自身の祖母との経験によってできた歌
『愛のカタチ』はシンガーソングライター『中村つよし』の楽曲です。2008年に『カセキ』という楽曲とともに、両A面シングルとしてリリースされました。
同曲が話題になったきっかけは「泣ける歌」を紹介するTV番組。
そこで放送されるや否や「涙が止まらなかった」と大変話題になりました。
そんな同曲で歌われているのは、認知症になってしまった中村つよしの祖母のこと。
アルツハイマーになり、様々な記憶がなくなってしまった祖母でしたが、最後まで夫のことを忘れなかったことに心を動かされ、この楽曲が出来上がったそうです。
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桜舞い散る 春待たずして
もしもあなたがこの世を去ったら
実り黄金の 秋待たすして
あたしは あなたを追うのでしょう
夏の夕暮れ 裏通りへと
あなたが散歩に出かけたなら
あたしは庭の錆びたベンチで
あなたの帰りを待つのでしょう
≪愛のカタチ 歌詞より抜粋≫
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冒頭の歌詞で歌われているのは、女性が「あなた」を思う気持ち。
前述の通り、この女性は中村つよしの祖母をモチーフにしているようです。
つまり「あなた」は夫のこと。
春も夏も、旦那さんのことをまっすぐに思う気持ちが表現されていますね。
また、ぐいぐいと気持ちを伝えるわけではなく、そっと寄り添ったり待っていたりするのが奥ゆかしいポイント。
ストレートなラブソングとは一味違う魅力があります。
「愛」の意味、存在に涙
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愛なんて あたしには
愛なんて似合わないけれど
一人で居る時にあなたを思う事が
愛ならば これは愛です
≪愛のカタチ 歌詞より抜粋≫
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「愛」は目には見えないものです。
だからこそ「愛ってなに?」「愛するってどういうこと?」と疑問に思うこともあるでしょう。
この主人公のように、時には「愛なんて似合わない」と思うこともあるかもしれませんね。
そんな方でも、この歌詞はしっくりくるはず。
自分の時間に相手をふと思うこと、これは愛がなければありえないことです。
思わずハッとさせられる歌詞ですね。
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あなたが教えてくれた事
言葉には 何もないけれど
あなたが教えてくれた事
それは本当の「愛のカタチ」
≪愛のカタチ 歌詞より抜粋≫
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この部分は中村つよしの祖母から祖父に宛てたメッセージかもしれません。
愛は目に見えないものであり、言葉にするのも難しいもの。
だけれども、身をもって「愛」を教えてくれたことに対する感謝を感じます。
季節、月日、病…全てを乗り越える「愛」
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冬の夜 夢を諦め切れず
あなたが北へと旅に出るなら
あたしは毎夜北へと向かい
あなたに「おやすみ」と言うのでしょう
≪愛のカタチ 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞で歌われているのは、冬に夫を思う気持ち。
たとえ一緒にはいられずとも、大切な人がいる方角に向かって言葉を投げかける。
非常に愛に溢れた行動ですね。
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冬の夜 夢を諦め切れず
あなたが北へと旅に出るなら
あたしは毎夜北へと向かい
あなたに「おやすみ」と言うのでしょう
≪愛のカタチ 歌詞より抜粋≫
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前半2行は中村つよしの祖母の介護の中で見た姿を表していると思われますが、記憶がある人も共感できるはず。
ちなみに「愛子」とは「大切な子」という意味。
つまり自分の身に何があっても、我が子の名前を忘れても、自分の名前すらわからなくなっても、夫のことだけは忘れないということ。
二人がいかに強い信頼関係で結ばれているかがわかる歌詞ですね。
この後は最初のサビと上記の歌詞が繰り返され、楽曲が終わります。
大切な人を思いながら聴いてみて!
今回は中村つよしの曲『愛のカタチ』の歌詞について解説しました。作詞作曲を務めた中村つよし本人の家族に対する深い愛、そして祖母と夫の強い絆を感じる一曲ですね。
具体的なストーリーが元になっている曲ですが、大切な人がいる方なら楽曲に共感できるでしょう。
ぜひ大切な人を思いながら聴いて、その人を想う気持ちを大事に育んでくださいね。
また、大切な人に思いを伝えられるのは生きているうち。
この曲をきっかけに気持ちを伝えたり、この曲をプレゼントしたりしてみるのもいいかもしれませんよ。