清水翔太とTakaによるデュエット曲の歌詞に注目
『Curtain Call feat.Taka』は、シンガーソングライターの清水翔太が2021年7月21日にリリースした9thアルバム『HOPE』に収録されているONE OK ROCKのTakaとのコラボ楽曲です。アルバムのリード曲として先行配信もされ、ゆったりとしたR&Bのサウンドと2人の魅力的な歌声で多くのファンの注目を集めています。
本人出演のMVではそれぞれ建設作業員と清掃員に扮し、この曲がいわゆるブルーカラーの職種に携わる人たちを主人公にしていることを表現しています。
清水翔太自身が仕事に対して感じてきたことをアーティストの目線で綴ったという歌詞の意味を考察していきましょう。
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誰もが主役のショーなんて
どこにも存在しないんだね
それぞれ決まった配置で
tonight tonight tonight
やりたくないことだって
誰かがやんなきゃなんだね
でも誰が決めてんだろう?って
tonight tonight tonight
≪Curtain Call (feat. Taka) 歌詞より抜粋≫
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全てのショーは配役がきっちり決められていて、「誰もが主役」なんてことはありません。
スポットライトを燦々と浴びる主役の後ろの暗がりで必死に自分の役目を果たそうとしている脇役が大勢います。
それは現実世界でも同じで、演者やアーティストのように舞台上で華々しく輝く人たちがいる一方、多くの人が建設作業員や清掃員のように重要な仕事を担っていながらも注目されたり称賛されたりすることのない日々を送っています。
「やりたくないことだって誰かがやんなきゃ」いけないと分かっているから自分がそれをやっているのだと受け止めてはいるものの、どうして自分がやらなければいけないのかと不満を感じることもあるでしょう。
毎晩世界の不平等さに悩む様子に共感するのではないでしょうか?
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疑問なんてなく、ただ生きてきた
流れゆく時代の傍観者
今夜、眠れないのはわかってた
僕は居るべき場所に居ない気がした
≪Curtain Call (feat. Taka) 歌詞より抜粋≫
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疑問もなく“そういうものだ”と思って流されるままに生きてきたため、「居るべき場所にいない」ような気持ちになっています。
それは舞台上にいながら自分の配置が分からないような感覚と言えるかもしれません。
促されるまま仕事をしてはいるものの、そこに何の楽しみも喜びも見出せず本当にこれが自分のやるべきことなのか悩んでいる状態と解釈できます。
自分の存在意義も見失って、不安で眠れない夜を過ごしているようです。
リスナーへの励ましのメッセージ
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真っ直ぐ見つめた先に
信じてたものがなくて
絶望した日もあるさ
alright alright alright
地面を這いつくばって
簡単に追い越されて
納得できない今日にも
alright alright alright
≪Curtain Call (feat. Taka) 歌詞より抜粋≫
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成功する未来を夢見ていたのにうまく行かずに絶望した日もあれば、地面を這いつくばるようにして頑張っていたのに簡単に追い越されたことに納得できない日もあります。
それでも「alright(大丈夫)」と自分に言い聞かせて何とか日々を送っています。
繰り返される言葉に状況の過酷さや疲弊した心が垣間見える気がしますね。
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もし君に助けが必要なら
ここへ来て とにかく歌うから
その後もう一度歩き出せるかい
まだ諦めるには早すぎるから
≪Curtain Call (feat. Taka) 歌詞より抜粋≫
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この部分は清水翔太とTakaからリスナーへのメッセージと捉えられるでしょう。
もし助けが必要なら歌で支え応援するから自分の元に来てほしいと招いています。
アーティストの世界も決して楽なものではありません。
そんな中できっと彼らも音楽の力に励まされてきたから、今苦しみ悩む人のために自分の歌で助けになりたいと願っているのではないでしょうか。
続く歌詞で「その後もう一度歩き出せるかい」と問いかけられているのが印象的です。
自分の歌が踏み出す力になればいいと願いながらも、現実はそう簡単ではないことも理解しています。
それでもまだ諦めてほしくないから、自分自身もまだ悩みながらも歌い続けることで少しでも誰かの助けになろうとしているのだと考察しました。
リスナーへの優しさや思いやりがこもった言葉が心に響きます。
「Curtain Call(カーテンコール)」が示す意味とは
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もし沢山のことが
作り物だとしても
僕らの感じる痛みや
想いは真実だから
いつか自分でも
感動できるような
舞台をやり遂げたなら
待ってるCurtain Call
≪Curtain Call (feat. Taka) 歌詞より抜粋≫
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周囲に見えるものや自分を取り巻く多くのものが作り物だとしても、自分自身が感じている感情だけはいつも真実です。
主役だけでなく全ての人が痛みを感じ、様々な想いを抱えています。
タイトルでもある「Curtain Call(カーテンコール)」とは、ショーが終わって幕が下りた後に観客が感動を伝えるために拍手喝采して演者を幕の前に呼び出すことです。
ブルーカラーの人を含め、世界のほとんどの人は拍手や称賛を受けるような立場にはいないでしょう。
しかしこれまではぼんやりとした生活の中で自己主張をできないでいた主人公も、本当はもっとやりがいのある素敵な人生を送りたいと思っています。
それで「いつか自分でも感動できるような舞台をやり遂げたなら」きっと自分の頑張りを認めてもらえるはずだと信じ、思い切って一歩踏み出そうとしているのです。
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止まることなく
飽きることなく
辞めることなく
歩き続ける
迷う日もある
落ちる日もある
それでもいつか
輝く日まで
≪Curtain Call (feat. Taka) 歌詞より抜粋≫
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止まることも飽きることも辞めることもなく歩き続けていれば、目指す舞台に立つことができるはずです。
誰でも迷ったり落ち込んだりする日があります。
控えめで気を遣いがちな日本人ならなおさら自分の言いたいことややりたいことを選べない状況に陥りやすいものです。
しかし自分が主役になれるかどうかはどう行動するかにかかっています。
今は自分の居るべき場所が分からなくても「いつか輝く日」を目指して諦めずに歩き続けることが大切だと語りかけてきます。
変わりたい人を力づける応援ソング!
『Curtain Call』は希望に向かって進むことができるようにそっと背中を押してくれるような温かい楽曲です。華やかな仕事に就いている人ばかりではなく、自分の仕事を楽しみやりがいを感じている人のことを主役と呼ぶのかもしれません。
本当に努力した人しか見られないカーテンコールの素晴らしい景色を思い描きながら、2人の歌声に耳を傾けてみてください。