RADWIMPSを代表する失恋ソングを徹底解説!
世界的にも人気の日本を代表するバンド・RADWIMPSが2006年にリリースした4枚目のアルバム『RADWIMPS4~おかずのごはん~』の収録曲である『me me she』。タイトルは「めめしい」と読み、別れた女性への“女々しい”想いを綴った失恋ソングとなっています。
さっそく野田洋次郎のセンスが光る歌詞の意味を考察していきましょう。
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僕を光らせて 君を曇らせた
この恋に僕らの夢をのせるのは重荷すぎたかな
君の嫌いになり方を僕は忘れたよ
どこを探しても見当たらないんだよ
≪me me she 歌詞より抜粋≫
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冒頭の「僕を光らせて 君を曇らせた」というフレーズは、主人公が交際の中でわがままになっていたことを示していると思われます。
光が当たれば同時に影が生まれるように、主人公が自分本位な振る舞いをして満足していた隣で彼女は心も表情も曇らせていたと解釈できます。
タイトルが「me me she(僕 僕 彼女)」と表現されていることも、自分のことばかり考えていたことをうまく示していますよね。
彼がその失敗に気づいたのはもう別れてしまったからでした。
続く「僕らの夢」とは結婚など2人の将来のことなのでしょう。
この恋は2人の将来を背負うにはまだ未熟で脆いものだったのだろうかと自問しているのです。
もう別れてしまったものの、心から愛していたから「君の嫌いになり方を僕は忘れたよ」と未練が残っていることを言い表しています。
どんなに諦めようとしても、彼女を嫌いになる要素すら見つけられないでいるようです。
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あの日どうせなら
「さよなら」と一緒に教えて欲しかったよ
あの約束の破り方を 他の誰かの愛し方を
だけどほんとは知りたくないんだ
≪me me she 歌詞より抜粋≫
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別れを切り出した彼女は「さよなら」だけ言って去って行きました。
そんな彼女に「あの約束の破り方を 他の誰かの愛し方を」教えてほしかったとこぼしています。
その一方で「ほんとは知りたくないんだ」とも言っていて、新しい恋へ向かいたい気持ちと今も愛する彼女のことを忘れたくない本音との間で心が揺れている様子が見て取れますね。
「あの約束」はまだ破られていない
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約束したよね 「100歳までよろしくね」
101年目がこんなに早くくるとは思わなかったよ
こんなこと言ってほんとにごめんね
頭で分かっても心がごねるの
≪me me she 歌詞より抜粋≫
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前述の破れない「あの約束」の内容が、この部分で明らかにされています。
その約束とは100歳まで一緒にいることであり、永遠の愛を誓うことと同等と言えるでしょう。
2人が別れる時が来るとしたらそれは「101年目」だろうと思っていたのに、あっさりとその時を迎えてしまいました。
もうこの恋は終わったのだと頭では理解していても、「心がごねる」からまだ縋るような言葉を投げかけてしまいます。
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だけどそんな僕
造ってくれたのは 救ってくれたのは
きっとパパでも 多分ママでも 神様でもないと思うんだよ
残るはつまり ほらね君だった
≪me me she 歌詞より抜粋≫
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「そんな僕」のフレーズは、こんなにも人を深く愛し、愛する人を失って弱くなっている自分のことを表現していると考察できそうですね。
自分自身が誕生したのは両親や神様のおかげだけど、人を愛することを知って愛によって強くなれることを学んだ今の自分を作り出したのはほかならない「君」なんだと訴えかけています。
ただ成長させてくれただけでなく、救ってさえくれたように感じているところに彼女への愛の深さの理由が見えてくる気がしませんか?
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僕が例えば他の人と結ばれたとして
二人の間に命が宿ったとして
その中にもきっと 君の遺伝子もそっと
まぎれこんでいるだろう
でも君がいないなら きっとつまらないから
暇つぶしがてら2085年まで待ってるよ
≪me me she 歌詞より抜粋≫
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主人公はもしこの先ほかの女性と結ばれて子どもができたら、そこには「君の遺伝子もそっとまぎれこんでいるだろう」と語ります。
実際にはそんなことは起こり得ませんが、自身の一部に思えるほど自分の中に彼女の存在が強く刻み込まれていることを象徴しているのでしょう。
狂気すら感じさせる言葉が遺伝子を超越した愛を示しています。
しかし、そうやって彼女のいない未来の例え話をしてみても、結局その時間は「きっとつまらない」ことが想像できてしまいます。
「2085年」は作詞を担当した野田洋次郎が100歳を迎える年です。
「あの約束」はまだ破られていないから、100歳になるまで自分たちの関係は切れていない。
もう一度彼女が自分の元に戻ってくるまで気長に待っていると言っているのです。
浮かぶのは感謝の言葉ばかり
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今までほんとにありがとう 今までほんとにごめんね
今度は僕が待つ番だよ 君が生きていようとなかろうと
だってはじめて笑って言えた約束なんだもん
「さよなら」と一緒に 僕からの言葉を
「ありがとう」と一緒に 「ごめんね」を
≪me me she 歌詞より抜粋≫
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彼女に対してこれまでの感謝と謝罪を伝える主人公。
交際中は彼女がいつも自分を待ってくれていたから「今度は僕が待つ番」だと告げています。
たとえ彼女が死んだとしても、自分の気が済むまで待ち続けるつもりです。
100歳まで一緒に生きるという約束は「はじめて笑って言えた約束」です。
彼女のおかげで今までの人生の中で最もポジティブに未来を考えられたから、これからもこの約束を大切にしていきたい気持ちが伝わってきます。
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「空が綺麗だね 人は悲しいね」
また見え透いたほんとで僕を洗ってよ
次がもしあれば
僕の好きな君 その君が好きな僕
そうやっていつしか僕は僕を大切に思えたよ
この恋に僕が名前をつけるならそれは「ありがとう」
≪me me she 歌詞より抜粋≫
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彼女が話していた「空が綺麗だね 人は悲しいね」という言葉を思い出し、「また見え透いたほんとで僕を洗ってよ」と言っています。
とても純粋で真っ直ぐな彼女に、いつも心が洗われるような気持ちでいたと解釈できそうです。
もう2人の未来が交わることはないと分かっているからこそ伝える「もし次があれば」の一言が切ないですね。
彼女を愛することができたから「いつしか僕は僕を大切に思えた」というフレーズが、主人公の中での彼女の存在の大きさや尊さを表しています。
そんな大切な気持ちを教えてくれたことを思えばこの恋は「ありがとう」の一言に尽きると、感謝の言葉で締めくくられています。
映画さながらのMVも必見!
RADWIMPSの『me me she』は深すぎるほどの愛が表現された究極のラブソングです。MVはあるカップルのデート風景を映した短編映画のような内容となっていて、最後に1人取り残されてしまう男性の寂しい後ろ姿がこの曲の切なさを見事に演出しています。
ぜひ歌詞と映像に注目しながら、RADWIMPSの巧みな表現力を感じてください。