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Eve「ファイトソング」の歌詞を徹底考察!ダークヒーローの生き様を鋭利に描写した堂々の最新曲

2022年、待望のアニメ化を果たして話題となった「チェンソーマン」。豪華アーティストが集結し、作品を彩ったことでも注目を集めました。今回は最終話を飾ったEveの『ファイトソング』をとりあげ、歌詞の意味から楽曲の魅力を紐解いていきます。

「チェンソーマン」最終話ED

「チェンソーマン」は2019年から「週刊少年ジャンプ」にて連載開始されたアクション漫画です。

2022年10月には、待望のアニメ化が実現。

アニメ制作会社MAPPAが一社提供したことでも話題となり、テレビ東京系列で放送が開始されると瞬く間にトレンドを席巻しました。

アニメ化に伴って注目を集めたのが、豪華アーティスト陣によるタイアップです。

オープニングには米津玄師の『KICK BACK』を起用。

米津自身が作詞・作曲・編曲を手がけた他、King Gnuの常田大希が編曲に携わりました。

さらに、エンディングは12組のアーティストが週代わりで担当し、マキシマム ザ ホルモンVaundyずっと真夜中でいいのに。TOOBOEsyudouKanariaanoTK from 凛として時雨AimerPEOPLE 1女王蜂、Eveといった豪華な顔ぶれが集結しました。

今回ご紹介するEveの『ファイトソング』は、アニメ「チェンソーマン」の最終話を飾ったエンディング曲。

アニメ「呪術廻戦」の主題歌『廻廻奇譚』で大ヒットを記録したEveが、約2年ぶりにアニメソングを手がけました。
▲Eve-ファイトソング【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

作詞・作曲をEveが務め、ギタリストとしても活躍するNumaが編曲を担当。

胸を突き刺すような鋭利な歌詞は、平凡な日常と隣り合わせの闇を想起させます

そのアンバランスさが「チェンソーマン」のダークファンタジーな世界観と見事にマッチしました。

この記事では、『ファイトソング』の歌詞とアニメのストーリーを重ねて考察し、楽曲に投影された情景を明らかにしていきます。

歌詞に落とし込まれた二面性


チェンソーマン」の舞台は、悪魔が蔓延る現代社会。

父の借金を抱えた少年・デンジは、チェンソーの悪魔・ポチタを相棒にデビルハンターとして生計を立てていました。

ある事件をきっかけに瀕死の状態に追い込まれてしまったデンジは、心臓の代わりにポチタを取り込むことでチェンソーの悪魔に変身する能力を手に入れます。

その後、公安に拾われたデンジの生活環境は一変

人並みの生活と引き換えに、これまでとは比べ物にならないほど強力な悪魔達と対峙する運命を背負わされるのでした。

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盤上に立っていた チクリ棘を刺すようなこの痛みなど
焦燥の正体に 夢と勘違いしたくなる心模様
≪ファイトソング 歌詞より抜粋≫
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「盤上に立っていた」という歌詞からは、気づけば戦わざるを得なかったデンジの身の上を思わせます。

意図せず背負った父の借金や、その返済のために出来る仕事がデビルハンターしかなかった現実。

さらに、デンジが「チェンソーの悪魔」となったことで、彼を取り巻く状況はさらに過酷なものへと変化していきました。

公安に所属したことで生活水準は明らかに高まったにもかかわらず、デンジの中にはわだかまりがついて回ります。

それは、この生活が一過性のものなのではないかという不安や、生死の境がより身近になったことがきっかけかもしれません。

最善の選択をしてきたつもりでも、常にまとわりつく焦りや不安を完全に取り払うことは難しいのでしょう。

出来ることならばこのネガティブな感覚が夢であってほしいという、主人公の切望が透けて見えます。

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いつだって ただから回るヘイデイ
伝って なんて交わせばメイデイ
大人になったって 今みたいな頭でらったったった
≪ファイトソング 歌詞より抜粋≫
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日本語に置き換えてみると「ヘイデイ」は「良い日」。

そして「メイデイ」は「救難信号」を意味します。

これは、幸福と不幸が表裏一体であることを意味しているのではないでしょうか。

大人になってもこの不安定な状況は続いていくのでしょう。

そんな現実を見て見ぬ振りしながら生きようとする様からは、ダークヒーローと称されるデンジの俯瞰的な思考が読み取れます。

アキの視点を通したデンジの存在


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ただ君のナンセンスが 嘘みたいな視界を奪う言葉なら
復讐の正体が 肺にのめり込んだみたい 鉛さえも
≪ファイトソング 歌詞より抜粋≫
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この部分の歌詞では、早川アキの視点を通して見たデンジの存在が描かれているのではないでしょうか。

アキは幼少期に「銃の悪魔」によって家族全員を失っています。

彼はその記憶に蝕まれ、ずっと復讐のために生きてきました。

そこへ突然現れたデンジの存在は、アキの価値観を大きく揺るがします。

目の前の生活や好きな女性のために戦うデンジは、アキにとって軽率に見えたかもしれません。

しかし、自分より何も考えていなさそうなデンジが、ここぞという時に発揮する底力には圧倒されるものがありました。

当初、アキにとってナンセンスに感じられたデンジの言動は、次第に復讐に囚われたアキの心を感懐していったのではないでしょうか。

デンジとの共闘を経て、アキの心情に少しずつ変化が訪れたことを示唆しているのかもしれません。

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寄りかかりあって生きてる人生
依存したい衝動に酩酊
化けを纏ったって 役に立つ居場所があるなら

夜はまだ明けぬまま 夢をみよう
≪ファイトソング 歌詞より抜粋≫
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デンジは公安に所属してから、同僚の早川アキやパワーと共に同居を始めます。

彼らの共同アパートは通称「早川家」と呼ばれており、殺伐としたストーリー展開の中の癒しとしてファンからも愛されています。

孤独に生きてきた3人が身を寄せ合って共有するつかの間の平穏は、依存したくなるほど心地のよい時間でした。

このシチュエーションは、作中でも象徴的に描かれるアキの「タバコ」とも重ねることが出来ます。

いつ死ぬかも分からない状況下で、アキが先輩の姫野から「寄りかかれるものがあるように」ともらった1本のタバコ。

気づけば愛煙家になっていたアキにとって、やっと心から寄りかかれる仲間の存在を見つけられたのではないでしょうか。

最後の歌詞には、やがて明けてしまう夜のように限定的なものだとしても、今だけはこの平穏に浸っていたいという想いが滲んでいます。

ダークヒーローとしての戒め


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僕にだって ねえ
未来に駆けていけ
祈るような死線へ
怒りに身を任せ 時に冷静でいて
契りを交わした少年
あの頃みたいな今日が
もう来ないとして
≪ファイトソング 歌詞より抜粋≫
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サビの部分は、デンジが未来への活路を見出せるようになったことを表しているのではないでしょうか。

死線を肌で感じるような現状ではありますが、未来を思い描くことも難しかった過去と比べれば、「自らの選択で生きる」ということを実感しているのかもしれません。

感情を優先して行動しがちなデンジですが、時に突飛なアイディアで形勢逆転を狙う冷静さも持ち合わせています。

「契りを交わした少年」とは、ポチタと契約したデンジを指しているのでしょう。

契約したことで心の拠り所だったポチタは消滅し、デンジの心臓に成り変わりました。

彼らが共に過ごした日々はもう二度と戻ってきません。

しかし、ポチタに救われた経験が、デンジにとってあくまでヒーローの道を踏み外さないための戒めとなっているのではないでしょうか。

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ただ声を出していけ
気楽にいこうぜ
常識なんて知らんぜ 聡明な瞳で世界を知る
溢れるこの想いよ いざ
迎えてくれよ 拍手喝采で
≪ファイトソング 歌詞より抜粋≫
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常識に囚われず、楽観的に歩もうとする姿が描き出されています。

この部分では、デンジの持ち味をダイレクトに描き出していると同時に、『ファイトソング』における"応援歌としての魅力"も引き出しています。

気楽に、そして堂々と歩んでいこう」というEveのメッセージが、アグレッシブに歌われています。

MVとEDで楽しむ異なる魅力

今回はアニメ「チェンソーマン」のエンディングから、Eveの『ファイトソング』の歌詞を考察しました。

テーマでは日常を切り出しながら、常人では表現しきれない感覚を正確に描き出した歌詞が魅力の本作。

まさにEveの魅力が凝縮された作品となっています。

『ファイトソング』は2022年12月28日にデジタルシングルとしてリリース。

また同日には、Eveがプロデュースを手がけたMVをYouTubeにて公開。

EveのMVではおなじみのクリエイターMariyasuによる、新作のオリジナルアニメーションを楽しむことが出来ます。

また「MAPPA CHANNEL」では、「チェンソーマン」第12話のノンクレジットエンディングを公開。

『ファイトソング』と”早川家の日常”がより深く融和したバージョンとなっています。

どちらのバージョンも『ファイトソング』を多角的に楽しめる映像作品に仕上がっています。

ぜひ、この機会にご覧ください。

2枚の自主制作アルバムを経て、2016年に全国流通盤「OFFICIAL NUMBER」をリリース。 2017年12月13日発売のインディーズアルバム「文化」は初の全自作曲のみで制作され、収録曲「ドラマツルギー」は1億回再生を突破。 YouTube 登録者数は369万人を上回る。 2018、2019年のワンマンライブは1···

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