King Gnu「Stardom」の歌詞で伝えるメッセージとは
人気ミクスチャーロックバンド・King Gnuが2022年11月17日に先行配信リリースした新曲『Stardom(スターダム)』は、2022NHKサッカーテーマソングとして書き下ろされた楽曲です。
King Gnuとスポーツといえば、2019年リリースの配信限定シングル『飛行艇』がラグビーワールドカップをはじめ様々なスポーツ選手の入場曲やテーマソングとして用いられ、注目を集めました。
作詞作曲を務めた常田大希はその光景を目の当たりにし、スポーツ選手たちを含め「大変な時代を生き抜く全ての人々の、今日を生き抜くエネルギーになるような音を俺は鳴らしたかったのだ」と気づき、『Stardom』を作り上げたそうです。
躍動感あるエネルギッシュな音楽のコーラスには日本代表のサポーターグループ・ULTRASが参加し、スタジアムの熱気や情熱がそのまま伝わってくるような楽曲となっています。
その中でどんなメッセージが歌われているのか、歌詞の意味を考察していきましょう。
----------------
夢で誤魔化した笑顔の裏で
何度泪を流した?
歩んだ道程を思い出して
何度屈辱を飲み込んだ?
"憧れ"とは似ても似つかない
けれど確かな道程と
脈々と継がれ続ける
人々の夢に終わりはない
≪Stardom 歌詞より抜粋≫
----------------
スポーツ選手たちはプロになるという夢を叶え、人々に感動をもたらしてくれます。
しかし、その笑顔の裏で、数え切れないほどの涙や屈辱と戦ってきたのでしょう。
ここで出てくる「夢」と「憧れ」は似て非なるものです。
夢は努力すればやがて叶えられる可能性がありますが、憧れはそうなりたくても自分ではなれないほど遠くにあります。
たとえば、サッカー選手になりたいという夢は叶えられても、憧れのサッカー選手になり代わることはできません。
人が違えば夢を叶えるまでのプロセスも得られる結果も違うので「“憧れ”とは似ても似つかない」状態になるのは当然のことです。
しかし、憧れで終わらせては夢にさえも届かないでしょう。
「確かな道程と脈々と継がれ続ける人々の夢に終わりはない」と歌詞にあるように、諦めず夢に向けてひたむきに努力してきたからこそ、選手たちは笑顔を見せることができているのです。
どんな時も一緒に飛んでいこう
----------------
Honey make the world get down
何度自分の背中を蹴った?
1 Time 人生は果ての無い
Pointless Journey
雲を切り裂いて大気圏まで
真っ逆さま地獄の果てまで
High with me
& Down with me
It's time to get fly with me
≪Stardom 歌詞より抜粋≫
----------------
「Honey make the world get down」のフレーズは、常田大希が主催する音楽プロジェクト・millennium parade(ミレニアムパレード)の楽曲『Fly with me』にも登場します。
この歌詞は「誘惑に世界はひれ伏す」と訳せるので、誰もが甘い誘惑に負けてしまうことを表していると解釈できます。
確かに夢を叶えるまでも叶えてからも道程は険しく、諦めた方が楽になると感じて夢を追いかけることを辞めてしまう人も少なくありません。
そんな中でも自分の背中を蹴るように叱咤しながら、何とか踏ん張って今の自分になったはずです。
「人生は果ての無いPointless Journey(無意味な旅)」だけれど、一度きりしかないからこそ最善を尽くして生きたいという気持ちが伝わってくるような気がします。
後半の歌詞は、要約すると「良い時も悪い時も、人生の旅を一緒に飛んでいこう」と呼びかけている言葉と考察できます。
どんな困難が待っていても一緒に乗り越えていこうというメッセージに力づけられますね。
----------------
あと一歩
ここからあと一歩
ココロが
草臥れた足を走らせる
あの日の悪夢を
断ち切ったならば
スポットライトに何度でも
手を伸ばし続けるから
心の底で諦めかけていた
夢を嗤わないでくれた
あなたに今応えたいんだ
最後の笛が吹かれるまで
≪Stardom 歌詞より抜粋≫
----------------
疲れ切って「草臥れた足」でも夢に向けて走り続けているのは、夢を叶えたいと強く願う「ココロ」があるから。
時には悪夢のような苦しい出来事に全てを投げ出してしまいたくなることもあるでしょう。
しかし、その気持ちを断ち切って「スポットライトに何度でも手を伸ばし続ける」想いの強さとエネルギーがある人が、きっと夢を叶え憧れへと近づける人です。
自分でさえ「心の底で諦めかけていた夢を嗤わないでくれたあなたに今応えたいんだ」というストレートな決意の言葉が心に迫ります。
「最後の笛が吹かれるまで」手を抜かず打ち込もうとする熱い気持ちが伝わってくるでしょう。
限界の先へと命揺らせ
----------------
夢にまで見たStardom
さあ 命揺らせよBlow Life
1 Life 諦めない限り続く
Endless Party
勝利の女神よ気分はどうだい?
そろそろこっちを向いて頂戴!
≪Stardom 歌詞より抜粋≫
----------------
タイトルでもある「Stardom」は和製英語で、人気スターとしての地位や座のことを意味します。
夢にまで見た世界で「さあ命揺らせよ」、つまり精一杯生きろと鼓舞しています。
「命揺らせ」のフレーズは『飛行艇』でも使われているので、楽曲の繋がりも感じられますね。
諦めない限りこの華やかな世界は続いていくのだから、思い切り人生を楽しむべき。
崇める対象のはずの勝利の女神さえも仲間のように呼びかけて、夢への道程を楽しんで進んでいこうとする様子が、リスナーの心まで明るくしてくれます。
----------------
あと一歩
ここからあと一歩
怖いモノ知って尚
立ち向かってゆけ
あの日の悪夢を
断ち切ったならば
この胸に強く
一つの未来を信じ抜いて
≪Stardom 歌詞より抜粋≫
----------------
失敗や挫折という「怖いモノ」を知ると、たった一歩が踏み出せなくなることがあります。
それでもなお立ち向かっていく強さがあれば、立ちはだかる障害も突き破って進んでいけるはずです。
「一つの未来を信じ抜いて」進む先に目指すゴールがあります。
----------------
生に涯があったって
名前に涯など無いね
栄光の輝きに毒されて
限界の少し先へ
終わりを怖がらないで
所詮無謀だと笑って
人事を尽くし切って今
天命を待つだけだって
≪Stardom 歌詞より抜粋≫
----------------
「涯」は限りや果てという意味がある言葉です。
人生には終わりがあっても、名前は歴史に刻まれて語り継がれていきます。
そんな「栄光の輝き」という目も眩むような栄誉に毒されたように、簡単ではないと分かっていながらも「限界の少し先へ」挑戦する選手たち。
少し無理をしてでもスターダムへ近づきたいという情熱こそが、夢を叶える鍵なのかもしれません。
終わりを怖がって足踏みしていては時間を無駄に過ごすだけです。
たとえ結果が思うように出なくても「所詮無謀だ」と笑い飛ばして次のチャンスを待てばいいのです。
「人事を尽くして天命を待つ」ということわざは、人間ができることは全てやったうえで、あとは運命に任せることを意味します。
人にできるのは自分の持てる限りの力を使って最善を尽くすことだけだから、今はただ自分を信じて命を揺らそうと背中を押してくれます。
大迫力!「Stardom」のMVも必見
King Gnuの『Stardom』は、苦しみながらも懸命に生きる全てのリスナーを力強く励ます応援歌です。「FIFAワールドカップカタール2022」でスペイン、ドイツを見事破り決勝トーナメントへ夢を繋いだ日本代表と同じく、勇気と感動を与えてくれることでしょう。
OSRINが監督を務め、最新の映像制作手法を取り入れた迫力満点なMVも合わせてチェックしてくださいね!