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「待ちぼうけ」は人間の心理を描いている?歌詞の意味を徹底考察

『待ちぼうけ』は、日本でよく知られる童謡の一つです。一度の幸運にすがって人生を台無しにするのではなく、堅実に生きる大切さを説く歌ですが、実は日常生活にも起こりうる、人間の真理を鋭く突いた歌なのです。

中国の思想書から生まれた『待ちぼうけ』


待ちぼうけ』は、北原白秋作詞、山田耕筰作曲を手がけ、1924年に発表された楽曲です。

日本の童謡として広く知られた歌ではないでしょうか。

百姓が一度の幸運をきっかけに堕落し、自滅していく様を歌った『待ちぼうけ』ですが、この歌は中国の思想書の一つである『守株待兔』に由来しているといわれています。

また、『待ちぼうけ』は当時満州に暮らしていた日本人向けに作られた、満州唱歌でもあります。

現代と違い貧しく、節約生活を強いられていた人々にとって、堅実に生きることを歌ったこの歌は人気が高かったようです。

歌詞は非常にシンプルですが、その由来が中国の思想書にあると思うと、曲の深みが増しますね。

童謡『待ちぼうけ』の歌詞に描かれる人の性


『待ちぼうけ』は、コツコツと堅実に生きていた人が、思わぬ幸運をきっかけに堕落していく様子を歌った曲です。

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待ちぼうけ 待ちぼうけ
ある日せっせと 野良かせぎ
そこへ兎が とんで出て
ころり転げた 木の根っこ
≪待ちぼうけ 歌詞より抜粋≫
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毎日畑仕事を懸命にこなしていた主人公が、ある日、何の苦労もせず兎を手に入れたことで、味を占めます。

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待ちぼうけ 待ちぼうけ
しめたこれから 寝て待とか
待てばえものは かけてくる
兎ぶつかれ 木の根っこ
≪待ちぼうけ 歌詞より抜粋≫
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明日もまた、兎が飛び出して来て勝手に死んでくれるのではないかと期待して、せっせと耕してきた畑を台無しにしてしまう。

とても愚かなことですが、人は楽な方へ流されてしまうもの

地道に努力を重ねるより、楽に稼げる方法を見つけるとすがりたくなるのが人情というものでしょう。

一度の幸運にすがり全てを失う愚かさ


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待ちぼうけ 待ちぼうけ
きのう鍬とり 畑仕事
きょうは頬づえ ひなたぼこ
うまい切り株 木の根っこ

待ちぼうけ 待ちぼうけ
きょうはきょうはで 待ちぼうけ
あすはあすはで 森の外
兎待ち待ち 木の根っこ
≪待ちぼうけ 歌詞より抜粋≫
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昨日まではせっせと耕していた畑を放り出して、いつ降ってくるかもしれない幸運を待ち続ける。

偶然の産物に恋い焦がれて、日々の畑仕事を疎かにするなど、ろくでなしだと思う人も多いでしょう。

『待ちぼうけ』は教訓めいた歌なので、かなり極端な内容になっていますが、怠け心が出てくる点は非常に理解できます。

兎が跳びだして来て、運良く切り株にぶつかって命を落とす。

そんな偶然の訪れを待ち続ける日々の先にあるのは、空虚な時間です。

それでも、一度味わった気持ちを忘れられず、いつまでも待ち続けてしまうのです。

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待ちぼうけ 待ちぼうけ
もとはすずしい 黎畑
今は荒野の ほうき草
寒い北風 木の根っこ
≪待ちぼうけ 歌詞より抜粋≫
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かつては立派だった畑は荒れ果て、二度と幸運が訪れることもなく、時間だけが虚しく流れていったのでしょう。

童謡には、子供の歌でありながら、人生について深く考えさせられるような歌も多々存在します。

『待ちぼうけ』もまた、うまい話に期待を膨らませて自滅する人の愚かさを描き出しています。

この歌を反面教師にして、堅実に生きろというメッセージを感じますね。

『待ちぼうけ』という言葉に込められた意味

『待ちぼうけ』という歌の怖いところは、ここまで極端でなくとも、現実に起こりうることを歌っている点です。

一度おいしい思いをしてしまうと、その時の感覚を忘れられずに、堕落してしまう。

ギャンブルはまさにそうではないでしょうか。

大当たりなどめったに出るものではないのに、大金を手に入れた時の高揚感や勝利に酔いしれる気持ちが癖になり、ギャンブルの沼にハマってしまう。

待ちぼうけ』というタイトルは、人の愚かさを糾し、堅実に生きることを伝える言葉として秀逸です。

日常的に使われる言葉ながら、子供の歌ではなく、現実にも起こりうる心情だということを意識すると、気持ちが引き締まりますね

慣れ親しんだ童謡としてではなく、教訓の歌として、改めて聞き直してみるのもいいかもしれません。

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