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すぎもとまさと「吾亦紅」歌詞の意味を考察!亡き母への想いにきっと涙する

2007年にリリースされ、多くの男性リスナーの涙を誘ったすぎもとまさとの『吾亦紅』は、息子から今は亡き母親への愛が詰まった名曲です。母親を吾亦紅の花に例えた意味を歌詞から紐解きます。

吾亦紅の花のように生きた母親

2007年リリースのすぎもとまさとの大ヒット曲『吾亦紅(われもこう)』。

作曲家の杉本真人が母親を亡くして苦しんでいるのを知った、友人の作詞家・ちあき哲也が、彼の気持ちを詞に綴ったことにより生まれた曲だそう。

ちあき哲也自身も数年前に母親を亡くしていたため、2人の母親を想う気持ちが重なったのでしょう。

杉本真人がその詞を音楽にのせ、歌手・すぎもとまさととして歌唱したのが『吾亦紅』です。

▲すぎもとまさと-吾亦紅(われもこう)【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

数多くの男性たちが涙した名曲ですが、歌詞の意味が分からないと感じる人もいるのではないでしょうか?

息子から今は亡き母親への愛が詰まった歌詞の意味を詳しく考察していきたいと思います。

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マッチを擦れば おろしが吹いて
線香がやけに つき難い
さらさら揺れる 吾亦紅
ふと あなたの 吐息のようで…
≪吾亦紅 歌詞より抜粋≫
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この曲は母親の墓参りに来た主人公を描いています。

線香に火をつけようとマッチを擦りますが、風が強くてなかなかつけることができません。

「おろし」は山から吹く強い風のことなので、そんな墓参りをしたい気持ちを阻むような力と肌寒さで母親を亡くした悲しみや寂しさを表現していると解釈できます。

タイトルにもなっている「吾亦紅」とは、晩夏から秋にかけて咲くバラ科の多年草のこと。

バラのような華美な花とは言えませんが、華奢な茎を1mほどに伸ばして小さな花をボール状に咲かせるかわいらしい花です。

しかも薬草や生薬としても有効に活用されてきた堅実さでも知られています。

主人公は吾亦紅の儚くも凛とした佇まいに母親の内なる強さを重ね、慈しみを覚えたのでしょう。

そして風に身を預けて揺れる吾亦紅が、そっと誰も気づかないようなため息を吐く母親を思い出させたことが印象的に綴られています。

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盆の休みに 帰れなかった
俺の杜撰さ 嘆いているか
あなたに あなたに 謝りたくて
仕事に名を借りた ご無沙汰
あなたに あなたに 謝りたくて
山裾の秋 ひとり逢いに来た
ただ あなたに 謝りたくて
≪吾亦紅 歌詞より抜粋≫
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故人を迎える大切なお盆の休みに帰って来られなかったことを、ずっと謝りたいと思っていたようです。

「俺の杜撰さ 嘆いているか」という問いかけは、幼い頃からだらしなさをよく叱られていたことを想像させると共に、自分のことを考えて叱ってくれた母親の愛情を懐かしく思っているとも感じられます。

彼がお盆に帰って来られなかったのは仕事があったからのようですが、「仕事に名を借りたご無沙汰」の言葉が母親の死を受け止められずに来るのをためらってしまったことを示しているようにも思えます。

しかし少し時間が経ち、やはり母親の墓参りにいきたいという気持ちに動かされたのでしょう。

山裾の紅葉に秋を感じるようになった頃、やっと母親の元にやって来ることができたのです。

寂しくても母として生き切った強さ


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小さな町に 嫁いで生きて
ここしか知らない 人だった…
それでも母を 生き切った
俺、あなたが 羨ましいよ…
≪吾亦紅 歌詞より抜粋≫
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嫁入りした女性は、家庭から出ることなく一生を過ごすのが当たり前だった時代。

彼の母親も小さな町に嫁いでから妻として、母親として奮闘していたと思われます。

町を出て生活するようになった息子からすれば、彼女の狭い世界しか知らない人生は地味で退屈なものに見えていたのでしょう。

しかし彼も歳を重ねて、ようやく「母」という役目を生き切ったその人の素晴らしい生き様を理解できたようです。

彼自身は「杜撰」な性格からひとつのことに真剣になれないでいるのかもしれません。

自身の役目を賢明に生きて全うした母親に「あなたが羨ましいよ」と憧れの気持ちを言い表していますね。

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今はいとこが 住んでる家に
昔みたいに 灯りがともる
あなたは あなたは 家族も遠く
気強く寂しさを 堪えた
あなたの あなたの 見せない疵が
身に沁みて行く やっと手が届く
ばか野郎と なじってくれよ
≪吾亦紅 歌詞より抜粋≫
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母親との思い出がある実家には、今はいとこが住んでいます。

家に「昔みたいに灯りが灯る」様子は、帰ってきた自分を優しく迎えてくれる母親の温かさを思い出させますが、同時にもうそこに母親はいないという現実を突きつけてきます。

そうして気づく母親の寂しさ

帰ればいつもそこにいた母親は家族が出払ってしまえばいつも独りで、誰にも気づかれない寂しさを気高く堪えていたのです。

生きている間は決して見せなかった内なる「疵」を理解して初めて、やっと母親という1人の女性に手が届くような気がしています。

理解するのにこんなにも時間がかかって何もしてあげられなかった自分を「ばか野郎となじってくれよ」と語りかける主人公の気持ちが切ないですね。

自分の選んだ道をあなたに威張ってみたい


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親のことなど 気遣う暇に
後で恥じない 自分を生きろ
あなたの あなたの 形見の言葉
守れた試しさえ ないけど
あなたに あなたに 威張ってみたい
来月で俺 離婚するんだよ
そう、はじめて 自分を生きる
≪吾亦紅 歌詞より抜粋≫
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きっと主人公も母親に全く何もしていなかったわけではないのでしょう。

帰省した際に親の体調や生活面を気遣う息子に、母親が「親のことなど気遣う暇に後で恥じない自分を生きろ」と告げたようです。

親の心配をするよりも自分自身の人生をしっかり生きてほしい

そんな親の願いが込められていたのではないでしょうか。

その言葉は主人公にとって「形見の言葉」となり、ずっと大切に心に収められています。

「守れた試しさえないけど」のフレーズが、母親の言葉に背中を押される照れ臭さと誇れる生き方ができない不器用さを表現しているように感じます。

続く部分では突然「来月で俺 離婚するんだよ」と報告しています。

そのことを「あなたに戚張ってみたい」と言うのは、離婚することで人生で「はじめて自分を生きる」ことになるから。

今まで人に流されてばかりで、結婚という大事な決定も結婚生活もどこか他人事のように何となく過ごしてきたのかもしれません。

しかし母親の死を経て形見の言葉を改めて思い出し、今のままではいけないと思い立ったのでしょう。

離婚をして夫という役目から自分を解放し、もう一度自分という1人の男の人生をリスタートさせる決断を下したことを母親に褒めてほしいのだと考察しました。

形見の言葉を本当に守るにはこれからの生き方が大切になります。

独りで生きる寂しさを埋めたくて、また強く生きられるよう力づけてほしくて墓参りにきたと解釈できそうです。

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あなたに あなたに 見ていて欲しい
髪に白髪が 混じり始めても
俺、死ぬまで あなたの子供…
≪吾亦紅 歌詞より抜粋≫
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これからの人生を「あなたに見ていて欲しい」。

それは年老いても「死ぬまであなたの子供」だからです。

今後再び誰かの夫や父親として生きることがあるかもしれませんが、いつまでも母親の子供として彼女の愛を受ける存在でいたいという無垢な想いが垣間見えます。

母親を想う気持ちが胸に迫る

すぎもとまさとの『吾亦紅』には、主役にはなれなくても真っ直ぐに生きる吾亦紅のような母親の存在に勇気づけられ、前を向いて自分の人生を生きる決意を強める主人公の心境が丁寧に綴られていました。

いくつになっても社会的立場が変わっても、親子の関係が変わることはありません。

自身の母親の姿を重ねながら聴くと、きっとさらに歌詞に共感し母親への感謝が深まりますよ。

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