまだ幼いたぬきの日常が、短い言葉で表現されています。
母乳を飲み、よく眠って、親たぬきに抱っこされたりおんぶされたりしながら、毎日を過ごしていきます。
とても短くまとめられていますが、子たぬきが愛情たっぷりに育てられている様子が目に浮かぶはずです。
そしてこれは人間の子供たちと通じる部分です。
動物も人間も、お腹を満たしてたくさん眠り、愛情をかけて育てられることですくすくと成長していきます。
そんな穏やかな子供の成長を願って作られた童謡なのではないでしょうか。
また子供自身にとっても身近な内容だからこそ、時代が変わってもずっと歌われ続けているのだと思われます。
後に生まれたフルバージョンが怖い?
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さぁ きみはかったかな?まけたかな?
じゃ もういっかいやってみようか
≪げんこつやまのたぬきさん 歌詞より抜粋≫
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じゃんけんをする手遊び歌ともなっているので「きみはかったかな?まけたかな?」と尋ねる歌詞が出てきます。
そして「じゃもういっかいやってみようか」の言葉に合わせて、前半の歌詞がもう一度繰り返されます。
分かりやすい歌詞なので、親子や友達同士で遊ぶのにぴったりですよね。
なかにはもっと長い歌詞を知っている方もいることでしょう。
1970年のNHK『おかあさんといっしょ』にて、児童文学作家で詩人の香山美子が新たに歌詞を追加しました。
作曲家の小森昭宏が作曲したバージョンが放送されてから、『げんこつ山のたぬきさん』のフルバージョンとして人気があります。
こちらは4番まであり、
・「しろいちょうちょ(白い蝶々)」
・「まっかなはな(真っ赤な花)」
・「かいがら(貝殻)」
・寝かしつけられている「はなこさん」
…などのフレーズが登場します。
かわいい歌詞ですが都市伝説と絡めて考察する人もいるようで、はっきり意味や意図が分からないと怖いと感じてしまうものなのかもしれません。
どちらも決して怖い意味のある童謡ではないので、子供たちに楽しんで歌ってもらいたいですね。
童謡を楽しく歌い継いでいこう
『げんこつ山のたぬきさん』をはじめ、多くの童謡は子供たちの健やかな日々を願って作られています。なのであまり深読みして怖い曲だと遠ざけるよりも、昔から歌い継がれている曲として後の世代にも残していきたいものです。