楽曲の主人公は「サユリ」
一度聞いたら頭から離れなくなるようなメロディが印象的な楽曲『きゅうくらりん』。
タイトルを見るとポップでキュートな曲のようですが、実は同曲は「Doki Doki Literature Club!」(通称:DDLC)というホラーゲームからインスピレーションを受けて制作されたもの。
同ゲームに登場する「サヨリ」という女の子がテーマになっているそうです。
とはいえDDLCを知らない方も多いと思うので、ゲームを知らずとも楽しめるように考察していきます!
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うるさく鳴いた 文字盤を見てた
きっときっと鏡越し 8時過ぎのにおい
しらけた顔 変わってなくてよかった
≪きゅうくらりん 歌詞より抜粋≫
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冒頭で歌われているのは、主人公の朝の様子。
「文字盤」は時計やスマホのことでしょうか?
どうやら目覚まし時計が鳴ったようですが、それで「起きた」のではなくその様子を「見てた」ということから、主人公はすでに目を覚ましていたことがわかります。
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ピンクの植木鉢の ぐちょぐちょした心のそばに
大きく育ったもの
結ばれたつぼみが こんなにも 愚かしい
≪きゅうくらりん 歌詞より抜粋≫
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この部分だけではなんとも言えませんが、「ピンク」「つぼみ」という言葉から連想されるのは恋心。
しかし「ぐちょぐちょした」ということはあまりいい状態ではないのかもしれませんね。
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ああ 化石になっちまうよ
ああ 取り繕っていたいな
ちゃんと笑えなきゃね 大した取り柄も無いから
空っぽが埋まらないこと 全部ばれてたらどうしよう
ああ あなたの右どなり
わたし きゅうくらりん
≪きゅうくらりん 歌詞より抜粋≫
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サビを見ると、主人公が「あなた」に恋をしている様子が明確になります。
しかし、積極的にアプローチする様子はなく、むしろ心に虚無感すら覚えている様子。
最後の「きゅうくらりん」は恋の病に落ちている姿を表す造語かと思いますが、楽曲のメロディほど明るい恋はしていないようです。
主人公はあえて身を引いている?
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例えば 今夜眠って 目覚めたときに
起きる理由が ひとつも 見つからない
朝が来たら わたしは どうする?
≪きゅうくらりん 歌詞より抜粋≫
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2番冒頭の歌詞からも、主人公の気持ちが落ち気味であることがわかりますね。
好きな人がいるのにもかかわらず、なぜ浮かない様子なのでしょうか?
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うるさく鳴いた 文字盤を見てた
一歩 一歩あとずさり 「また明日ね」とぽつり
喜びより 安堵が先に来ちゃった
思い出 西日越し
うつるこまかなヒビが こんなにも恐ろしい
≪きゅうくらりん 歌詞より抜粋≫
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「西日越し」という歌詞から、どうやらこの部分の時間帯は夕方の様子。
主人公は「あなた」と一緒にいたようですが、自ら「またね」と離れたようです。
しかも、「あなた」と一緒にいる喜びよりも離れたことに対して安堵を感じています。
一緒にいることが辛いのかもしれませんね。
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ああ あなたが知ってしまう
ああ 取り繕っていたいな
ちゃんと笑えなきゃね 大切が壊れちゃうから
幸せな明日を願うけど 底なしの孤独をどうしよう
もう うめき声しか出ない
わたし ぎゅうぐらりん
≪きゅうくらりん 歌詞より抜粋≫
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「取り繕っていたい」ということは、主人公は自分の気持ちをあえて隠していることがわかります。
その理由は「大切が壊れちゃうから」のようですが、大切なものとは何のことなのでしょう?
1つ思い浮かぶのは、主人公と「あなた」の今の関係。
もう1つ思い浮かぶのは、「あなた」と他の誰かとの関係です。
「あなた」との幸せな未来、もしくは「あなた」と他の子の幸せな未来を願うけど、深い孤独を感じている…。
そんな状態にあるのではないでしょうか。
最後の「ぎゅうぐらりん」は胸をギュッと掴まれるような切なさが現れているのかもしれませんね。
「ちゅうぶらりん」の意味を考察
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ああ 虹がかかっている空 きれいと思いたくて
焦がれては逃げられないこと
みんなにはくだらないこと
もう どうしようもないの
わたし きゅうくらりん
そばにたぐりよせた末路
枯れ落ちたつぼみが こんなにも汚らわしくて
いじらしい
≪きゅうくらりん 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞でも、主人公が深い孤独を感じている様子が歌われています。
自分は「あなた」に思いを寄せているのに、それは叶わない。
それだけでも苦しいのに、そんなこと人から見たらどうでもいい。
楽曲冒頭で出てきたつぼみは結ばれていたのに、この部分でのつぼみは枯れ落ちた状態であるというのも、主人公の感情を表しているように感じられます。
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ああ 呪いになっちまうよ
ああ 「あきらめた」って言わなくちゃ
頭の中で ノイズが鳴りやまないから
空っぽが埋まらないこと 全部ばれてたらどうしよう
ああ あの子の言うとおり 終わりなんだ
≪きゅうくらりん 歌詞より抜粋≫
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生き霊になる前に「あきらめた」と認めたい…そんなところでしょうか?
それと同時に、自分の気持ちがバレていないかを心配しているようです。
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ああ 幸せになっちまうよ
ああ 失うのがつらいな
全部ムダになったら 愛した罰を受けるから
ひどく優しいあなたの 胸で泣けたならどうしよう
最後 見たのはそんな夢
わたし ちゅうぶらりん
≪きゅうくらりん 歌詞より抜粋≫
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最後のサビからも、主人公の恋は実らなかったことがわかります。
「幸せになっちまうよ」は、もしかしたら「あなた」と他の子の様子を表しているのかもしれませんね。
つまり「あなた」には他の子がいる、だから私の恋は叶わないと主人公は身を引いたとも考えられます。
とはいえ、「あなた」を想う気持ちはそう簡単には消えません。
忘れたい、諦めたい、でも好き、諦められないと気持ちが宙ぶらりんになる様子が、最後の「ちゅうぶらりん」に込められているのではないでしょうか。
あなたはどう考察する?
以上、『きゅうくらりん』の歌詞の意味について考察しました。主人公が「叶わない」と思って諦めようとしている、もしくは「あなた」には他に好きな人がいるから諦めようとしている、どちらとも考えられそうですね。
また、同作品の元になっている「Doki Doki Literature Club!」を知っているかどうかでも考察は変わるでしょう。
ぜひみなさんも自分の考察を楽しんでくださいね!