映画「スクロール」の主題歌
『怪物たちよ』は若い世代を中心に大人気のスリーピースバンド『Saucy Dog』が2023年2月1日にリリースした楽曲です。この曲は俳優・北村匠海と中川大志のW主演映画『スクロール』のために書き下ろされました。
制作にあたり、作詞作曲を務めたボーカル・石原慎也は「原作も映画もしっかり見させていただきました」とコメントしていることから、作品の世界観が色濃く反映されていそうです。
また、石原は「自分も含めてみんな心に怪物を飼っている。そんな誰もが見えていない当たり前を書きました」というコメントも残しています。
一体どのようなメッセージが込められているのか、さっそく歌詞の意味をチェックしていきましょう。
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だらしのない生活に息を潜める怪物達よ
なんて素晴らしくって退屈な日々なんだ!
穏やかな夜に乾杯
しけたツラした僕にジャスハイ
幸せの価値観なんて人によって違うもんなのさ
定規で測れるような生き方はひとつもない
僕らの明るい未来に乾杯
もう嫌いなやつらはバイバイ
≪怪物たちよ 歌詞より抜粋≫
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冒頭で歌われているのは、主人公の独り言のようなもの。
繰り返す日々に満足しているようでいて、どこか不満や物足りなさを感じているようです。
しかし、後半部分ではそんな日々から抜け出す決意が「乾杯」「バイバイ」という歌詞から感じられます。
主人公には、一体何があったのでしょうか?
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耳元で聞こえた誹謗が消えてくれない
忘れる為また飲んで後悔を繰り返す
≪怪物たちよ 歌詞より抜粋≫
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どうやら主人公は何者かから、誹謗中傷を受けたようですね。
気にしないようにしようと思っても、やはり気になってしまう。
そんな複雑な思いをかき消そうと、1人でジャスハイ(ジャスミンハイ)を飲んでいたようです。
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見えないやつの視線に怯えて
夢の中で号き疲れて壊れてしまいそう
全てが黒く見えてしまうけど
麻ロープで首を括り手にする自由よりも
僕らはきっと強くなれるはず
こんな世界でもまだ
≪怪物たちよ 歌詞より抜粋≫
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サビの歌詞からは、熱いメッセージを感じます。
好きなように生きたいと思っていても、周りの目を気にして自由に生きられないこともあるでしょう。
そのまま夢を諦めたり、人生を終わらせたりすることもできるけど、逃げなければ僕らはまだまだ強くなれる。
「ガツンと胸に響いた」という人も多いかもしれませんね。
「言葉」の力が持つ怖さ
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人を傷つけて嬉しそうな愚かなる怪物達よ
出来ることといえばせいぜい陰口くらいだもんな
可哀想な君に乾杯
もうそのままでいいよララバイ
気に入らない事を取り上げて叩いてみたり
誰も幸せになれない気がすんだ。もう気が済んだ?
≪怪物たちよ 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞で歌われているのは、他人を傷つけようとする人への決別の言葉。
確かに、陰口や誹謗中傷で幸せになる人はいませんよね。
言われた人はもちろん、言った方も何も得るものはありません。
それにもかかわらず、誹謗中傷をする人がいなくならないのが現実。
サビでは誹謗中傷をする人・された人それぞれに向けた強いメッセージが歌われています。
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言葉はピストル引き金を引けば
当たり前に人は死ぬぞ分かってて言ってんの?
そんなやつらに耳を貸さなくていい
「だから何?」と微笑ってやれ
遇らってしまえばいい
≪怪物たちよ 歌詞より抜粋≫
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「言葉はピストル」という歌詞は、かなりインパクトがありますね。
確かに内容やタイミングによっては、ピストルのように相手を傷つけることがあります。
しかし、言葉を放つ側はそんなことまで考えておらず、その場の軽いノリや憂さ晴らしで言ってしまうことがほとんど。
この歌詞にハッと気付かされた人も多いのではないでしょうか?
また、後半の誹謗中傷された側へのメッセージも注目のポイント。
自分のことを否定されたり蔑まれたりすると、深く傷ついてしまうでしょう。
でも、気にしなくていいのです。
裏を返せば「自分の思うように生きろ!」という意味のメッセージとも考察できそうですね。
結局「怪物」という歌詞は何を指している?
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嫌いで良いからもう
関わらないでくれよ
雑音に怯えながら生きる事は難しい
誰かの所為にしたい
でも全部自分の決めた道ならば
悩みながら生きることも素晴らしい
≪怪物たちよ 歌詞より抜粋≫
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ここでは心の揺らぎ、そして決意が感じられます。
誹謗中傷に怯えていたら前には進めない、だからそんな人とはもう関わらない。
だけど誰かのせいにしてしまいたいと思うこともある。
しかし、そんな悩みも含めて自分で決めたことならそれは素晴らしい…。
周りの目を気にして思うように生きられない全ての人を肯定し、励ますような優しい歌詞ですね。
楽曲のラストも、熱いメッセージが込められた歌詞が歌われています。
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「これが僕だ」と言えなくなるような
世界なんて変えてしまえ心まで渡さないで
嵐の中に星を探すような
生きている意味を越えていく日々
枯らさないで
「これが僕だ」って自信がなくたって
らしさなんてきっと死ぬまで判らないもんなのさ
「それが僕だ」って答えはなくたって
悩め、生きて。怪物達よ
≪怪物たちよ 歌詞より抜粋≫
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楽曲中には3回ほど「怪物達」という歌詞が出てきます。
1回目はだらしのない生活に息潜める怪物達、2回目は人を傷つけて嬉しそうな愚かなる怪物たち、そして3回目が悩み生きる怪物達。
これらを元に考察すると「怪物」というのは私たちのことを指すのかもしれませんね。
それぞれ違う怪物のようでいて、実は飼い主は全部同じ。
「退屈さを感じている私」「人を傷つけたくなる私」「悩み続ける私」など全て「私たち」の中にある感情のようなものを指しているのではないでしょうか?
裏を返せば、誰もが悶々とした感情を抱えており、生きることに悩み、そして人を傷つける可能性があるということ。
自分自身の言動や振る舞いを考え直すきっかけになりそうな楽曲ですね。
映画をみると楽曲のことがもっとわかるかも!?
今回はSaucy Dogの『怪物たちよ』について解説しました。SNSやネットを通じての誹謗中傷が蔓延る現代社会に深く刺さる音楽でしたね。
本記事では映画の内容にはほとんど触れませんでしたが、同曲は映画の内容を知るとさらに理解が深まる一曲です。
映画「スクロール」はすでに公開されていますので、そちらもぜひチェックしてみてください。
ちなみに、楽曲は各サブスクリプションサービスで配信中。
YouTubeに公開されているMVも必見です!